平成20年度 税制改正情報
法人関係税制  


1 減価償却制度の法定耐用年数の見直し
  (1) 法定耐用年数の見直し
 

機械装置及び装置を中心に、実態に即した使用年数を基に資産区分を整理すると
ともに法定耐用年数も見直されました。耐用年数は概ね短縮され、耐用年数表の区
分数は390区分から55区分に大括り化されました。
これにより、数が多すぎて判別しづらかった耐用年数の判定が簡素化されました。
なお、この改正は既存の減価償却資産を含め、平成20年4月1日以後開始する
事業年度に適用されます。

  (2) 法定耐用年数の短縮特例制度の手続き簡素化
    耐用年数の短縮特例について、本特例の適用を受けた減価償却資産について軽微な変更があった場合、本特例の適用を受けた減価償却資産と同一の他の減価償却資産の取得をした場合等には、改めて承認申請をすることなく、変更点等の届出により短縮特例の適用を受けることができるとされます。
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1b 研究開発税制の拡充
 

試験研究費の「増加型」に対する措置を改組し、以下の(1)と(2)の措置のいずれかを選択適用できる制度が創設されます。この制度における控除税額は、試験研究費の総額に係る税額控除制度又は中小企業技術基盤強化税制とは別に、当期の法人税額の10%
相当額が限度とされます。したがって、税額控除の上限は最大で30%に拡充されます。

  (1) 増加型
    平成20年4月1日〜平成22年3月31日までの間に開始する事業年度について、試験研究費の額が比較試験研究費(過去3年間の試験研究費の平均額)の額を超え、かつ基準試験研究費(過去2年間の試験研究費のうち多い額)の額を超える場合には、試験研究費の額が比較試験研究費の額を超える部分の金額の5%相当額が税額控除できることとされます。
  (2) 高水準型
    平成20年4月1日〜平成22年3月31日までの間に開始する事業年度において、試験研究費の額が平均売上金額の10%相当額を超える場合には、その超える部分の金額に以下の税額控除率を乗じた金額が税額控除できることとされます。
     
 
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1b 情報基盤強化税制の見直し及び強化
  以下の見直しを行った上でその適用期限が平成22年3月31日(現行平成20年3月31日) まで2年延長されます。
  (1) 対象設備等に、部門間・企業間で分断されている情報システムを連携するソフトウエアとして一定の要件を満たすものが追加されます。
※SaaS・ASP(インターネット経由で情報処理を行うサービス )事業者が適用対象となります。
 
  (2) 資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人等について、取得価額の合計額の最低限度が70万円(現行300万円)に引き下げられます。
  (3) 資本金の額または出資金の額が10億円超の法人の対象設備等の取得価額の合計額のうち対象となる金額は、200億円が
限度とされます。
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1b 工事収益の計上方法等の見直し
  (1) 工事進行基準が適用される長期大規模工事の範囲について、工事期間要件が2年以上から
1年以上に、請負金額要件が50億円以上から10億円以上に、それぞれ見直されます。
  (2) 工事完成基準または工事進行基準を選択して適用できるその他の工事の範囲に、「損失が生ずると見込まれる工事」が追加されます。
  (3) 工事進行基準の対象に、「ソフトウエアの受注制作」が追加
されます。
  (4) 工事進行基準の適用により計上した未収金は、その発注者を債務者とする金銭債権として、貸倒引当金制度等が適用できることとされます。
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1b その他の改正
  (1) 固定資産税において、償却資産の評価額を理論帳簿価額が上回る場合に理論帳簿価額を償
却資産の価格とする制度が廃止されます。
  (2) 無償増資等による資本割の課税標準の特例措置の適用期限が平成22年3月31日(現行平成
20年3月31日) まで2年延長されます。
  (3) 交際費等の損金不算入制度の適用期限が平成22年3月31日(現行平成20年3月31日) まで2
年延長されます。
  (4) 欠損金の繰り戻しによる還付の不適用制度の適用期限(設立5年以内の中小企業は適用除外)が平成22年3月31日(現行平成20年3月31日) まで2年延長されます。
  (5) 使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例の適用期限が平成22年3月31日(現行平成20年
3 月31日) まで2年延長されます。


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