中小企業の事業承継は雇用確保や技術の伝承などの観点から見て重要な問題である事は言うまでもありません。しかし年間廃業社数29万社の内、7万社が後継者不在のため、廃業を余儀なくされている問題があります。しかし中小企業の事業承継にあたっては遺産分割、資金需要、税負担のさまざまな問題に直面しており、この問題を対処する観点から「経営承継円滑法」は平成20年10月1日から施行されました。また税制面からは以下の2つの「納税猶予制度」を創設します。
1.非上場株式に係る相続税の納税猶予制度
事業後継者が、相続等により、経営承継円滑法に基づき経済産業大臣の認定を受けた非上場会社の議決権株式等(特例適用株式等)を取得した場合には、その事業後継者が納付すべき相続税額のうち、特例適用株式等に係る課税価格の80%に対応する相続税額について、その事業後継者の死亡等の日までその納税が猶予される。
2.非上場株式に係る贈与税の納税猶予制度
事業後継者が、贈与により、先代経営者が保有する経営承継円滑法に基づき経済産業大臣の認定を受けた非上場会社の全株式等(猶予対象株式等)を取得した場合には、その事業後継者が納付すべき贈与税額のうち、猶予対象株式等の贈与に係る贈与税の全額について、その先代経営者の死亡等の日までその納税が猶予される。
※事業後継者や先代経営者、特例適用株式等、猶予対象株式等などについては、さまざまな適用条件や制限がありますので、注意が必要です。
(1) | 市街化区域外の農地に係る相続税の猶予について、次の措置を講ずる。 |
@ | 農業経営基盤強化促進法の規定に基づき貸付けられた農地を適用対象とする |
A | 市街化区域外の農地について本特例の適用を受ける者については、20年間の営農継続により猶予税額が免除される措置を廃止する |
B | 猶予期間中に身体障がい者等のやむをえない事情により営農継続が困難となった場合は、農地の貸付(営農の廃止)をしたときについても、納税猶予の継続を認める |
C | 災害・疾病等のやむをえない事情のため一時的に営農できない場合について、営農継続しているものとする取扱を明確化する |
D | 納税猶予適用者(20年間の営農継続により猶予が免除される者を除く)が特例適用農地を譲渡等した場合に納付する猶予税額に係る利子税については、税率を年3.6%(現行年6.6%)に引き下げる |
E | 農用地区域内の特例適用農地を農業経営基盤強化促進法の規定に基づき譲渡した場合については、総面積の20%を超える場合でも、納税猶予の取消事由としない(譲渡した場合に応じた猶予税額及び利子税を納付) |
(2) | 市街化区域内の農地に係る相続税の納税猶予について、 上記(1)BからDまでの措置を講ずる |
(3) | 納税猶予の取消事由となる「耕作の放棄」について、 該当要件の見直しをおこなう。 |
(4) | その他、贈与税の納税猶予等について該当要件の見直しをおこなう。 |