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【時事解説】怖いキャピタルフライト その2



 そして、最後に、今最も注目されるのが、個人レベルでの貯蓄流出です。個人が国内で預金をし続ける限り、国内貯蓄は減りません。これまではどんなに金利が低くなっても、個人貯蓄が減らず、日本の低金利を下支えしていました。その原因は日本人の保守性もあるでしょうが、経済的合理性もありました。というのは、デフレ下ではどんなに金利が低くても、消費するより貯蓄の方が有利だったことに加え、諸外国の金利も日本ほどではないにしても相当低かったからです。しかし、その状況は劇的に変わっています。

 今、日本は数十年ぶりのインフレですから、ゼロ金利では預金の実質的価値は目減りしていきます。また、アメリカをはじめとした海外主要国はインフレ抑止のために金融引き締めに転じていますから、日本よりはるかに高い金利をつけるようになっており、低金利を継続している日本から見ると海外の金利は魅力的に映ります。確かに為替リスクは存在しますが(リスクは為替の動向次第では利益に転じることもあります)、個人が国内貯蓄に見切りをつけ、海外に資金を流出させようとする動きが出てくるかもしれません。いわゆる「キャピタルフライト」です。

 第一と第二のルートは必要なモノを買うことに伴い発生する資金流出ですから、限度があります。ところが、キャピタルフライトは投資(あるいは投機)ですから、個人の思惑次第でいくらでも膨らみます。現在はキャピタルフライトが顕在化しているという状況ではありませんが、日本人は同調性が高い国民といわれていますから、いったん火が付くと意外に大きなうねりとなるかもしれません。そうなると、貯蓄不足から追い込まれての金利上昇といった事態になることが懸念されます。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)
2025年3月2日更新
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