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【時事解説】ジョブ型雇用で問われる主体性 その2



 しかし、近年、そのメンバーシップ型雇用は以下の2つの理由から行き詰まりを見せています。
 一つは経済成長への貢献の問題です。メンバーシップ型雇用では、社員は、会社の定めた目標に向かって、会社から指定された仕事を一丸となって遂行するというものでした。そうした単一的経営が戦後の高度経済成長の要因にもなったのですが、現在のような多様性の時代になると、そうした単調な経営はかえって経営の足かせになっているのではないかという問題提起です。日本はバブル崩壊後、数十年にわたる低成長に苦しんでいるのですが、メンバーシップ型雇用が持つその硬直性が経済低迷の一つの原因になっているのではないかというのです。これからは、社員の個性が重視され、個人のアイデアや創意工夫が経営にも活かされなければなりません。ジョブ型雇用の方がそうした時代に適しているというのです。

 もう一つは、個人生活への保証の問題です。メンバーシップ型は終身雇用を前提としていますから、社員が会社に忠誠を尽くす限り、現役時代に止まらず、退職金や企業年金を含めて、会社は終身に渡って、社員の面倒を見る、ということが暗黙の了解事項でした。しかし、時代の変化は激しく、どんな優良企業、大企業でもいつ何があるか分かりません。一方、医学の進歩により、個人の寿命は年々伸びていきますから、会社が個人の生活を終身まで保証するということが、現実的ではなくなりました。会社は個人の現在の働きに対しそれに見合った報酬を支払い、個人の生活は自分で守るという形のジョブ型雇用の方が、これからの時代にふさわしいのではないかというのです。

 これまでのようにメンバーシップ型雇用を維持することは難しく、様々な問題をはらみつつも、ジョブ型雇用への移行は時代の潮流だと思います。社会人になってからジョブ型雇用に対応するというのではなく、就職する前から、自ら主体的にやりたいことを選択し、自己主張をできるようにする訓練が必要だと思います。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)
2025年6月2日更新
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