目次
2025年8月の税務
暦年贈与信託による生前贈与
ホスピスで高齢者が亡くなった場合の小規模宅地等の特例
2025年8月の税務
8月12日
●7月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
9月1日
●6月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●12月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の3月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の5月、6月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(4月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
●個人事業者の消費税・地方消費税の中間申告
○個人事業税の納付(第1期分)(8月中において都道府県の条例で定める日)
○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第2期分)(8月中において市町村の条例で定める日)
暦年贈与信託による生前贈与
生前贈与は相続財産を減らせることに加え、子や孫の若い世代に相続前から財産を有効に活かしてもらうことができます。
◆生前贈与加算期間は7年以内に延長
暦年贈与は毎年110万円まで基礎控除を受けられます。令和6年1月1日以後の贈与について相続税の課税価格に加算される生前贈与は、相続開始前7年以内(改正前は3年以内)の贈与となりました。ただし、令和8年12月31日までの贈与の加算対象期間は3年間に据え置かれ、以後、毎年1年ずつ延長されて、令和13年1月1日の贈与から7年間となります。
また、延長された4年間に贈与により取得した財産の価額について、総額100万円まで加算対象外となります。
◆暦年贈与信託を生前贈与に活用
暦年贈与に信託銀行が扱う暦年贈与信託を利用することもできます。贈与者は金銭信託で委託者兼受益者となり、信託銀行は受託者となって、毎年、贈与を受ける親族、贈与時期、贈与金額を決めると信託銀行が贈与の手続きを贈与者、受贈者に取り次いでくれます。贈与者はあらかじめ贈与したい複数の親族を候補者として選定しておき、普段は信託財産として運用益を受益者として享受し、贈与のときは、毎年、候補者の中から贈与したい相手の親族を選び、贈与したい金額を決めます。信託銀行は書面で贈与者と受贈者の意思の合致を確認した後、信託財産から贈与する金額を送金します。
贈与税は基礎控除額110万円を控除した額に課されます。信託銀行の取扱商品によっては、贈与者が受益者のまま贈与するもの、贈与時に受益者を受贈者に変更して贈与とするものもあるようです。
◆連年贈与、定額贈与には注意!
暦年贈与で毎年、定額の贈与を継続した場合、贈与額の合計額について課税リスクが生じます。国税庁は、例示として毎年100万円ずつ10年間の贈与があらかじめ当事者間で約束があり、贈与が定期金給付契約の締結によるものとされた場合、契約した年に贈与額全体について贈与税を課すとしています。暦年贈与信託では、毎年、受贈者を候補者から選定し、贈与の有無、贈与額を決めることができますが、贈与の際は贈与課税について注意が必要です。
また、贈与には子や孫に資産を早期に移転することで、その生活スタイルを贈与に依存させてしまう側面もあることにも留意しましょう。
ホスピスで高齢者が亡くなった場合の小規模宅地等の特例
◆ホスピスとは
日本ホスピス緩和ケア協会の案内によると、ホスピスとは、がんなど難病で治療が困難となった患者さんとその家族のために医師・看護スタッフがチームで緩和ケアを実施する施設です。1960年代にイギリスで発祥し、これまで医療が担ってきた「検査・診断・治療・延命」ではなく、終末期医療の患者さんの痛みと不安を和らげ、患者さんに寄り添い、本人と家族のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)向上を目的としています。
緩和ケアは在宅で受けることも可能ですが、高齢者の場合、近年は子供世帯の負担の大きさから病院内の緩和ケア病棟や地域で医師と連携できる有料老人ホームなどがホスピスとして利用されています。
◆小規模宅地等の特例適用は条文等から判断
高齢者の方がホスピスで亡くなった場合、小規模宅地等の特例(特定居住用宅地)の適用関係について、税法にはホスピスという用語は出てこないので、国税庁の質疑応答事例や条文などから判断します。
病院で亡くなった場合、質疑応答事例では、病院の機能等から居宅で起居しないのは一時的なものであり、入院後、居宅が他の用途に供されたような特段の事情がない限り、生活の拠点は居宅にあり、小規模宅地等の特例の適用対象になるとしています。したがって緩和ケアで病院に入院していた場合も同様の扱いとなるものと思われます。
次に、有料老人ホームで緩和ケアを受けていた場合は、租税特別措置法第40条の2第2項の要件に該当するかを確認します。すなわち、被相続人が相続開始直前において(1)要介護または要支援状態にあること、かつ、(2)老人福祉法第29条第1項に定める施設であること、そのうえで自宅の生活資材はそのまま、賃貸や事業の用に供していないなどの要件を満たせば、小規模宅地等の特例の適用対象になります。また、特別養護老人ホームなど他の施設の場合でも、各法令で定める施設に該当すれば、同様に小規模宅地等の特例の適用対象になります。
◆有料老人ホームの確認方法
有料老人ホームの事業者は、事業所の設置に際し、事前に都道府県知事に届出が義務付けられ、公開されています。また、契約に際して交付される重要事項説明書の記載をもとに事業内容を確認することもできます。小規模宅地等の特例適用について判断する際は、上記(1)(2)の要件を満たしているかをしっかり確認しましょう。