2026年10月の税務
10月13日
●9月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
10月15日
●特別農業所得者への予定納税基準額等の通知
11月2日
●8月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●2月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の2月、5月、11月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の7月、8月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(6月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第3期分)(10月中において市町村の条例で定める日)
税制・社会保険の適用 それぞれの「年収の壁」
◆今年の税制改正で所得税年収の壁が見直し
これまで「年収を抑えて扶養の範囲で働きたい」という場合、昨年までは所得税の壁は年収160万円でしたが令和8年には178万円に引き上げられます。扶養家族が働く時間が増えても課税されるラインが上がりました。
◆年収の壁は住民税や社会保険もあり
収入が大体年収100万〜110万円を超えると住民税が掛かります。こちらは所得税に比べると課税ラインが低く、課税基準は自治体ごとに違うので確認が必要です。
社会保険の加入基準となる「106万円の壁」は現在51人以上の被保険者がいる事業所で適用され「所定内賃金が月平均8.8万円以上」「週所定労働時間20時間以上」「学生でない」方が対象になります。ただし令和8年10月からは「年収106万円」の壁は撤廃される予定です。
◆影響大きい「年収130万円の壁」
これは50人以下の全事業所も対象です。配偶者の社会保険の扶養家族で加入している場合、基準を超えると扶養から外れ自分で社会保険に加入します。扶養家族が勤めている事業所の社会保険に入るか、国民健康保険・国民年金に加入します。社会保険は保険料負担が大きいため手取りが減るということがあります。厚労省は助成金等でその分をカバーするような制度もつくっていますが、対象者に使えるかは申請をしてみないとわかりません。
また、社会保険の事業所規模の拡大で今までは扶養家族であっても、扶養家族が勤める事業者が拡大対象事業所になれば扶養からは外れるケースも出てきます。
税制が大幅に所得税の壁を引き上げでやや楽になったかと思っても、社会保険の壁が存在すると手取りを気にする短時間労働者の働き方はそれほど大きな変化は見られないでしょう。
◆高齢者就業には一定の変化が
一方、働き方の変化でいうと扶養家族ではありませんが、企業に勤める高齢者で厚生年金保険の適用者は在職老齢年金の年金停止ラインが月65万円と大幅に上がったので、年金カットを意識せず就業がしやすくなったといえるでしょう。
外貨運用の落とし穴 最高裁が「課税あり」と判断
◆為替差益は「換えた瞬間」に課税される
海外で資産を運用する経営者が増えています。円安が続くなか、外貨建ての金融商品や海外口座を活用してリターンを追う動きは自然なことですが、今年6月に出た最高裁判決が、その運用に伴う税務リスクを明確に示しました。令和8年6月16日、最高裁判所は、スイスの金融機関に運用を一任していた居住者に対する更正処分が適法であるとする判断を下しました。
問題となったのは、ドルでユーロを買う、外貨で外国株式を購入するといった「外貨同士の交換」です。外貨を円に戻したときだけ課税されると思っている方が多いのですが、外貨から別の外貨に換えたその瞬間にも、為替差益が「雑所得」として確定し、確定申告が必要になります。
◆「任せているから知らない」では通らない
今回の事案では、本人が直接操作するわけではなく、外国の金融機関に運用を「一任」していました。それでも最高裁は、個々の通貨交換や外貨建て有価証券の取得のたびに課税関係が生じると明示しました。「運用はプロに任せているので自分には関係ない」という認識は、税務上は通用しません。
海外の金融機関が発行する運用報告書には円換算の損益が記載されていないことが多く、ご自身で取引明細を取り寄せ、取引ごとに円換算額を確認する必要があります。
◆申告漏れが発覚したときのリスク
申告漏れが税務署に把握された場合、本来の税額に加えて過少申告加算税が課されます。さらに、故意に隠したと認定されれば重加算税の対象となる可能性もあります。
近年、国際的な情報交換制度(CRS)の整備により、海外口座の残高や取引状況は各国税務当局間で共有されており、「海外だからわからない」という認識はもはや通用しません。
◆備えは今からでも遅くありません
外貨建て資産を保有されている方にまずお願いしたいのは、海外口座の取引明細を金融機関に請求し、外貨同士の交換や外貨建て有価証券の取得が発生していないかを年ごとに確認することです。取引日ごとの円換算額の計算は地道な作業ですが、正確な申告の土台となります。心当たりのある方は、早めに専門家へご相談ください。