事務所だより:

★事務所だより4月号★

発行日:2024年04月
運送業や建設業で1日から時間外労働の上限規制が始まりました。建設業では、一般企業の週休二日にあたる四週八閉所を呼びかけています。長時間労働の是正につながる一方で人手不足の懸念も生じます。デジタル化による生産性向上の取り組みが進んでいるとはいえ、私たちの生活に実際にどのような影響がでてくるのか気になるところです。

従業員の旅費交通費精算と適格請求書(=インボイス)の保存

◆旅費交通費にかかる3つのインボイス特例
 適格請求書等保存方式の下では、請求書等の受領が困難な理由がある場合を除き、インボイスの保存が仕入税額控除の要件となっています。困難なものの中で、普段の経理実務で発生する旅費交通費に関するものに、下記の3つの特例があります。
(1)公共交通機関特例
 3万円未満の公共交通機関(船舶、バスまたは鉄道)での旅客運送では、仕入側の会社は、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。適用には、帳簿に「公共交通機関特例」等との記載が必要です。
(2)入場券等回収特例
 3万円以上の公共交通機関利用で簡易請求書の記載事項が記載された乗車券が回収される場合は、通常の記載事項に加え、帳簿に「入場券等回収特例」等と記載のほか、公共交通機関の住所等の記載も必要です。
(3)出張旅費特例
 会社が従業員に出張旅費等を支給する場合には、「その旅行に通常必要であると認められる部分」の金額は、帳簿のみの保存で仕入税額控除OKです。適用するには、通常の記載事項に加え、帳簿に「出張旅費等特例」などと記載することが必要となります。

◆旅費規程に基づく立替経費精算書での精算
 複雑にすると混乱しますので、これまで社内で使ってきた経費精算システムを踏襲し、新たに必要となった事項のみ追加する方が良いでしょう。仕入れの相手先名の横にインボイス番号を記載する欄を設け、近郊の公共交通機関利用の場合はそこに「公共交通機関特例」と記載するなどです。
 課税仕入れの相手方を従業員とし、従業員が個人で取得した適格請求書まで辿れるようにしておけば、旅費交通費精算のインボイス保存の問題に対処できます。各社で処理フローを想定し、従業員に周知して、早いうちに慣れてもらいましょう。

◆会計システムのエラーメッセージへの対応
 会計ソフトのインボイス制度への対応で、「課税仕入れとしていますが登録事業者ではありません」や「取引金額が1万円未満のため全額仕入控除できます(少額特例対象会社)」などのエラーメッセージでその都度作業が止まってしまうことがあります。それでなくともインボイス番号の確認作業で経理担当の作業量は大幅に増えています。
 各社で環境は違いますが、自社のエラーメッセージ対応策を見つけ、無駄な時間をできるだけ回避するようにしましょう。

老後資金を用意するには

◆年金だけで生活するのはますます難しく
 老後不安と言われていても実際は50代になってからようやく年金について意識する人が多いと思います。しかし高齢者の増加と若年労働力の不足で年金受給額は目減りする傾向で推移しています。簡易生命表によると2022年時点で日本人の平均寿命は男性81.05歳、女性は87.09歳です。
 中年より下の世代も公的年金以外の生活の手段を打っておく必要があるでしょう。

◆老後に必要なお金
 総務省家計調査報告(2022年)によれば1世帯で平均は月額約244,000円です。一方厚労省の2022年の夫婦のモデル年金の受給額は約22万円です。これは夫が老齢基礎年金は満額、老齢厚生年金は平均標準報酬月43.9万円で40年間加入したと想定、妻は専業主婦で既存年金が満額支給されたときの想定なので現状とかなりちがうかもしれません。
 ですからこの条件の年収がもう少し低い層や自営業者などは年金だけでは不足することが目に見えています。国民年金だけの加入者は会社員や公務員などの厚生年金や共済組合の加入者より受け取る年金額は少なくなっています。ここで比較をしてみましょう。国民年金と厚生年金に38年間加入した時との比較をしてみると
在職中平均年収と年金見込み額(厚生年金)
・400万円…約 6.0万円/月
・500万円…約 7.3万円/月
・600万円…約 9.7万円/月
・650万円…約11.5万円/月
・800万円…約12.6万円/月
上記に基礎年金の月額6.5万円を足します。
 これと比較して国民年金は収入に関係なく月額約6.5万円です。これだけでも大きい差があることがお分かりでしょう。

◆どのように備えるべきか
 貯蓄の他、国民年金基金や小規模企業共済、iDeCo、民間の個人年金、終身保険、つみたてNISA等非課税で積み立てできるものも多く、早めに老後資金を確保したいものです。投資についてはどのくらいのリスクまでなら許容できるかをよく考えて行いましょう。長い期間かけて積み立てて運用していくことになるので、準備は若いうちから考えておくことがよいでしょう。
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黒山ひめお税理士事務所
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