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事務所だより:

★事務所だより4月号★

発行日:2025年03月27日
いつもお世話になっております。
花便りが各地から聞こえてくる季節となりました。
新しい生活が実り多きものになりますようお祈りいたしております。

それでは、今月の事務所だよりをお届けします。

2025年4月の税務

4月10日
●3月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

4月15日
●給与支払報告に係る給与所得者異動届出

4月30日
●公共法人等の道府県民税及び市町村民税均等割の申告
●2月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●8月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の5月、8月、11月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の1月、2月決算法人を除く法人の1月ごとの中間申告(12月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>

○軽自動車税(種別割)の納付(4月中において市町村の条例で定める日)
○固定資産税(都市計画税)の第1期分の納付(4月中において市町村の条例で定める日)
○固定資産課税台帳の縦覧期間(4月1日から20日又は最初の固定資産税の納期限のいずれか遅い日以後の日までの期間)
○固定資産課税台帳への登録価格の審査の申出(市町村が固定資産の価格を登録したことを公示した日から納税通知書の交付を受けた日後3月を経過する日までの期間等)

事業の成績表の分析で利益を多く残す工夫につなげましょう

◆決算書=事業の成績表を分析してますか?
 決算書は一年間の事業の成績表です。個人事業の場合は暦年決算なので、1〜2月頃には前年の成績表ができているでしょう。決算書をどう見ていますか。単に前年より増えた減っただけで終わっていませんか。
 もう少しだけ比較対象を拡げ、同規模の同業他社と比べ、自社の強みと弱みをしっかりと認識するところまで、決算成績表を活用してみませんか。

◆自業種での適正な原価率・人件費率等は?
 飲食店経営の場合を例にします。「食材費」と「人件費」の「売上高」に占める割合を「FL比率:F=Food、L=Labor」といい、一般的にFL比率の適正値は60%以下といわれています。FL以外の経費(店舗家賃、水道光熱費、機器のリース料など)が30%超えることが多いため、FL比率が70%を超えてくると、利益がほとんど残らなくなり、立ち行かなくなります。そのため、飲食店経営においては、FL比率を常に把握し、改善をしてゆくことが、経営を安定させることにつながります。

◆利益増は売上増か経費の削減
 利益増には、売上を増やすか、経費を減らすか、その両方かということになります。
 売上=客数×客単価です。あなたのお店で客数・単価を増やすには、どんな方法がありそうですか。座席数を増やせないか、回転率を上げられないか、客単価を増やすには何か策がないか等々、検討し実行すべきアイデアがいくつか出てくるでしょう。
 経費の削減については、食材費の質を落とすと客離れにつながるので、ムダがないかの検証が必要です。同じ食材でも購入方法いかんで仕入額が高くなっていませんか。業務卸店で仕入れるのではなく、面倒だからといって近所のお店で一般消費者と同じ値段で購入などしていませんか。食材ロスの減少はできそうですか。また、常連客へのサービスとして盛りを大きくして原価増となっていませんか。こうしたものがあれば即見直しが必要です。
 人材配置も過剰に心配して厚く集めすぎていませんか。効率的な動き方の業務マニュアルの作成などでムダな人件費の発生の抑制も目指しましょう。
 数字を比較・分析して、いろいろな工夫をし、多くの利益が残るような成果につなげてください。

使い勝手よい適格現物分配

◆組織再編制度としての現物分配
 法人が株主に対し配当により金銭以外の資産を交付することを会社法では現物配当と言っていますが、法人税法はこれを、現物分配と規定し組織再編行為としています。その結果、現物分配は、組織再編による資産の譲渡と認識されることになります。
 また、100%完全支配関係での現物分配は適格現物分配と規定され、適格現物分配での資産の移転価額は、移転直前の帳簿価額に拠るものとされ、譲渡損益は生じないことになっています。

◆配当の仲間から排除しての益金不算入
 適格現物分配は、法人税法上、受取配当金の仲間から除外されています。その結果、完全子法人株式・関連法人株式に係る配当計算期間における継続保有規定での適用制限要件から解放されています。さらに、適格現物分配は、所得税法上の配当所得からも除外され、その結果、配当所得に係る源泉徴収の対象から除外されてもいます。
 なお、適格現物分配は、利益積立金の増加項目として政令に特記されています。会計上収益計上されている受取配当金は、従って実務的には、法人税申告書別表四において「適格現物分配に係る益金不算入額」として減算・社外流出処理をすることになります。

◆適格現物分配と継続要件
 組織再編税制における適格要件では、100%の持株関係という完全支配関係の継続が見込まれていること、と規定されるものが多いのですが、適格現物分配制度では、現物分配を行う直前での完全支配関係だけで十分で、継続要件は置かれていません。

◆現物分配と消費税
 現物分配は、配当という手段で不動産や株式などの金銭以外の資産を交付することなので、資産の譲渡の概念に含まれる、と言えます。しかし、資産の譲渡の概念に含まれるとしても、必ずしも消費税の課税対象になる、というわけではありません。
 対価を得て行う事業行為であれば消費税の課税対象となる資産の譲渡等に該当することになりますが、現物分配は株主の地位に基づく、出資への謝礼として分配されるものなので、消費税法上の資産の譲渡等には該当せず、不課税となります。

減資による外形標準課税逃れへの対応

 外形標準課税から逃れるため、資本金を1億円以下に減資し、あるいは組織再編時に子法人の資本金を1億円以下に設定する法人への対応として、令和6年度税制改正では外形標準課税の適用対象法人を見直す措置が取られています。

◆資本金と資本剰余金の合計額が判定基準に
 令和7年4月1日以後に開始する事業年度において、事業年度末の資本金1億円超の法人を外形標準課税の対象法人とする従来の判定基準は維持しつつ、「当分の間」、資本金1億円以下であっても、前事業年度が外形標準課税の対象法人であり、払込資本の額(資本金と資本剰余金の合計額)が10億円を超える法人についても外形標準課税の対象とされることとなりました。
 また、駆け込みで減資を行う法人への対応措置として最初事業年度(令和7年4月1日以後、最初に開始する事業年度)には経過措置が適用されます。公布日(令和6年3月30日)の前事業年度から最初事業年度の前事業年度までのいずれかで外形標準課税の対象法人であったものは、課税される事業年度の「前事業年度」に外形標準課税の対象でなかったとしても、最初事業年度に資本金1億円以下で払込資本の額が10億円を超えるものは外形標準課税の対象とされます。たとえば3月決算法人が公布日後の令和7年3月期に駆け込みで資本金を1億円以下に減資した場合、令和7年3月期は外形標準課税の対象外ですが、最初事業年度の令和8年3月期に払込資本の額が10億円を超えるものは外形標準課税の対象法人とされます。
 ただし、公布日前に行われた減資については、「駆け込み減資」として扱わず、一定の場合、経過措置の適用はありません。

◆100%子会社にも課税逃れ措置を実施
 令和8年4月1日以後に開始する事業年度において払込資本の額が50億円を超える法人(またはグループ内の複数の法人)に株式を100%保有される子法人で払込資本の額(公布日以後に配当等により減少した額を加算した後の金額)が2億円を超えるものも外形標準課税の対象となります。
 なお、経過措置として令和8年4月1日から令和9年3月31日までに開始する事業年度は、外形標準課税の対象外であるとみなした場合の事業税額を超える部分の3分の2が軽減され、令和9年4月1日から令和10年3月31日までに開始する事業年度は、3分の1が軽減されます。

資本的支出と修繕費の区分

 適正な税務申告には、固定資産の修繕や改良に要する費用の区分が重要です。実務では、「資本的支出」と「修繕費」の明確な区分が難しいケースが多く、特に機能回復を目的としつつ高機能化や耐久性向上が伴う場合は、判断が困難となります。

◆資本的支出と修繕費の定義と区分基準
 「資本的支出」は固定資産の機能のアップグレードや耐久性を増加させる支出で、取得価額に加算し減価償却を通じて費用化されます。
 「修繕費」は固定資産の維持管理や原状回復のための費用で、発生した事業年度の損金算入が可能です。

◆判断が難しい事例:蛍光灯のLED化
 LED化による節電効果や耐久性向上から、一見「資本的支出」と考えられるかもしれません。しかし、実務では「照明設備」の消耗品の交換とみなし、全体の価値向上とはせず、「修繕費」として処理することが適切です。

◆修繕費として認められる特例
 以下の条件を満たす支出は、修繕費として処理することが認められています。
(1)定期的な修理: おおむね3年以内の周期で行われる修理や改良
(2)少額の支出: 一回の修理や改良の金額が20万円未満の場合
(3)判断が困難な場合: 資本的支出か修繕費か明確でない場合で、その金額が60万円未満、または資産の前年度末取得価額の約10%以下の場合

◆判例にみる資本的支出と修繕費の判断
 賃貸マンションの台所・浴室設備全面取替工事が争点となった国税不服審判所の平成26年4月21日の裁決(平成21、22年分の所得税)では、納税者は居住機能回復の修繕と主張するも、既存設備撤去と新設備設置は修繕を超え、資産価値を高め耐久性を増す資本的支出と判断されました。
 この裁決は、工事目的が機能回復でも、内容が実質的に資産価値向上なら資本的支出となることを示しています。
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小田信篤税理士事務所