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事務所だより:

★事務所だより12月号★

発行日:2025年11月25日
いつもお世話になっております。

街路樹の落葉が歩道や車道に舞い散る季節になりました。
秋から冬へ、季節の流れは早いものですね。

それでは、今月の事務所だよりをお届けします。

2025年12月の税務

12月10日
●11月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額・納期の特例を受けている者の住民税の特別徴収税額(6月〜11月分)の納付

翌年1月5日
●10月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●4月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の1月、4月、7月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の9月、10月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(8月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>

○給与所得者の基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書・保険料控除申告書・住宅借入金等特別控除申告書の提出(本年最後の給与の支払を受ける日の前日)
○給与所得の年末調整(本年最後の給与の支払をするとき)
○固定資産税(都市計画税)の第3期分の納付(12月中において市町村の条例で定める日)

価格転嫁が法的に守られる中小受託事業者の交渉力強化

◆改正下請法で何が変わるのか
 令和8年1月1日施行の新・下請法(正式名称「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」)では、発注側と受注側との価格交渉が法的に義務づけられます。中小受託事業者がコスト増を理由に価格見直しを申し出た際、委託事業者が正当な協議を拒否することは、今後違法行為とみなされる可能性があります。
 この改正により、価格交渉の「結果」ではなく「交渉の姿勢」自体が法の監視対象となるため、価格転嫁を申し出ることが実務上の正当権利として明確になります。

◆対象事業者と規制の範囲拡大
 今回の改正では、保護対象となる中小受託事業者の基準が見直され、従来の「資本金要件」に加えて「従業員数基準」が導入されます。これにより形式上は大企業に見えるが実質的には中小規模の事業者が保護対象に含まれるようになり、適用範囲が実務に即して拡大されます。

◆手形廃止で資金繰りが安定化
 支払い方法に関しても大きな変更が加えられます。新法では、手形による支払が原則禁止され、代金は現金で支払うことが義務づけられます。これにより、支払期日から現金化まで最大で120日かかっていた従来の手形取引から脱却し、最長でも60日以内の現金回収が可能になります。
 この改正は、資金繰りに不安を抱える受託側の経営安定に直結するものであり、とりわけ仕入額の大きい製造業や工事業、物流業などの中小企業にとっては日常的なキャッシュフロー改善に直結する重要な施策となります。

◆物流業者への明確な保護も
 さらに、これまで下請法の枠外であった「運送委託」も新たに適用対象として明記されました。発荷主が運送業者に対して直接委託を行う場合、運送業者は法的に保護される立場となります。
 たとえば荷役や荷待ちを無償で強いられるような取引、燃料費高騰に対する価格交渉の拒否なども、今後は法の対象として是正が可能となります。中小の運送業者にとっては、契約内容の明確化と価格転嫁の要求が制度的に支えられることで、収益構造の見直しと労務改善のきっかけにもなり得ます。

令和8年1月から追加されるマイナポータル連携対応

◆個人年金や損害保険等の返戻金が対応
 国税庁は令和8年1月から、マイナポータル連携の対象として、以下の調書を追加する予定と発表しています。
・生命保険契約等の一時金の支払調書・生命保険契約等の年金の支払調書・損害保険契約等の満期返戻金等の支払調書・損害保険契約等の年金の支払調書
 掲載時点の対応予定保険会社は住友生命や第一生命等、大手6社の名前が挙げられています。

◆ふるさと納税以外の寄附も対応
 併せてふるさと納税以外の寄附金についても、マイナポータル連携の対象とすると発表しています。特定非営利活動法人国連UNHCR協会・特定非営利活動法人国境なき医師団日本・公益財団法人日本ユニセフ協会が対応予定となっています。

◆使うと分かるマイナポータルの利便性
 マイナポータル連携をご利用いただいた方でしたら、その利便性は十分にご理解いただいていると思いますが、連携すると国税庁の確定申告書作成コーナーや年末調整ソフトや民間の税務会計ソフトに自動入力されるので、簡単に申告書作成作業等が終わります。特に収入が給与や年金のみの方ですと、自身で入力する部分が極端に少ない、もしくは全くないということもあるくらいです。

◆今までの連携対象控除証明書等
 これまでに連携対象となっているものについておさらいしてみましょう。
・小規模企業共済等掛金控除証明書・国民年金基金掛金の控除証明書・生命保険料控除証明書・地震保険料控除証明書・特定口座年間取引報告書・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書・年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書・住宅取得資金に係る借入金等の年末残高等調書・公的年金等の源泉徴収票・国民年金保険料の控除証明書・医療費通知情報・給与所得の源泉徴収票情報
 なお、連携可能な控除証明書等発行主体については、以下のURLで確認が可能です。
参考URL:
国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/mynumberinfo/list.htm

外国人を雇用する際の4つの注意点

 人手不足を背景に、外国人を雇用する企業が増えています。一方でトラブルや早期離職が起こるケースも少なくありません。こうした事態を防ぐには、企業側の理解と配慮が重要です。
 外国人を雇用するときは、在留資格や労働条件、日本語レベルなどの確認や教育環境の整備など、様々な準備が必要です。準備を怠ると既に働いている従業員との間にトラブルが起きることもあります。適切な形で外国人を採用することで企業の収益を高めることもできるでしょう。

◆外国人雇用の4つの注意点
①在留資格
 外国人を雇用するときは在留資格が自社の業務に合っているかどうかの確認が必要です。在留資格を持たずに外国人が働くと不法滞在及び不法就労になります。在留資格は「在留カード」という身分証で確認することができます。「就労不可」と記載されている場合は「資格外活動許可欄」を確認します。日本に在留するための資格は全38種類あり、資格ごとに許可される就労内容が定められています。
 資格で認められていない業務をしたり、在留期限が切れた後も更新せずに働いたりすると「不法就労」になるだけでなく、事業主も不法就労をさせた「不法就労助長罪」により処罰されるので注意が必要です。
②外国人雇用に必要な手続き
 外国人雇用をしたときはハローワークに外国人雇用状況を届け出なければなりません。雇用保険の加入条件に達した人は外国人であっても原則として雇用保険資格取得届を出します。
③労働条件・マナー・日本語レベル
 日本の慣習、文化になじみのない場合、労働条件やビジネスマナーについて事前に理解をしてもらうようにします。また、一般企業のビジネスの場ではN1かN2の日本語能力は欲しいところです。
 労働条件通知書は日本語、母国語で記載すればトラブルは少ないでしょう。日本のビジネスマナーは研修、OJTなどで身に着けてもらい教育環境も整えましょう。
④不法就労が判明したときの対応
 万が一、不法就労が発覚した場合には、直ちに出勤停止命令を下したうえで、新たな在留資格を取得するようにします。是正できない場合は解雇となりますので注意が必要です。

親の自宅を子がリフォームした時の課税

 親の自宅をリフォームするときに、子が工事代金を負担すると、建物は親の所有物であるため、贈与税が課税されます。

◆リフォーム部分の所有権は親に帰属する
 民法には不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する取扱いがあります。「従として付合した」というのは、不動産に付着しているものをいい、子が工事代金を負担したリフォーム部分は建物本体に付着しており、分けることはできないので、そのまま親の所有物となって贈与関係が発生することになります。

◆子の受けた損失を建物の持分で代物弁済
 しかし、贈与課税を発生させない方法があります。親が負担すべき工事代金を子が負担したにもかかわらず、リフォーム部分の所有権は親のものとなったのですから、子は自身の受けた損失に見合う償金を親に請求することができます。
 一方、親にリフォーム工事代金を支払う資金がない場合は、子の償還請求に対し、工事代金の支払債務の返済を金銭の代わりに建物所有権の持分を子に代物弁済として移転させます。この場合、代物弁済を受けることについて、債権者である子の承諾が必要になります。

◆代物弁済には譲渡所得税が課税される
 代物弁済は譲渡所得の対象となる資産の譲渡として扱われるので、譲渡所得税の課税対象となります。代物弁済により消滅する債務金額を収入金額とし、建物の取得価額を控除した残額が譲渡所得となります。
 そこで代物弁済により消滅する債務金額と等価となる建物持分を子に移転させることによって、譲渡所得がゼロとなり、課税を回避することができます、例えば、リフォーム前の建物時価を300万円、リフォーム工事代金を1,200万円、リフォーム後の建物持分の移転割合を80%(1,200万円÷(300万円+1,200万円))に設定すると、譲渡所得はゼロとなり、課税されません。

 収入金額=代物弁済する債務額1,200万円
 取得費=(300万円+1,200万円)×80%=1,200万円
 譲渡所得金額=収入金額-取得費=ゼロ(短期譲渡・長期譲渡ごとに区分計算する)

 リフォーム前に親から建物の贈与または譲渡を受けておくことも可能です。
 なお、居住用財産を他の者と共有とするための譲渡、親子間の譲渡には、3,000万円控除や軽減税率の特例は適用されません。
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小田信篤税理士事務所