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事務所だより:

★事務所だより7月号★

発行日:2026年06月29日
いつもお世話になっております。

本格的な夏の前に、木々の緑が色濃くなってまいりました。
蒸し暑い日が続いておりますが、お身体ご自愛下さい。

それでは、今月の事務所だよりをお届けします。

2026年7月の税務

7月10日
●6月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付(年2回納付の特例適用者は1月から6月までの徴収分を7月10日までに納付)

7月15日
●所得税の予定納税額の減額申請

7月31日
●所得税の予定納税額の納付(第1期分)
●5月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●11月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の2月、8月、11月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の4月、5月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(3月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>

○固定資産税(都市計画税)の第2期分の納付(7月中において市町村の条例で定める日)

退職年金の継続受給権に対する相続課税

◆退職年金は、みなし相続財産として課税
 退職年金を受給していた被相続人が死亡すると、残存期間の年金が相続人等に支払われます。年金は相続人等が固有の権利として取得したものですが、相続により取得したものとみなして相続税が課税されます。

◆継続受給権の財産評価
 退職年金の継続受給権は、「契約に基づかない定期金に関する権利」として、みなし相続財産に分類されます。
 相続人等が死亡するまで(相続人等が保証期間中に死亡した場合は保証期間が終了するまで)年金を継続受給する場合、受給権の評価額は、有期定期金、または終身定期金として算出した金額のいずれか多い金額とされます。

◆遺族年金の相続税は非課税
 ところで厚生年金、国民年金等の遺族年金は、厚生年金保険法、国民年金保険法など個別の法律によって受給者が被相続人に生計を維持されていたことを条件に非課税とする取扱いが定められています。
 一方、相続税の非課税財産の規定には、遺族年金を非課税とする旨の扱いはありません。その代わり、相続税法基本通達には遺族年金について、国民年金保険法、厚生年金保険法など個別法により相続税が課税されないことに留意するよう示されています。みなし相続財産であれば、契約に基づかない定期金に関する権利として課税されるのが原則です。

◆米国遺族年金は相続税が課税される
 それでは遺族年金に相続税を課税しない取扱いは、外国の遺族年金にも適用されるのでしょうか。米国遺族年金について相続税が課税されるか争われた事例があります。
 国税不服審判所の審判事例では、遺族年金が非課税となる取扱いは、個別法で国民年金、厚生年金等に設けられたものであり、米国の遺族年金をみなし相続財産として課税する取扱いを妥当とする裁決が出されています。
 令和8年2月には、地裁においても米国遺族年金の受給権について相続税の課税処分を妥当とする判決が出されました。

◆課税の公平は守られているか?
 司法判断は外国の遺族年金への課税は「合理性を欠くということはできない」として平等原則に違反しない旨を判示しました。しかし、遺族にとって国内の年金、海外の年金を問わず、生計維持のための経済的価値は変わらないとみることもできます。

名義預金の相続課税

◆見落としやすい名義預金
 遺産分割で見落としやすいのが名義預金です。親族名義で預金口座がつくられるので被相続人が生前、自分にプレゼントしてくれたものと思い込み、相続財産となる場合があることに気づかない。しかし、その場合でも相続財産として申告の要否を検討しなければなりません。
帰属者の判定要素
 税務署が相続財産に該当するかチェックするポイントは、次のものとなります。
(1)預金の原資は、誰が出捐したか
(2)預金口座は誰が開設し預入れしたか
(3)預入者の意思はどのようなものであったか
(4)通帳と印鑑を保管し、預金の預入れ、払出しをしたのは誰か
 被相続人が預金の原資を出捐し、親族名義の口座を開設し、通帳と印鑑を被相続人で保管し、預金の出し入れをしていれば、被相続人の名義財産とされる可能性が高まります。
 反対に、被相続人が親族に贈与の意思を示し、親族も受け取る意思を表示していたことが書面等で明確に確認できる場合は、贈与税の課税対象となります。
 国税庁の「誤りやすい事例⑥ 申告書第11 表の付表3関係」では、被相続人以外の名義財産(預貯金)について、名義にかかわらず、被相続人が取得資金を拠出していたことなどにより被相続人の財産と認められるものは相続税の課税対象となることが解説されています。

◆配偶者の名前で預金した場合
 夫婦が婚姻中、給与所得や事業所得等で得た財産は、夫婦の一方が単独で有する財産(特有財産)として夫婦それぞれに帰属します。夫が自身で稼得した財産を妻名義で預金した場合、帰属者の判定要素に照らして名義財産となる可能性があります。
 なお、贈与となることが明らかとなり、婚姻期間中に夫婦が拠出した資金を生活で消費するとき、贈与税は非課税となります。

◆子や孫に財産を残すための意思表示
 被相続人が生前に子、孫の名義で預金口座をつくるのは、相続税を減らす動機もあるでしょうが、自分の意思で財産を渡したい願いもあるのではないでしょうか。親族名義の預金口座が見つかったときは、被相続人の生前の意思を尊重して遺産分割すれば協議が円滑に進むかもしれません。

一体どうすればよいの? 一人社長が亡くなった場合の後継者選任

◆一人社長が突然亡くなってしまった場合
 中小企業やスタートアップには、一人で社長(代表取締役)と株主を兼ねている会社が多くあります。会社法では、会社に最低1名の取締役がいればよいため、設立は容易です。このような会社は、意思決定の迅速さが強みですが、責任が一人に集中しているため、いろいろなリスクが存在します。例えば、一人社長が突然亡くなってしまった場合。会社が運営できなくなるので、社長の相続人や従業員が連携して、当面の事態に対処しなければなりません。
1.株式の問題:今後誰が会社の持ち主となるか
2.取締役の後継者の問題:今後誰が会社の経営を行うのか

◆株主全員の同意が得られる場合
 会社は、代表取締役が不在という状態を解消するため、株主総会を開催して、後継者(新代表取締役)を選任します。この場合、会社法では株主総会の招集権限は取締役にありますが、唯一の取締役が死亡してしまった場合、招集する人がいなくなってしまいます。そのため、株主(社長の有する株式の相続権がある人)の全員に合意が取れる場合には、次のいずれかの方法により株主総会を開催し、そこで後任を選任します(株主総会決議自体を省略し、株主全員の書面決議で後任を選任することも可能です)。
(1) 招集手続の省略
 株主の全員の同意書をもらい証拠を残すことで、株式総会の招集手続を経ずに、株主総会を開催することができます。
(2) 全員出席株主総会
 株主が全員出席する場合、招集なしでも有効な株主総会が成立します。

◆株主全員の同意が得られない場合
 もし、株主全員の同意が得られない場合には、次のような手段が考えられます。
(1) 少数株主による株主総会招集請求
 議決権3%以上(定款で緩和可)の株主が裁判所に請求し、許可を得て自ら株主総会を招集します。この手続により、有効な後任を選任する決議を行えます。
(2) 一時取締役(仮取締役)の選任
 利害関係人(株主・債権者・従業員等)が裁判所に一時取締役(仮取締役)の選任を申し立てます。報酬は裁判所が決定し、通常弁護士等が選任されます。後任が選任されるまでの間の緊急の救済措置です。

相続税調査は増加傾向 追徴課税額も過去最高水準に

◆実地調査は9,500件超に増加
 令和6事務年度の相続税に関する実地調査件数は9,512件で、前年度比111.2%と大幅に増加しました。追徴税額も824億円(前年度比112.2%)と増加し、調査1件あたりの追徴額は平均867万円に達しています。調査の対象は、過少申告が疑われる事案や、申告義務があるにもかかわらず無申告が疑われる事案など、国税当局が入手した資料情報に基づき重点的に選定されています。

◆簡易な接触でも追徴効果
 書面通知や電話・来署依頼による「簡易な接触」も積極的に行われており、21,969件(前年度比117.0%)に達しました。これにより、申告漏れ課税価格は1,123億円、追徴税額は138億円と、いずれも簡易接触が開始された平成28年度以降で最高水準となっています。形式的なやり取りで済むと軽視されがちですが、実態は大きな修正リスクを伴っており、税務署からの文書ひとつが大きな対応義務に発展する可能性があることを認識すべきです。

◆無申告・海外資産は特に要注意
 無申告事案の追徴税額は142億円と、平成21年度の公表開始以来で過去最高を記録しました。また、海外資産関連事案も増加しており、実地調査件数は1,359件、申告漏れ課税価格は97億円でいずれも前年比2割以上の増加です。特に、CRS情報や租税条約による情報交換が活用されており、海外資産の秘匿は極めて困難になっています。
 実例として、海外子会社への貸付金を国内法人口座経由で隠蔽したケースでは、約4.4億円の課税価格の修正が行われ、1.8億円の追徴税額が発生しました。意図的な隠蔽行為は重加算税の対象にもなり得るため、非常に高額な税負担リスクを伴います。

◆実務での対応ポイント
 これらの状況を踏まえ、相続税対策を行う中小企業経営者や資産家は、次の点に留意すべきです。まず、相続前の多額の現金引き出しや贈与については、目的・使途の記録と説明責任を明確にすること。また、海外資産を保有している場合は、その管理状況や取得経緯を文書化しておくことが肝要です。税理士任せにせず、資産構成と過去の資金移動について経営者自身が説明可能な体制を整えておくことが、将来的な税務リスクを軽減する鍵となります。
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小田信篤税理士事務所