発行日:2025年06月03日
2025年6月の税務
6月10日
●5月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額・納期の特例を受けている者の住民税の特別徴収税額(前年12月〜当年5月分)の納付
6月16日
●所得税の予定納税額の通知
6月30日
●4月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●10月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の1月、7月、10月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の3月、4月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(2月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
●国外財産調書・財産債務調書の提出
○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第1期分)(6月、8月、10月及び1月中(均等割のみを課する場合にあっては6月中)において市町村の条例で定める日)
中小企業の新たな保証制度 〜経営安定化への道〜
◆中小企業の新たな保証制度
2025年3月14日、中小企業庁は物価高や人手不足などの影響を受ける中小企業者向けに、新たな保証制度の取扱いを開始しました。 これは、原材料の価格高騰や人手不足に直面する中小企業者を支援するため、金融機関のプロパー融資と保証付き融資を組み合わせ、金融仲介機能の強化を図るものです。これにより、省力化投資を促進し、経営の安定や事業の発展を後押しします。この保証制度は3年間の時限措置として、2028年3月末まで実施されます。
◆制度の詳細と申請要件
協調支援型特別保証制度の対象となるのは、以下のいずれかの要件を満たす中小企業者です。一つ目は、申込金融機関から本制度による保証付き融資の実行と同時に、その融資額の1割以上のプロパー融資を受けること。二つ目は、申込金融機関の支援を受けつつ、自ら経営行動計画を策定し、その実行および進捗を報告することです。
保証限度額は2億8,000万円で、保証期間は一括返済の場合1年以内、分割返済の場合10年以内と設定されています。また、保証料率は0.45%から1.90%の範囲で、保証申込日に応じて国からの保証料補助が受けられます。
◆経営改善サポート保証制度の強化
さらに、新型コロナウイルス感染症の影響や物価高、人手不足などで厳しい状況にある中小企業者向けに、「経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)」制度が開始されます。これは、経営サポート会議や中小企業再生支援協議会等の支援を受けて作成した再生計画等に基づき、事業再生を実行するための資金借入を保証するものです。
保証限度額は2億8,000万円で、保証料率は0.3%、保証期間は最長15年と設定されています。これらの新たな保証制度は、経営環境の変化に柔軟に対応し、持続的な発展を目指す中小企業者にとって大きな支えとなるでしょう。特に、省力化投資や経営改善に取り組む際の資金調達手段として、これらの制度を積極的に活用することが期待されます。
詳細な情報や申請手続きについては、各信用保証協会や中小企業庁の公式ウェブサイトを参照し、早めの対応を心掛けることが重要です。
M&Aがぐっと身近に 〜事業承継・M&A補助金〜
◆経営を未来につなげる選択肢
「このまま続けていいのか」「後継者が見つからない」。そんな悩みを抱える中小企業の経営者にとって、M&Aは決して特別なものではなくなってきました。国もこの動きを強く後押ししており、令和7年度にも「事業承継・M&A補助金」として、具体的な支援策がスタートする予定です。
◆最大1,000万円、専門家費用も補助
この補助金は、事業承継やM&Aの際にかかる設備投資や専門家活用の費用などに対し、最大1,000万円(補助率2/3)を支援してくれるものです。たとえば、親族内や従業員への承継、第三者への売却など、経営のバトンをつなぐための支出をグッと軽減してくれます。
◆「売る」だけでなく「成長」の選択肢にも
補助の対象は「売りたい企業」だけではありません。「これから買って広げたい」企業も、M&Aに伴うPMI(統合支援)費用などで使えます。また、譲渡・譲受のどちらでも専門家や仲介への報酬支出がサポートされるため、安心して検討が可能です。
◆申請はこれから本格化。準備がカギ
この制度は、2月に事務局公募が完了し、現在(3月時点)補助金の詳細公募に向けた準備が進められています。本格的な募集が始まる前に、顧問税理士や中小企業診断士と一緒に計画を立てておくと申請時にスムーズです。
この補助金は後継者難による“消滅”を防ぐだけでなく、「今のうちに会社の価値を高めて譲る」という考え方も応援しています。誰かに託すことは、会社の未来を守る立派な経営判断。廃業か継続か、悩む前に“第三の道”としてのM&Aを選択肢に入れてみませんか?
◆未来をつなぐ制度、まずは相談から
制度をうまく活用すれば、これまで諦めていた選択肢が現実になります。まずは「相談してみる」ことから始めてみましょう。その一歩が、未来を変えるかもしれません。制度をうまく活用すれば、これまで諦めていた選択肢が現実になります。迷ったら、一度専門家に話を聞いてみるのがおすすめです。
人手不足時代の経営術 今こそ組織の再設計を
◆過去最高水準の人手不足
2025年1月時点で、正社員の人手不足を感じる企業は53.4%に上り、これは2018年の最高値に迫る水準です。特に運輸・建設・サービス業で深刻で、「人が集まらない」「すぐに辞める」という声が各所で聞かれます。業種・規模を問わず、人材確保が経営上の最重要課題となっている今、従来のやり方ではもはや通用しないフェーズに入っています。
◆採用だけでは解決しない
調査によれば、約6割の企業が「人材確保・採用」を課題に挙げていますが、「人材育成」や「職場環境の改善」が遅れている実態も浮かび上がっています。特に「職場環境の整備」に関しては、半数近い企業が「実施していない・予定もない」と回答しており、人的資源を活かす視点が十分とは言えません。採って終わりではなく、「育て、定着させる」発想への転換が不可欠です。
◆人材多様化への取り組み不足
政府が推進する副業人材やプロ人材の活用、高齢者・外国人・障がい者雇用に関する取り組みは、中小企業ではまだ広がっていません。実際、調査では「副業・兼業人材の受け入れ」については約7割が「実施予定なし」と答えており、新たな労働力への理解と準備が進んでいない現状が明らかです。固定観念を捨て、多様な人材が働ける制度設計が急がれます。
◆賃上げ・評価制度の見直し
人材確保に直結する賃上げですが、「実施予定なし」とする企業は全体の2〜3割に上ります。中でも卸売業・小売業では実施率が低く、業界特有の構造的課題も影響しています。また、人事評価制度や処遇改善に着手している企業は6割を超えており、「人への投資」に取り組む企業とそうでない企業の二極化が進行中です。
◆中小企業が今やるべきこと
人手不足は構造的な問題であり、一朝一夕に解決できるものではありません。しかし、人材を「コスト」ではなく「資産」として捉え直すことが、これからの中小企業経営の鍵を握ります。人手不足という難局は、実は自社を変える絶好のチャンスです。今こそ、自社の魅力や働き方を見直し、「選ばれる企業」へと進化していきましょう。
持続可能な関係構築 〜パートナーシップ構築宣言〜
◆中小企業の成長を支える新たな枠組み
中小企業の皆様が大企業との取引において、不利な条件に直面することは少なくありません。新たな取引先を開拓したくても、接点を持つのが難しいと感じることはないでしょうか。
こうした課題に対応するために生まれたのが「パートナーシップ構築宣言」です。
◆パートナーシップ構築宣言とは
「パートナーシップ構築宣言」は、中小企業が大企業とともに持続可能な関係を築くための枠組みです。サプライチェーン全体の価値向上を図ることを目的とし、大企業と中小企業が対等な立場で取引を行い、公正で持続可能な取引環境を確保するための取り組みを推進します。
具体的には、適正な価格交渉の推進、不合理なコスト削減の回避、知的財産の保護と適切な活用が求められています。また、企業間のパートナーシップを強化し、新たな市場の創出や技術革新を促進することも期待されています。こうした取り組みを企業が自ら宣言し、公表することで、取引の透明性を向上させ、より良い関係を築くことができます。
◆補助金との関連性
この宣言を行うことで、「ものづくり補助金」や「中堅・中小成長投資補助金」などの申請時に優遇措置が受けられるようになりました。政府が取引の適正化を推進する中で、公正な取引を実践する企業に対し支援を強化する流れがあるため、補助金を活用したい企業にとって大きなメリットとなるでしょう。
◆申請方法
「パートナーシップ構築宣言」はオンラインで簡単に申請できます。自社の取引方針や取り組み内容を登録すると、パートナーシップ構築宣言ポータルサイト上で公表され、登録企業リストに掲載されます。これにより、新たな取引先とつながる機会が増え、企業の信用力向上にもつながります。
「パートナーシップ構築宣言」は、中小企業が大企業と公正な取引を行い、共に成長するための有効な手段です。日本政策金融公庫の融資制度の利用も可能です。まだ導入していない企業は、この機会にぜひ検討してみてください。
中小企業の新たな保証制度 〜経営安定化への道〜
◆中小企業の新たな保証制度
2025年3月14日、中小企業庁は物価高や人手不足などの影響を受ける中小企業者向けに、新たな保証制度の取扱いを開始しました。 これは、原材料の価格高騰や人手不足に直面する中小企業者を支援するため、金融機関のプロパー融資と保証付き融資を組み合わせ、金融仲介機能の強化を図るものです。これにより、省力化投資を促進し、経営の安定や事業の発展を後押しします。この保証制度は3年間の時限措置として、2028年3月末まで実施されます。
◆制度の詳細と申請要件
協調支援型特別保証制度の対象となるのは、以下のいずれかの要件を満たす中小企業者です。一つ目は、申込金融機関から本制度による保証付き融資の実行と同時に、その融資額の1割以上のプロパー融資を受けること。二つ目は、申込金融機関の支援を受けつつ、自ら経営行動計画を策定し、その実行および進捗を報告することです。
保証限度額は2億8,000万円で、保証期間は一括返済の場合1年以内、分割返済の場合10年以内と設定されています。また、保証料率は0.45%から1.90%の範囲で、保証申込日に応じて国からの保証料補助が受けられます。
◆経営改善サポート保証制度の強化
さらに、新型コロナウイルス感染症の影響や物価高、人手不足などで厳しい状況にある中小企業者向けに、「経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)」制度が開始されます。これは、経営サポート会議や中小企業再生支援協議会等の支援を受けて作成した再生計画等に基づき、事業再生を実行するための資金借入を保証するものです。
保証限度額は2億8,000万円で、保証料率は0.3%、保証期間は最長15年と設定されています。これらの新たな保証制度は、経営環境の変化に柔軟に対応し、持続的な発展を目指す中小企業者にとって大きな支えとなるでしょう。特に、省力化投資や経営改善に取り組む際の資金調達手段として、これらの制度を積極的に活用することが期待されます。
詳細な情報や申請手続きについては、各信用保証協会や中小企業庁の公式ウェブサイトを参照し、早めの対応を心掛けることが重要です。