発行日:2026年03月31日
2026年4月の税務
4月10日
●3月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
4月15日
●給与支払報告に係る給与所得者異動届出
4月30日
●公共法人等の道府県民税及び市町村民税均等割の申告
●2月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●8月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の5月、8月、11月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の1月、2月決算法人を除く法人の1月ごとの中間申告(12月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
○軽自動車税(種別割)の納付(4月中において市町村の条例で定める日)
○固定資産税(都市計画税)の第1期分の納付(4月中において市町村の条例で定める日)
○固定資産課税台帳の縦覧期間(4月1日から20日又は最初の固定資産税の納期限のいずれか遅い日以後の日までの期間)
○固定資産課税台帳への登録価格の審査の申出(市町村が固定資産の価格を登録したことを公示した日から納税通知書の交付を受けた日後3月を経過する日までの期間等)
-相続空き家の特例-建物解体費の譲渡費用該当性
土地や建物を売却した場合、譲渡所得金額の計算上、譲渡費用は取得費とあわせて資産の譲渡収入金額から控除できます。
◆「直接的必要性」と「客観的必要性」
譲渡費用は、「資産の譲渡に要した費用」とされます。国税庁タックスアンサーでは、譲渡費用を「土地や建物を売るために直接かかった費用」とし、直接的必要性が強調されています。
一方、所得税基本通達では、譲渡費用の例示として「土地(借地権を含む)を譲渡するため、その土地の上にある建物等の取壊しに要した費用」としており、直接的必要性は記載していません。これは、平成18年最高裁判決を契機に発遣された譲渡費用の範囲についての個別通達、土地改良区内の農地を転用目的で譲渡した際、土地改良区に支払われた農地転用決済金等を譲渡費用とする措置を受けたものと思われます。
この裁判では、譲渡費用を従来の「直接的必要性」要件にとらわれず、「現実に行われた資産の譲渡を前提として客観的に見てその譲渡を実現するために当該費用が必要であったかどうかにより判断すべきもの」とし、新たに「客観的必要性」要件が判断基準として示されました。この「客観的必要性」の要件は、それぞれの譲渡における個別事情に照らして客観的に判断されることになります。
◆相続空き家の特例での譲渡費用該当性
相続空き家の特例で建物を耐震改修又は取り壊す目的は、耐震基準を満たしていない被相続人の空き家の発生を抑制する国の政策実現にあります。空き家を取り壊す場合は、更地で売却するか、あるいは建物と土地を先に売却したうえで、売却した年の翌年2月15日までに建物を取り壊すことが税法上、必要となりますので、解体工事費には土地売却のための客観的必要性があるものと思われます。
また、特例の適用には相続開始時から取壊し又は売却までの間、建物、土地を賃貸用、事業用、居住用に供しないこと、建物解体後は土地の売却まで建物や構築物の敷地の用に供しないことなど利用制限が課されますので解体工事費の直接的必要性は高まります。さらに、特例の適用期限は相続開始から3年経過する日の属する年の12月31日までですが、建物解体工事の後、媒介契約、売買契約、引渡しに至るまでの期間を速やかに進行させることにより、直接的必要性は説明しやすくなるものと思われます。
協会けんぽ・雇用保険料率 4月給与計算から変わります
◆平均9.9%に変更
主に中小企業の従業員が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)が2026年度の収支見込概要を発表しました。
2026年3月分(4月納付分)から医療分の平均保険料率は10%から9.9%に引き下げられます。ただし介護保険料率は1.59%から1.62%に引き上げられます。新設の子ども・子育て支援金制度による支援金は0.23%が発生します。
◆医療分
2026年度の協会けんぽの収支見込額については、平均保険料率を前述見込み率で計算すると収入総額が12兆3,979億円、支出総額が11兆8,841億円と見込まれ、単年度収支差は5,137億円となると見込まれています。収入については前年より516億円増加すると見込んでいます。それは料率を下げたとしても保険料を負担する被保険者の標準報酬月額の上昇による増加見込みがあるからです。給与が上がっても標準報酬月額の上昇で保険料が増えるので手取りは思うほど増えない構造があります。
支出も1,951億円増える見込みで加入者1人当たりの医療給付費が増える見込みによるものです。
◆介護分
2026年の介護保険料率は前年の介護保険料率の1.59から1.62と0.03%増加します。
◆子ども・子育て分
2026年4月から開始される子ども・子育て支援金制度による2026年度の支援金率については国から示された「実務上一律の支援金率」で0.23%になります。
新しい制度で保険料の徴収が始まるので、健康保険料の引き下げは抵抗を少なくする狙いもあるのでしょうか。
また、この制度は健康保険組合にも適用されますのでご確認ください。
◆雇用保険料
2026年4月より、雇用保険料率が一般事業の場合0.1%下がります。事業主、被保険者はそれぞれ0.05%ずつ下がることになります。
社会保険料と雇用保険料と同時に変わりますので、4月徴収の保険料は給与計算の際に十分気を付けてください。
厚生年金の標準報酬月額の上限の引き上げ
◆令和7年年金法改正
「厚生年金保険料の上限額はずっと変わらないのではないの?」と多くの方が思っていたかもしれません。しかし令和7年6月の法改正で標準報酬の上限は令和9年から段階的に引き上げられることが決まっています。2年後だし、あまり報道もされていないしということで気が付かなかったのかもしれません。
平成16年から段階的に引き上げられてきた厚生年金保険料率は、平成29年9月を最後に引き上げは終了して固定されていました。
◆年金法改正の背景
平成29年9月以降、厚生年金の標準報酬の上限(現在は65万円)が設けられていて賃金が上限を超えても保険料はそれ以上増えないことになっていました。しかし他にも決まりがあり、全国被保険者の標準報酬月額の平均の2倍が現行の上限を超える状態が続くと政令で新しい等級を追加することができるようになっています。
上限が設けられているのは年金給付額に大きな差が出ないようにするため、事業主の負担にも配慮するためとされていますが、高額所得者は上限以上の負担は増えないものの年金も増えません。どちらが良いのでしょうか。それより大きな理由は最近の賃金上昇が続いていて平均報酬の2倍が65万円を超える状態が継続しているためということです。これから標準報酬の上限を積極的に上げていく方針にしたようです。
◆段階的引き上げと企業への影響
今回の改正により標準報酬月額の上限が65万円から75万円に引き上げられます。
令和9年9月に68万円、令和10年9月に71万円、令和11年9月に75万円と段階的に上がります。賃金が月75万円以上の方の本人保険料負担は月9,100円(社会保険料控除前)に上昇し、その状態を10年続けた場合は月約5,100円(年金課税前)増額した年金が受け取れます。上限が引き上げられると収入に応じた保険料を徴収し、年金も増えることになります。また、賃金が65万円以下の方の保険料は変わらないのですが年金の給付水準は上がります。
高額所得者が対象のため影響を受けるのは一部の人ですが、企業側も負担するのでコストアップが見込まれます。