お客様の発展を総合的に支援します。
事務所だより:

★事務所だより5月号★

発行日:2024年04月24日
いつもお世話になっております。

若葉が目にまぶしい季節になりました。
季節の変わり目でございますので、お身体を大切になさってください。

それでは、今月の事務所だよりをお届けします。

2024年5月の税務

5月10日
●4月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

5月15日
●特別農業所得者の承認申請

5月31日
●個人の道府県民税及び市町村民税の特別徴収税額の通知
●3月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●9月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の2月、3月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(1月決算法人は2ヶ月分、個人事業者は3ヶ月分)<消費税・地方消費税>
●確定申告税額の延納届出に係る延納税額の納付

○自動車税(種別割)の納付(5月中において都道府県の条例で定める日)
○鉱区税の納付(5月中において都道府県の条例で定める日)

相続時精算課税贈与者が贈与した年に死亡した場合

◆相続時精算課税制度とは
 相続時精算課税制度は、受贈者の選択により、60歳以上の父母、祖父母などの直系尊属から18歳以上の直系卑属である推定相続人又は孫が贈与を受けたとき、課税価格から2500万円の特別控除後の残額に20%の税率を乗じた額を課税し、贈与者が死亡したときは、相続税額を計算する過程で先に課税された贈与税相当額を相続税額から控除して精算するものです。
 相続税の申告書において相続時精算課税贈与を受けた財産の価額を相続税の課税価格に加算します。相続税には基礎控除(3000万円と法定相続人1人当たり600万円)があるので、贈与税額が相続税額を超えるときは、先に申告納付した贈与税の還付を受けることができます。また相続時精算課税制度は贈与者ごとに、父母の双方からそれぞれ贈与を受けることもできます。

◆贈与者が死亡した年の贈与は相続税で申告
 相続時精算課税の適用を初めて受ける者は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、相続時精算課税選択届出書を贈与税の申告書と一緒に提出します。
 相続時精算課税の適用を初めて受ける年に贈与者が死亡したときは、相続時精算課税選択届出書を贈与を受けた年の翌年3月15日(贈与税の申告期限)又は相続開始の日の翌日から10か月を経過する日(相続税の申告期限)のいずれか早い日までに相続税の納税地の税務署長に提出します。
 このとき贈与税の申告書の提出は要さず、相続税の申告書を提出します。

◆令和6年施行の改正内容
 令和5年度税制改正により、令和6年1月1日以後の相続時精算課税贈与には、110万円の基礎控除が創設されました。110万円以下の贈与の場合は、贈与税の申告は不要となりますが、相続時精算課税選択届出書の提出は必要です。
 また相続時精算課税贈与を受けた土地・建物が相続税の申告期限までの間に、令和6年1月1日以後に災害により一定の被害を受けた場合は、相続税の課税価格に加算する額の計算の際、被災価額(保険金等で補てんされた金額を差引き後)を贈与時の価額から控除できます。

◆届出書の提出もれは暦年課税で思わぬ負担
 相続時精算課税の適用を受けようとするとき、相続時精算課税選択届出書の提出をうっかり忘れると暦年課税が適用され、思わぬ税負担が生じますので注意しましょう。

裁量労働時間制の改正〜専門型も本人同意が必要に〜

◆裁量労働時間制とは
 裁量労働時間制は、業務の性質上、大幅に労働者の裁量に委ねる必要があり、業務遂行手段や時間配分等を使用者が具体的に指示することが困難な一定の業務に限定して採用できるとされています。
 「専門業務型」と「企画業務型」がありますが、採用割合は前者が2.2%、後者は0.6%(令和4年厚生労働省調査)です。
 「専門業務型」の適用対象は、研究開発、情報処理、デザイン、広告宣伝の他、税理士、公認会計士、弁護士などの士業の業務に限定されています。

◆「専門業務型」裁量労働時間制の改正
 「専門業務型」を採用するには、過半数労働組合または過半数代表者と労使協定を締結し、個別労働契約や就業規則を整備して、労使協定の労働基準監督署への届出が必要とされています。
 さらに、令和6年4月以降は「労働者本人の同意」と「健康・福祉確保措置」が追加されます。

◆「労働者本人の同意」
 「専門業務型」で認められていた、「就業規則による包括的同意」ではなく、「企画業務型」と同様、個別に書面等での取得が必要となります(電磁的記録でも可)。

◆「健康・福祉確保措置」
 今回の改正で「専門業務型」「企画業務型」共に、下記【1】【2】から1つずつ以上の実施が望ましいとされています。
【1】長時間労働抑制・休日確保の措置
(1)勤務間インターバル(終業から始業まで一定時間以上の休息時間)を確保
(2)深夜業(22時〜5時)の回数制限
(3)労働時間の上限措置
(4)連続した年次有給休暇の取得

【2】勤務状況や健康改善を講ずる措置
(1)医師による面接指導
(2)代償休日・特別休暇の付与
(3)健康診断の実施
(4)心とからだの相談窓口の設置
(5)必要に応じた配置転換
(6)産業医等の助言や指導

国税庁からのお知らせ 令和7年1月から控えは印なしに

◆申告書等の控えに収受日付印を押さない
 国税庁は令和6年1月4日に、令和7年1月以降は申告書等の控えに収受日付印の押捺を行わないこととする、と発表しました。対象となる「申告書等」とは、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他の書類の他、国税庁・国税局・税務署に提出される全ての文書とのことです。
 令和7年1月からの書面申告等における申告書等の送付時には、申告書等の正本(提出用)のみを提出してください、とWeb上でお願いしています。また、必要に応じて自身で控えを作成、提出年月日の記録・管理をするようにも呼びかけています。

◆申告書等の提出事実を証明する方法
 例えば個人が融資を受ける、奨学金の申請を行う、保育園の手続きする、等の際に確定申告書の控えを要求されることがあります。ただ、この控えについては「収受印があること」が控えたりうる要件であり、収受印がない控えについては、個人の収入等が証明できないため、各種手続きに利用できない可能性が大です。
 オンラインサービスを利用せず、紙媒体で効力のある収入証明を手に入れる場合には、税務署に対して「保有個人情報の開示請求」を行うか、「納税証明書の交付請求」を行う必要があります。
 個人情報の開示請求は手数料300円、納税証明書は税目ごと1年度1枚につき400円です。

◆オンラインなら無料
 e-Taxを利用した申告であれば、申告等データの送信が完了した後に、税務署からの受信通知がメッセージボックスに格納されます。ここから申告書等のPDFファイルを無料でダウンロードすることができ、こちらには受付日時等が記載されますから、旧来の控えの役割を果たすものが欲しい人はe-Taxを活用しなさいね、という風に聞こえます。
 国税庁は税務行政のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を進めているとしていて、その一環の措置とのことなのですが、便利な機能が増えて利便性が向上する方が多い一方、インターネット等のサービスを上手く使えない方にとっては不便になることは確かです。また、不便ならまだしも「手続き等ができない人」が出てきてしまわないか、少し心配になります。

労働基準監督署の調査で是正勧告される場合とは

 労働基準監督署は事業所にとって、労働保険料の申告か時間外労働の協定書提出くらいしか利用しないという企業も多いかもしれません。労働基準監督署は各都道府県労働局の直轄組織であり厚労省の出先機関です。労働基準法や労働契約法、安全衛生法、労働災害補償法等労働に関する法令について企業が遵守しているかを調査、取り締まりや各種手続きを行う機関です。時に事業所調査が入りますが何をするのでしょうか。

◆労働基準監督署の調査とは何を見る
 労働基準監督署の調査は何をするのか?
1.定期監督 年度の計画を定めて行われる監査です
2.申告監督 定期的あるいは労働者からの申告などをもとに立ち入り調査をする
3.司法警察事務 度重なる指導にもかかわらず是正しない場合、重大、悪質な事案等は強制調査を行い検察庁に送検します
 労働基準監督署の調査の目的は労働基準法に違反していないか、不備がないか調べます。特定の業種に集中して行われる場合もあります。調査の結果法令違反があれば是正勧告書、法違反というほどではないが改善すべきところは指導票で指摘されます。期日までに是正内容を是正報告書に記載、労基署に提出します。
 労基署調査が行われた事業所のうち約15%が「申告監督」(内部告発的な相談)です。従業員や退職した社員の残業代の未払いや不当解雇、パワハラによるメンタル不全などの通報を受け内容や真偽の確認、裏付け事実などを調査します。申告者保護のため、申告があったことはふせられます。

◆調査される主な項目は
・事実内容や経営内容、組織図
・従業員数や派遣労働者の有無、外国人労働者の有無
・労働条件、労働条件通知書、労働者名簿
・労働時間 労働時間管理・記録の方法
・就業規則、残業時間等協定書
・賃金に関すること、最低賃金も含む
・年次有給休暇の管理簿
・安全衛生に関する事項
・定期健康診断等健康管理 等
 いずれにしろ日頃から法令遵守と健全な経営、社内のコミュニケーションを図っておけば調査に入られても慌てることはありません。
事務所だより:
お気軽にお問い合わせください。
小田信篤税理士事務所