発行日:2026年10月27日
2026年11月の税務
11月10日
●10月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
11月16日
●所得税の予定納税額の減額申請
11月30日
●所得税の予定納税額の納付(第2期分)
●特別農業所得者の所得税の予定納税額の納付
●9月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●3月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の3月、6月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の8月、9月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(7月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
○個人事業税の納付(第2期分)(11月中において都道府県の条例で定める日)
令和8年度税制改正 住宅ローン控除の変更点
◆基本は変わらないが微妙に変化
住宅ローン控除は令和8年度税制改正により、適用期間が5年間延長され、現行では令和12年居住開始まで設定されています。最大額は子育て世帯の長期優良住宅等で5,000万円、控除率0.7%、控除期間13年と変動はないものの、細かい部分に修正が加えられていますのでチェックしてみましょう。
◆中古(既存)住宅への手当て
令和7年までの住宅ローン控除は、中古住宅を購入した場合の控除対象借入限度額が長期優良住宅等・ZEH水準省エネ住宅・省エネ住宅すべて3,000万円、控除期間は10年と、新築や買取再販住宅との差異が大きかったのですが、令和8年からは中古住宅を購入した場合、
長期優良住宅等の場合 3,500万円13年(新築等の場合4,500万円13年)
ZEH水準省エネ住宅 3,500万円13年(新築等の場合も3,500万円13年)
省エネ基準住宅 2,000万円13年(新築等の場合も2,000万円13年)
と、環境性能を満たしていれば新築と遜色ない水準で控除が受けられるようになりました。さらに控除対象借入限度額が上昇する子育て世帯等への上乗せについては、中古住宅でも受けられるようになりました。
また、合計所得金額1,000万円以下の場合のみ受けられる床面積40平方メートル以上(通常50平方メートル)の要件の特例についても、中古物件でも受けられるようになりました。ただし先述した子育て世帯等への借入限度額の上乗せとの選択適用となっていますのでご注意ください。
◆災害レッドゾーンの新築住宅は適用外に
入居日が令和10年以降の場合、災害危険区域・土砂災害特別警戒区域・地すべり防止区域・急傾斜地崩壊危険区域・浸水被害防止区域の新築住宅は住宅ローン控除の対象外となります。ただし、建替え・中古住宅購入・リフォームの場合は対象となります。
◆より住宅の環境性能が求められる
令和7年に省エネ基準適合住宅に居住を開始した場合は、新築は借入限度額が3,000万円となっていましたが、令和8年からは2,000万円が限度となり、令和10年からは支援対象外となります。より住宅の環境性能に制度が厳しくなる印象です。
2026年版中小企業白書を読み解く 金利上昇と資金調達の今
◆金利は高止まり、借入負担が増している
日本銀行が利上げ方向へと政策を転換する中、中小企業の資金調達環境は大きく変わりつつあります。2026年版中小企業白書によると、中小企業の借入金利水準判断DIは足下では若干低下しているものの、依然として高い水準が続いており、多くの企業が金利上昇の重荷を肌で感じていることが分かります。長らく続いたゼロ金利・低金利時代が終わりを告げ、借入コストを意識した財務管理が改めて強く求められる局面に入っています。変動金利で借入を行っている企業は、返済額の増加を具体的に試算した上で、手を打つタイミングを逃さないことが今まさに急務と言えます。
◆円安と物価上昇がコストを直撃する
さらに深刻なのが、円安と物価上昇の長期化です。2025年度も歴史的な円安水準は継続しており、円ベースで見た輸入物価指数は高い水準が続いています。国内企業物価指数と消費者物価指数も引き続き上昇傾向にあります。原材料・エネルギー・食品などを仕入れる中小企業にとってコスト増加圧力は一段と強まっており、価格転嫁が十分に進まない企業ほど収益が削られ続けるという厳しい現実があります。自社のコスト構造がどう変化しているか、専門家に相談してもいいかもしれません。
◆借入金増加と現預金横ばいが示すリスク
財務省「法人企業統計調査年報」によると、中小企業の借入金等は直近では増加に転じており、現預金残高は横ばいで推移しています。借入金が増加傾向にある中、金利負担の増加が重なることで資金繰りへの影響が顕在化しやすい状況が続いています。こうした時こそ手元流動性の水準を定期的に確認し、いざというときのために早めに手を打てる態勢を整えておくことが重要な意思決定と言えるでしょう。
◆資金繰りの「見える化」が最初の一手
こうした局面だからこそ、自社の資金繰り状況を「見える化」することが最初の一手です。借入金が月商の何か月分にあたるか、返済に何年かかるか、この2つの数字を把握するだけで、金融機関との交渉も資金調達の判断も大きく変わります。金利優遇のある政策金融の活用も選択肢に入れながら、手を打つなら早いほど選択肢は広がります。
外貨運用の落とし穴 最高裁が「課税あり」と判断
◆為替差益は「換えた瞬間」に課税される
海外で資産を運用する経営者が増えています。円安が続くなか、外貨建ての金融商品や海外口座を活用してリターンを追う動きは自然なことですが、今年6月に出た最高裁判決が、その運用に伴う税務リスクを明確に示しました。令和8年6月16日、最高裁判所は、スイスの金融機関に運用を一任していた居住者に対する更正処分が適法であるとする判断を下しました。
問題となったのは、ドルでユーロを買う、外貨で外国株式を購入するといった「外貨同士の交換」です。外貨を円に戻したときだけ課税されると思っている方が多いのですが、外貨から別の外貨に換えたその瞬間にも、為替差益が「雑所得」として確定し、確定申告が必要になります。
◆「任せているから知らない」では通らない
今回の事案では、本人が直接操作するわけではなく、外国の金融機関に運用を「一任」していました。それでも最高裁は、個々の通貨交換や外貨建て有価証券の取得のたびに課税関係が生じると明示しました。「運用はプロに任せているので自分には関係ない」という認識は、税務上は通用しません。
海外の金融機関が発行する運用報告書には円換算の損益が記載されていないことが多く、ご自身で取引明細を取り寄せ、取引ごとに円換算額を確認する必要があります。
◆申告漏れが発覚したときのリスク
申告漏れが税務署に把握された場合、本来の税額に加えて過少申告加算税が課されます。さらに、故意に隠したと認定されれば重加算税の対象となる可能性もあります。
近年、国際的な情報交換制度(CRS)の整備により、海外口座の残高や取引状況は各国税務当局間で共有されており、「海外だからわからない」という認識はもはや通用しません。
◆備えは今からでも遅くありません
外貨建て資産を保有されている方にまずお願いしたいのは、海外口座の取引明細を金融機関に請求し、外貨同士の交換や外貨建て有価証券の取得が発生していないかを年ごとに確認することです。取引日ごとの円換算額の計算は地道な作業ですが、正確な申告の土台となります。心当たりのある方は、早めに専門家へご相談ください。
所得区分等に要注意 暗号資産とNFTの課税ルール
◆暗号資産、どこで税金が発生するの?
ビットコインやイーサリアムといった暗号資産(仮想通貨)が、ずいぶん身近なものになってきました。「少し買ってみた」という方も増えてきたように思います。ただ、税金の面では意外と誤解が多いのもこの分野です。
まず基本から。暗号資産を売却・交換・支払に使って利益が出た場合、その利益は原則として「雑所得」として所得税の課税対象になります。別の暗号資産と交換した時点でも、商品の購入に使った時点でも、それぞれ課税が生じます。「円に換えていないから大丈夫」は通りません。
なお、令和8年度税制改正で、暗号資産については今後一定条件下で株や国内FXと同様の申告分離課税として扱われる事になりました。適用は「金融商品取引法の改正法の施行日の翌年1月1日以降」となっており、2028年1月からの見込みです。
◆取得費の計算、届出はしましたか?
暗号資産を複数回に分けて購入している場合、取得費の計算方法は「総平均法」と「移動平均法」の2種類から選べます。ただし、届出をしなければ自動的に「総平均法」が適用されます。一度選んだ方法を変更するには税務署長への承認申請が必要ですので、最初の年に「どちらにするか」を意識しておくと良いでしょう。
◆NFTの税金は「どう取引したか」で変わる
NFT(非代替性トークン)は、デジタルの世界で「一点もの(=複製できない)」であることを証明する仕組みです。どう取引したかによって税金の扱いが変わります。自分で制作して販売した場合(一次流通)は雑所得または事業所得、購入したNFTを転売した場合(二次流通)は、原則として譲渡所得に該当し得ますが、営利目的で継続的に売買する場合などは雑所得または事業所得になります。
◆今は損失が出ても、繰り越せない
給与所得者で、給与以外の所得合計が20万円を超える場合は所得税の確定申告が必要です。暗号資産の損失は雑所得以外の他の所得との損益通算ができず、翌年への繰越控除も認められていません。NFTは所得区分や保有目的によって取扱いが異なるため、損失が出た場合も個別確認が必要です。