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発行日:2022年09月09日
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『Web相続士ジャーナル』令和4年8月29日発行

『境界損壊罪』

 ニュース等でご覧になった方もいらっしゃると思いますが、今年5月、岐阜県大垣市で境界損壊の逮捕者が出ました。報道によると、隣の家との境界にある木製の杭を引き抜き、置かれていたプランターやコンクリートブロックを投げ捨てて壊し、土地の境界をわからなくした模様です。

 トラブルの経緯は詳しくわかりませんが、よほど腹に据えかねることがあったんでしょうね。

ちなみに、刑法では、境界を認識できないようにした者は、5年以下の懲役または50万円以下の罰金とされています。
(参考:刑法262条の2)

境界標を損壊し、移動し、若しくは除去し、又はその他の方法により、土地の境界を認識することができないようにした者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
 一方、境界標設置は、隣地所有者と共同で設置できるとあります。
(参考:民法223条)

土地の所有者は、隣地の所有者と共同の費用で、境界標を設けることができる。
 ここで注目いただきたいのは、民法223条の、「境界標を設けることができる。」という部分です。民法の私的自治の原則ですね。「設けなければならない。」ではないわけです。

 境界標を抜いたり動かしたりすると刑事罰ですが、設置するかどうかは自由なんです。境界の専門家を標榜する私たちにとっては、複雑な思いですね。
 さて、改めて、境界についておさらいしておきましょう。
実は、法律上で境界が定義されたのは、なんと平成17年です。ごく最近のことなんですね。

 不動産登記法123条で、「筆界」として次のように定義されました。
 ・相互に隣接する土地同士において
・登記された時にその境を構成することになった
・二以上の点およびこれらを結ぶ直線

(参考:不動産登記法123条1条)
筆界:表題登記がある一筆の土地とこれに隣接する他の土地との間において、当該一筆の土地が登記された時にその境を構成するものとされた二以上の点及びこれらを結ぶ直線をいう。

「登記された時」というのは、次の3つが挙げられます。

A.明治時代の地租改正時に国家が定めた原始筆界

B.区画整理、土地改良、耕地整理による再編成筆界

C.分筆による後発的創設筆界

 Bの区画整理やCの分筆の場合は、図面等が存在することが多いので、これらの資料を丁寧に拾っていきます。現地の実測結果をベースに、書証・物証・人証を総合的に勘案して、本来あるべき筆界を査定するのです

 冒頭のケースにおいても、いつ、誰が、何を根拠にその境界を査定したのかということに、冷静になって立ち返るべきだったのかもしれません。境界確認作業は意外とロジカルなんです。

 ぜひ、この機会に、境界標の重要性と再認識いただき、今ある境界標を大切に維持するようにしてくださいね。


和田清人(わだきよひと)
和田清人測量登記事務所代表。土地家屋調査士・公認不動産コンサルティングマスター・AFP。
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