賃上げ促進税制に見る繰越控除制度の優遇
◆賃上げ促進税制の税額控除
中小企業者が適用を受ける賃上げ促進税制での税額控除額は、調整前法人税額の20%を限度とするとされていますが、その控除限度額の超過額はその期で失効せず、その後5年間の繰越控除が認められています。
なお、税額控除制度のほとんどはその年度で打切りですが、いくつかの制度には繰越控除が認められているものがあり、1年繰越、3年繰越、4年繰越がそれぞれ可能となっています。
でも、賃上げ促進税制の5年は最長です。ただし、翌期に法人税額があれば控除可能である他の制度と異なり、賃上げ促進税制には、繰越控除を適用する各年度において、雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額を超えていなければ、控除は認められない、という追加要件が課されています。控除の権利は保持できても、実際に控除するには継続的な賃上げが不可欠だということです。
◆色んな税額控除があったら
ところで、複数の税額控除制度を適用できる場合がありますが、そういう場合、調整前法人税額の20%という部分は、重複して適用を受けられます。ただし、20%範囲内の税額控除が幾つもあった場合、その合計額については、調整前法人税額の90%を限度とするとの制限規定があります。
この上限額が適用となる場合においては、いずれかの制度の20%範囲内税額控除が、20%未満の税額控除になってしまうことになります。税額控除が20%未満になってしまうことにより、控除限度超過額がより大きな金額として残ることになります。
税額控除限度超過額繰越額を構成する金額は、まず残りの控除可能期間の長いものに配賦し、次に控除可能期間が同じものについては、法人の選択により配賦することとされています。
◆毎年の明細添付を怠りなく
なお、この繰越税額控除の適用を受けるためには、税額控除限度超過額が生じた事業年度以後の各事業年度の確定申告書に繰越税額控除限度超過額の明細書の添付をし、繰越控除の適用を受ける事業年度の確定申告書に控除の対象となる繰越税額控除限度超過額、控除を受ける金額を記載するとともに、その金額の計算に関する明細書を添付して申告する必要があります。
健康保険の被扶養者の収入要件変更 19歳以上23歳未満の家族
◆年収の壁にかかる見直しの一環10/1より
令和7年度税制改正において特定扶養控除の要件の見直し及び特定親族特別控除の創設が行われました。そこで健康保険法の被扶養者の認定対象者が19歳以上23歳未満である場合の取り扱いの通達が出されました。それは認定対象者の年間収入にかかる要件のうちその額を130万円未満とするものについて当該認定対象者(被保険者の配偶者を除く)が19歳以上23歳未満であるときは150万円未満として取り扱うというものです。年間収入額の要件以外は以前の考えと変わりません。
◆これまでの認定要件
1.認定対象者が被保険者と同一世帯に属している場合
(1) 認定対象者の年間収入が130万円未満(60歳以上または一定の障害者は180万円未満)かつ被保険者の年間収入の2分の1未満である場合
(2) 上記の条件に該当しない場合であっても、認定対象者の年間収入の130万円未満(同上)かつ被保険者の年間収入を上まわっておらず、被保険者がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしている認められるとき
2.認定対象者が同一世帯に属してない場合
認定対象者の年間収入が130万円未満(同上)かつ被保険者からの援助による収入額より少ない場合。
◆対象の社員(被保険者)にお知らせする事
1.対象家族の収入は令和7年9月までは130万円未満ですが、令和7年10月1日以降は年間収入が150万円未満に拡大されます。対象家族の年齢はその年の12月31日の年齢で判定します。被扶養者の認定を受けるときの年齢とは必ずしも一致しません。
2.健康保険における年収は過去の年収ではなく被扶養者に該当する時点と被扶養者として認定された日以降の1年間の見込み収入額のことを指します。
3.収入要件の変更に伴い130万円以上150万円未満であり健康保険の被扶養者として新たに認定を受ける場合にはこれまで通り加入手続きが必要になります。
大学生が扶養から外れないように就業調整をしていることを受け、人手不足の観点から認定を緩和した措置です。大学生を扶養する被保険者がいる場合は押さえておきましょう。