発行日:2025年09月30日
2025年10月の税務
10月10日
●9月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
10月15日
●特別農業所得者への予定納税基準額等の通知
10月31日
●8月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●2月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の2月、5月、11月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の7月、8月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(6月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第3期分)(10月中において市町村の条例で定める日)
令和7年度基礎控除の見直し 特殊な事例の取扱い
◆令和7年12月から適用される
令和7年度税制改正により、所得税の基礎控除・給与所得控除に関する見直しと、特定親族特別控除の創設が行われました。
この改正については「令和7年12月1日からの改正」として取り扱われるため、11月までの源泉徴収税額が変動することがなく、年末調整で対応することになります。ただ、このスケジュールで改正が進行すると扱いに困るケースが出てきます。そんな特殊な事例の取扱いについても、国税庁のQ&Aで対応方法が説明されています。今回は基礎控除に絞ってご紹介いたします。
◆準確定申告時の取扱い
準確定申告は、死亡や出国し非居住者となる場合などに行う年の途中で提出をする確定申告手続きです。今回の改正が令和7年12月1日から施行されるため、11月30日以前の準確定申告については基礎控除の額は改正前の金額となります。
ただ、改正が適用された基礎控除が受けられないわけではありません。令和7年12月1日から令和12年12月2日までに更正の請求を行うと、改正後の基礎控除の見直し等の適用を受けることができます。
◆e-Taxの取扱い
準確定申告書を令和7年12月1日以後、年内に提出する場合には令和7年の間は令和6年分の確定申告書の様式を使用することになります。e-Taxソフトを利用する場合も改正適用とはなるものの、48万円までしか入力ができません。
この場合は基礎控除の欄には金額を入力せず、雑損控除の欄に改正後の基礎控除額を入力するようにとのことです。また、申告書等送信票(兼送付書)の特記事項欄に「基礎控除額●●●円」(雑損控除もある場合は併せて雑損控除額も記載)と入力します。
◆非居住者の基礎控除額
海外居住であるが国内の不動産貸付による所得がある等で日本の所得税が発生する場合は、今回の基礎控除の改正の「加算部分」については居住者のみ適用されることとなっているため、令和7年中を通じて非居住者となる方の基礎控除については合計所得金額2,350万円以下の場合で58万円という金額のみ適用となります。
夫婦で共有する居住用マンションの譲渡所得
マンション市場は海外からの投資を呼び込み、空前の価格高騰を引き起こしています。不動産経済研究所の公表する2025年2月分の不動産価格指数は、211.8(2010年平均=100)、この15年で2倍以上となり、この機会に自宅を売却する人もいます。
◆譲渡所得に課税
不動産の保有期間中のキャピタルゲインは売却によって実現し、その収入金額は担税力を生むので、譲渡所得に課税されます。
譲渡所得は、売却による収入金額から取得費と譲渡費用を差し引いて算出します。取得費はマンション取得時の購入価額、印紙代、購入手数料、登記費用など。譲渡費用は売却時の仲介手数料、印紙代などです。
◆居住用は譲渡所得から3,000万円を控除
居住用不動産を売却すると新たに居住用不動産を購入する資金が必要となり、売却によって得た担税力が減殺されてしまいます。そこで居住用不動産の譲渡所得から3,000万円を控除する制度があります。
この制度は夫婦で共有するマンションを売却する場合にも、一定の要件を満たせば適用され、それぞれの所有持分に応じて譲渡所得から共有者一人につき3,000万円まで控除が行われ、税額を圧縮できます。
◆3,000万円特別控除の主な要件
3,000万円特別控除は、現に自分が住んでいる家屋の譲渡、家屋とその家屋の敷地の用に供されている土地等の譲渡、住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までの家屋・土地等の譲渡などに適用されます。
また、譲渡した年の前年、前々年に、既にこの3,000万円控除の特例等を受けている場合は、この特例は適用されません。
住宅ローン控除は入居した年、その前年、前々年に3,000万円控除の特例を受けた場合には適用されません。なお、住宅ローン控除を受けた物件を譲渡した場合、その物件に3,000万円控除の特例は適用されます。その他の要件は国税庁のタックスアンサー等で確認できます。
◆所有期間10年超は、更に軽減税率を適用
売却した年の1月1日において所有期間が10年を超える居住用不動産で国内にあるものを売却する場合、3,000万円の特別控除額を差し引いた後の長期譲渡所得に軽減税率が適用されます。長期譲渡所得金額6,000万円以下の場合、所得税率10%(通常15%)、住民税率4%(通常5%)が適用され、負担が更に軽減されます。
被相続人の家屋が未登記の場合 -相続空き家の特例-
◆空き家の特例は旧耐震の建物解消が目的
相続空き家の特例は、相続等で取得した被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等を売却した場合、一定の要件を満たすときは、譲渡所得金額から3,000万円(相続人が3人以上の場合は1人2,000万円)までを控除できる制度です。
この特例は、昭和56年5月31日以前に建築された「旧耐震基準」の建物の約半数は耐震性がないものと推計されることから生活環境の悪化を防ぐため、相続人の売却の際、譲渡所得に課税上の優遇措置を設けて空き家の解消を図ろうとするものです。
したがって、この特例を利用しようとする相続人は、被相続人の居住用家屋が「旧耐震基準」の時期に建築されていたことを証明しなければなりません。しかし、その居住用家屋が未登記であった場合には登記事項証明書が存在しないため、代替的な書類の取得が必要になります。
◆未登記の被相続人居住用家屋の代替書類
未登記の建物に相続空き家の特例の適用を受けようとする場合、確定申告書に添付する書類は、譲渡所得金額の計算明細書に加え、次の書類で代替させます。
<要件1.被相続人から相続等によって取得したものであること>
遺産分割協議書の記載内容から被相続人の建物を取得したことが確認できます。
<要件2.昭和56年5月31日以前に建築されたこと>
建物の建築確認済証、検査済証、建築請負契約書で建築年月を確認できます。
<要件3.区分所有建物登記がされている建物でないこと>
固定資産税の課税明細書、評価証明書、固定資産課税台帳に区分所有建物の記載がないことで確認できます。
◆「被相続人居住用家屋等確認書」の添付
この他、相続開始直前において被相続人以外に居住していた人がいなかったことを証明するため、建物が所在する市区町村から「被相続人居住用家屋等確認書」の交付を受け、申告書に添付する必要があります。
未登記の建物であっても被相続人がそこで暮らしていたことを証明しなければなりません。建物を除却する場合も登記のある建物と同様、除却工事の請負契約書、取壊し後、更地の日付入り写真を提出します。意外に準備に苦労するのが電気・ガス等の使用中止日を確認できる書類です。早めに対応して漏れがないようにしましょう。