目次
2026年2月の税務
賃上げ時代の補助金戦略 経産省支援策を正確に活かす
下請ルールが激変 新「振興基準」が令和8年施行へ
2026年2月の税務
2月10日
●1月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
3月2日
●12月決算法人及び決算期の定めのない人格なき社団等の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●3月、6月、9月、12月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●6月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の3月、6月、9月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の11月、12月決算法人を除く法人の1月ごとの中間申告(10月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
○前年分贈与税の申告(申告期間:2月2日から3月16日まで)
○前年分所得税の確定申告(申告期間:2月16日から3月16日まで)
○固定資産税(都市計画税)の第4期分の納付(2月中において市町村の条例で定める日)
賃上げ時代の補助金戦略 経産省支援策を正確に活かす
◆過去最大の最賃引上げと中小企業の現実
2025年の最低賃金は、全国加重平均で過去最大の66円引上げとなりました。急激な人件費上昇に直面する中小企業を支援するため、経済産業省は価格転嫁、補助金・税制支援、生産性向上策の三本柱で対策を展開しています。特に「改正下請法」では、一方的な価格設定や手形払いを禁止し、賃上げ原資の確保を後押しします。経営者は交渉力に加え、取引適正化に関する情報収集力を高めることが求められます。
◆持続化補助金で賃上げと販路開拓を実現
小規模事業者持続化補助金は、商工会・商工会議所の伴走支援を受けながら販路開拓に取り組む制度です。通常の補助上限は50万円ですが、賃上げ特例を活用すれば150万円が上乗せされ、最大200万円(補助率2/3)まで拡充されます。経営計画を策定し、一定以上の賃上げを行うことが条件です。よろず支援拠点などの専門窓口を通じて、事業計画のブラッシュアップを図るとともに、補助金活用を企業成長の一手として位置付けることが重要です。
◆設備投資補助金特例と加点措置のポイント
「ものづくり補助金」「IT導入補助金」「省力化投資補助金」では、最低賃金引上げ特例が要件緩和され、補助率が1/2から2/3に引き上げられました。指定する一定期間(R5.10〜R6.9)に、改定後の地域別最賃未満で3か月以上雇用していた従業員が全体の30%以上いる場合、特例の対象となります。さらに、全国目安で示された最低賃金引上げ額(63円)以上の賃上げを実施した企業には、採択審査で加点措置が行われます。具体的な数値を念頭に置いた賃上げ戦略が、採択率向上の鍵を握ります。
◆厚労省との連携による実務支援の充実
経済産業省と厚生労働省は、支援策の周知を共同で進めています。全国47か所の労働局・働き方改革推進支援センター、321か所の労働基準監督署、および47か所のよろず支援拠点で、相互に制度案内を実施中です。補助金や助成金、税制支援を組み合わせて活用すれば、単なる賃上げ対応を超えた経営体質強化につながります。
まずは自社の賃金水準と要件の適合を確認し、最寄りの支援窓口に相談することが第一歩です。補助金は申請技術ではなく、経営戦略の一部として使いこなす時代に入りました。
下請ルールが激変 新「振興基準」が令和8年施行へ
◆新「振興基準」が令和8年施行へ
経済産業省が定めた「受託中小企業振興基準」が、令和8年1月1日から本格施行されます。これは下請中小企業振興法に基づき、取引ルールを包括的に整備したもので、発注内容の明確化、価格交渉の義務化、手形利用の制限など、下請けビジネスに関わる中小企業にとって極めて重要な内容です。特に、大企業との取引において交渉力に不安を抱える企業こそ、この基準を活用することで取引の「見える化」や「利益確保」が実現可能になります。
◆契約書が“盾”になる時代
従来、電話一本や口頭での発注で済ませていた中小企業も多いでしょう。しかし新基準では、取引継続の際には基本契約を結ぶことが前提とされ、納期・価格・支払方法・仕様変更の費用などを事前に書面(メール等含む)で明示する必要があります。これにより「言った言わない」のトラブルを防ぎ、納期短縮や発注変更に伴うコストも正当に請求できる道が開けます。契約書は交渉力の証しであり、経営を守る盾になるのです。
◆原材料高騰は“価格転嫁”で対応
特筆すべきは、年に2回(3月・9月)の価格交渉促進月間の導入です。原材料費・人件費・電気代などのコストが上昇した場合には、発注元との価格交渉を申請し、協議記録を残すことが求められます。労務費の転嫁も対象となるため、最低賃金引上げ後の価格改定が通りやすくなります。今後、下請企業が「物申す」ことは権利として明確化され、「泣き寝入りしない経営」が求められます。
◆下請けの未来は「攻め」にあり
この新基準は単なるルール集ではなく、「パートナーシップ構築宣言」や「振興事業計画」といった攻めの制度活用を促しています。たとえば、複数社で連携しサプライチェーンの川上に進出する「特定連携事業」は、大企業依存から脱却する実効性のある手段です。また、BCP(事業継続計画)や事業承継支援、電子受発注など、将来を見据えた中小企業の“経営力強化”を後押しする支援制度とも直結しています。新基準の理解は、下請けに留まらない未来戦略の第一歩となります。