発行日:2026年11月05日
2026年11月の税務
11月10日
●10月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
11月16日
●所得税の予定納税額の減額申請
11月30日
●所得税の予定納税額の納付(第2期分)
●特別農業所得者の所得税の予定納税額の納付
●9月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●3月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の3月、6月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の8月、9月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(7月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
○個人事業税の納付(第2期分)(11月中において都道府県の条例で定める日)
今年の最低賃金の動向
◆最低賃金の目安は1,176円
厚生労働省の中央最低賃金審議会で2026年度の最低賃金の目安を全国加重平均で1,176円にすることが決定されました。昨年の全国平均である1,121円から55円の引上げで伸び率は4.9%でした。具体的な引上げの目安はAランク54円、BとCランクは56円でした。25年度は6.0%でしたが6年ぶりに伸びが縮まりました。今後、各地方審議会では目安を上回る場合もあります。
最低賃金はコロナ以降大幅な引上げが続いてきました。物価上昇が続いているためで、岸田内閣は「30年代半ばまでに全国平均1,500円に」、石破内閣では「20年代に」と前倒し方針を掲げ高市内閣では「30年代前半の早い時期に」と修正しています。
◆会社が準備すること
賃金台帳から現在の時給が最低賃金に近い従業員を洗い出し、また、月給者でも1か月平均所定労働時間で割り、時間額を算出します。その中には固定残業代、通勤手当家族手当、賞与などは入れません。
次に最低賃金の対象者だけを引き上げると社員とパートタイマーの賃金差が縮小し、勤続年数や職務内容に応じた賃金バランスが崩れて、不満、離職につながらないとも限りません。単なる最低賃金引上げだけに留まらず、全体のバランスに配慮する必要があります。
◆最低賃金改定は正社員に波及してゆく
日本経済は物価の伸びを上回る賃上げの定着と人手不足への対対応という課題に直面していて、最低賃金の引上げによる正社員の賃上げは今後も続くとみられます。しかし最低賃金と同程度で働く労働者は増えており、改正された後、下回る割合は小規模事業所で増えており、30人未満事業所では25年に27.7%ということです。25年度も「最低賃金を下回る従業員がいたため賃金を上げた」中小企業は45.1%でした。
最低賃金が労働者全体に与える影響は広がっています。最賃の時給が改定されると翌年度の社員の処遇改善にも波及していくからです。最賃が上がることで労働意欲を高める効果もあり就業者数が増えることも考えられます。ただ企業の負担を考えると必要な価格転嫁や生産性の向上を進めなければ運営が立ちいかなくなる可能性があります。
消費税課税の要件-対価性の判定-
消費税は国内で事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、資産の貸付け、および役務の提供(資産の譲渡等)に課税されます。取引が課税となるのか課税対象外(不課税)となるのかを判断する要素の一つが対価性の存在です。
◆対価性のある取引
商品の販売、事務所の賃貸、工事の請負などの取引は対価として金銭の交付が行われ消費税が課税されます。交換、代物弁済、現物出資、負担付き贈与のように金銭の支払を伴わない資産が引き渡されることもあります。金銭による支払の有無にかかわらず、資産の譲渡等の対価として反対給付のあることで消費税が課税されます。
◆対価性のない取引
剰余金の配当等、保険金、寄附金、損害賠償金、補助金等は対価のない取引(無償の取引)であり、原則として消費税は課税対象外(不課税)となります。
不課税となる理由は、配当金は株主としての地位に基づき受けるものであること、保険金は保険事故の発生に伴い受けるものであることによります。
寄附金も反対給付の対価として支出されるものではないことによりますが、名目が寄附金であっても実態が資産の譲渡等の一部を構成すると認められると課税されます。
損害賠償金は被害者の心身や資産に加えられた損害を補填するために支払われるため、対価がありません。ただし、損害を受けた棚卸資産等がそのままの状態、または軽微な修繕を加えた状態で加害者に引き渡される場合、あるいは無体財産権の侵害や不動産賃貸の明渡し遅延で支払われる損害賠償金には対価性があるため課税されます。
補助金は国や地方公共団体の政策目的の実現のために交付されるので対価はなく、課税対象外(不課税)となります。
◆対価関係が明白でない同業者団体の会費
同業者団体や組合の通常会費は、業務運営に経常的に必要な費用として会員に分担させるものですが、役務提供と会費に明白な対価関係があるか判定が困難です。団体が継続して課税対象外、会員も課税対象外とする場合は、その処理が認められます。
◆無償の取引であっても課税される場合
ところで無償の取引であっても消費税が課税される場合があります。個人事業者が事業用資産を家事消費した場合や法人が役員に資産を贈与した場合は、対価を得て行われた資産の譲渡とみなして課税されます。