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事務所だより:

★事務所だより12月号★

発行日:2016年12月05日
いつもお世話になっております。

街路樹の落葉が歩道や車道に舞い散る季節になりました。
秋から冬へ、季節の流れは早いものですね。

それでは、今月の事務所だよりをお届けします。

平成28年12月の税務

12/12
●11月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額・納期の特例を受けている者の住民税の特別徴収額(当年6月〜11月分)の納付

1/4
●10月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●4月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の1月、4月、7月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の9月、10月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(8月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>


○給与所得の年末調整
○給与所得者の保険料控除申告書・住宅取得控除申告書の提出
○固定資産税(都市計画税)の第3期分の納付

会社債務の連帯保証や担保提供 社長に支払う債務保証料

◆会社が社長に支払う債務保証料
 会社が金融機関から融資を受ける場合に、社長を保証人とするよう求められることがよくあります。
 このような場合、社長が会社の保証人となったのだから、会社は社長に対して保証料として相当の金額を支払ってもよいのではと考えるのは自然な発想です。
 問題となるのは、その保証料の「金額」。過去の税務訴訟では、この保証料としての「相当の金額」が争われたものがあります。

◆信用保証協会の年利率までは「相当」
 この裁判の原告は消費者金融業を営む同族会社でした。この会社は、銀行借入の際に、代表取締役社長が連帯保証や担保提供を行っていたことから、社長に対して、その借入金の月初残高に月利率約0.167%(年利2%相当。民間の保証会社の保証水準)を乗じた金額を「支払利息」として支払い、損金の額に算入していました。
 これに対して税務署側は、信用保証協会の最高保証率である年利率1%(当時)を超える部分を「役員報酬」と認定し、この部分が支給限度額を超過することから、損金算入を認めませんでした。会社側はこれを不服とし、裁判となりました。

◆役員による会社債務の保証の性質
 裁判所は、原告の主張する民間保証会社の保証料率を参考にすることは相当でなく、税務署が主張する信用保証協会の保証料算出基準を参考とした率による処分を認めました。そもそも、会社の役員が会社の債務保証を行うのは、役員の信用力の提供自体を期待するものでなく「経営責任」上の問題であって、営利目的ではないのだから、営利目的である民間保証会社の保証とは著しい相異がある―というのが理由でした。

◆保証料を支払う場合の注意事項
 この判例を見ると、信用保証協会の年利率までの保証料の支払いは認められそうですが、その「保証の必要性」、「融資の内容」、「保証範囲」等を勘案し、支払うことが適正と認められるような状況であるという「前提条件」が必要と思われます。
 そのため、融資に当たり、会社に定期預金、不動産等の提供できる担保物がある場合や、既に他に十分な担保があり、役員個人の保証は単に形式的なもので危険負担をしている事情がないときは、保証料を支払っても単純損金とされず、役員給与とされるでしょう。

2つのはしご

 専門職の活躍が事業推進のカギを握っている企業では、よく“2つのはしご(複線人事)”を活用しています。
 “2つのはしご”は、等級制度に管理職系統と専門職系統の2つを準備し、賃金制度・人材育成制度などの人事賃金制度と関連付けて運用する“複線型人事制度”で、それに対置するのは昇進ルートを管理職系統のみとする“単線型人事制度”です。

◆“2つのはしご”が生まれた背景
 パラレルに設定される“2つのはしご”採用の背景には、次のように企業側・社員側それぞれのニーズがあります。
①企業が、市場・顧客・技術・法律など外部環境の変化に対応していくため、新商品・サービスの開発などに専門職の育成・活用が不可欠となってきたこと
②管理職系統だけの昇進制度だけでは、多様化した社員のロイヤリティーを維持することが困難になってきたこと

◆“2つのはしご”の姿
 通常、次の“2つのはしご”が用意され、それぞれ等級制度を基軸として、賃金制度・人材育成制度・評価制度・目標管理制度などと連動して運用されます。
①会社全体や部門の運営を司るポジションである管理職へのキャリアパス・管理職等級制度
②上記①とパラレルな位置付けで、担当分野における深い知識・技術・経験をもち、かつ担当事業領域で、相応の影響力を行使して貢献できるプロフェッショナルへのキャリアパス・専門職等級制度
③上記①②の等級は、「人の格付け」ではなく、「仕事の格付け」であり、職務内容の変更や、経営上の重要度が変われば、等級の変更が行なわれる「役割・職務等級制度」である

◆経営者・管理者の留意点
 “2つのはしご”を効果的に活用し、社員の活躍に結び付けるために次の点に留意しましょう。
①“2つのキャリアパス”にある個々の社員にとって、ストレッチな(努力してようやく手が届く)水準の目標設定へ誘導すること。
②「成果と貢献したプロセス行動の事実」に注目して、会社・部門目標への貢献度を基準として評価すること。

預貯金とマイナンバー

◆預貯金のマイナンバー管理
 平成27年8月のマイナンバー法改正に伴い、国税通則法を改正し、銀行等に対し、マイナンバーによって検索できる状態で預貯金情報を管理する義務を課す、としました。ただし、9月9日に改正公布されていますが、3年内施行ということで、まだ施行はされていません。

◆現在ある預貯金口座とマイナンバー
 銀行が個人の顧客に支払う利子の課税については、源泉分離課税で課税が終了することから、利子支払調書の提出が免除されており、銀行等の預金口座に関しマイナンバーを付す必要性も法的根拠もありません。
 それで、預金口座へのマイナンバー付番の根拠として、マネーロンダリング対策や、預金保険機構による預金者救済などでの名寄せ、災害時の迅速な対応といった場面で必要だから、との建前を出して、平成30年以降は口座への付番を預金者の任意の協力の下でできることに法制化しました。

◆改正通則法の付番管理
 税務当局には質問検査権があり、金融機関に対し従来より、過去数年間の預貯金情報の照会をしており、マイナンバー付番があれば、そのマイナンバーにより名寄せした情報の開示を金融機関に対して行うことは今後とも可能なところです。
 ところが、金融機関等をあまり信用していないのか、対応に不満があるのか、金融機関からの迅速・的確な回答を確保し、税務調査における預貯金調査の効率性を高める観点から、金融機関に対して、マイナンバーに紐付けて預貯金口座に関する情報を管理するという義務を課すこととしました。冒頭の改正法です。

◆マイナンバー告知強制があるかも
 預貯金者は金融機関から、保有する預貯金口座について、マイナンバーの告知を求められることが予想されますが、預貯金者における金融機関に対するマイナンバーの告知は、義務ではなく、あくまで任意です。

◆付番促進検討は3年後
 なお、預貯金口座へのマイナンバーの付番が進まないことも考え得るところですが、今般の番号改正法の附則において、本制度施行から3年後の見直し規定が設けられており、その時点で付番の状況等を踏まえ、更なる付番の促進に向けた施策の検討を行うこととされています。

年末年始の営業について

本年は12/28まで営業し、来年は1/6より営業を開始します。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします。


税理士 瀧川修
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瀧川 修 税理士事務所