小田満事務所
税理士・行政書士・事業承継コンサルタント
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税理士事務所を事業譲渡した場合の課税関係【2分の1】
税理士事務所の事業譲渡と譲渡代金の分割払いの場合の課税関係(その1)
税理士 小田 満
「質問」
私は開業税理士です。高齢になりましたが親族に後継者がいないため、事業承継関係の受託事業を行っている会社に依頼して、問顧先を引き継ぐことを条件に、第三者に譲渡することにしました。その代金としては、紹介料あるいは引継料などの名目で、退職金代わりに2千万円をいただきたいと考えています。
しかし、その第三者に資金的な余裕はなく、また、引き継いだとしてもその後も顧問先が継続して契約していただける保証はありません。そこで、事務所を引き継いだ年には2千万円の5分の1相当額の400万円を支払っていただくこととし、その後の4年間については、引き継いだ顧問先からの収入金額の減額割合を各年ごとに算定し、その減額割合を400万円に乗じた金額を、それぞれの年に支払っていただくことにしたいと考えています。
この場合、所得区分及び課税年分はどのようになるでしょうか。
「回答」
所得区分は、対価性があるため原則として雑所得に該当するが、企業としての資産価値を「時価純資産額+営業権」と認識し、その譲渡価額を収入金額とする譲渡所得に該当するケースもあると考える。
課税年分は、契約内容にもよるが、原則として5年間の各年分になると考える。
「解説」
1 顧問先引継ぎ料の所得区分
顧問先の紹介料あるいは引継料などの名目で支払を受ける対価による所得については、何らかの対価性があるものと認識されるので、一時所得には該当せず、譲渡所得又は雑所得のいずれかに該当すると考えられる(所法33①②、34①、35①)。
譲渡所得に該当するというには、その対価が、客観的に財産権として取引の対象になると認識されるべきものの移転の対価であることが必要である。しかるに税理士と顧問先との関係は、当事者の信頼関係を前提として成立するものであり、その間に財産として認識されるものがあるとすれば、それは当該税理士に限って一身専属的に帰属する流通性のない一種の無体財産権であると考えられる。したがって、その移転に伴って授受される対価は、譲渡所得には該当しない。
してみると、顧問先の紹介料あるいは引継料などの名目で支払を受ける対価による所得は、雑所得に該当するといわざるを得ない(昭42.7.27直審(所)47「「税務及び経理に関する業務」の譲渡に伴う所得の種類の判定について」。平22.6.30裁決「請求人が営んでいた税理士事務所を他の税理士に承継するに際して受領した金員に係る所得は、譲渡所得には該当しないとした事例」)。
ただし、当該所得が譲渡所得ではなく雑所得に該当するとした前提は、あくまでも税理士の資格は一身専属であり、顧問先との契約も一身専属的に成立しているとの認識があるからである。つまり、その認識の下においては資産の譲渡ということはあり得ない。 (続く)
税理士 小田 満
「質問」
私は開業税理士です。高齢になりましたが親族に後継者がいないため、事業承継関係の受託事業を行っている会社に依頼して、問顧先を引き継ぐことを条件に、第三者に譲渡することにしました。その代金としては、紹介料あるいは引継料などの名目で、退職金代わりに2千万円をいただきたいと考えています。
しかし、その第三者に資金的な余裕はなく、また、引き継いだとしてもその後も顧問先が継続して契約していただける保証はありません。そこで、事務所を引き継いだ年には2千万円の5分の1相当額の400万円を支払っていただくこととし、その後の4年間については、引き継いだ顧問先からの収入金額の減額割合を各年ごとに算定し、その減額割合を400万円に乗じた金額を、それぞれの年に支払っていただくことにしたいと考えています。
この場合、所得区分及び課税年分はどのようになるでしょうか。
「回答」
所得区分は、対価性があるため原則として雑所得に該当するが、企業としての資産価値を「時価純資産額+営業権」と認識し、その譲渡価額を収入金額とする譲渡所得に該当するケースもあると考える。
課税年分は、契約内容にもよるが、原則として5年間の各年分になると考える。
「解説」
1 顧問先引継ぎ料の所得区分
顧問先の紹介料あるいは引継料などの名目で支払を受ける対価による所得については、何らかの対価性があるものと認識されるので、一時所得には該当せず、譲渡所得又は雑所得のいずれかに該当すると考えられる(所法33①②、34①、35①)。
譲渡所得に該当するというには、その対価が、客観的に財産権として取引の対象になると認識されるべきものの移転の対価であることが必要である。しかるに税理士と顧問先との関係は、当事者の信頼関係を前提として成立するものであり、その間に財産として認識されるものがあるとすれば、それは当該税理士に限って一身専属的に帰属する流通性のない一種の無体財産権であると考えられる。したがって、その移転に伴って授受される対価は、譲渡所得には該当しない。
してみると、顧問先の紹介料あるいは引継料などの名目で支払を受ける対価による所得は、雑所得に該当するといわざるを得ない(昭42.7.27直審(所)47「「税務及び経理に関する業務」の譲渡に伴う所得の種類の判定について」。平22.6.30裁決「請求人が営んでいた税理士事務所を他の税理士に承継するに際して受領した金員に係る所得は、譲渡所得には該当しないとした事例」)。
ただし、当該所得が譲渡所得ではなく雑所得に該当するとした前提は、あくまでも税理士の資格は一身専属であり、顧問先との契約も一身専属的に成立しているとの認識があるからである。つまり、その認識の下においては資産の譲渡ということはあり得ない。 (続く)
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