お客様の発展を総合的に支援します。
お気軽にお問い合わせください。
受付時間:

9:00~20:00(土日祝も対応可)

事務所だより:

事務所だより~大口株主要件の見直しについて~ No.3

いつもお世話になっております。
お客様の発展を総合的に支援します。
事務所だよりについて、さらに詳しい内容をお知りになりたい場合は、メールにてお問合せください。

上場株式等に係る配当所得等の課税の特例の改正(大口株主要件の見直し)について

(1) はじめに
 令和4年税制改正により、上場株式等に係る配当所得等の課税の特例が改正され、総合課税の対象となる大口株主の範囲の見直しが行われましたので、解説します。

(2) 改正前の内容
 上場株式等の配当等については、特例措置により、受取時に20.315%(所得税・復興特別所得税:15.315%、住民税:5%)の特例(軽減)税率により源泉徴収された上、①申告不要を選択できること、②確定申告をする場合には総合課税(国内株式等については配当控除あり)又は申告分離課税のいずれかを選択できること、③確定申告において分離課税を選択した場合には、特定の譲渡による上場株式等の譲渡損失と上場株式等の配当所得との損益通算ができることといった税法上の優遇措置の対象になっていました。
 なお、ここでいう「上場株式等の配当等」とは、金融商品取引所に上場されている株式等その他これに類するものの配当等で、内国法人から支払がされるその配当等の基準日において、その内国法人の発行済株式又は出資の総数又は総額の3%以上に相当する数又は金額の株式又は出資を有する個人(以下、「大口個人株主」といいます。)がその内国法人から支払を受けるもの以外のものに限られています。
 従いまして、大口個人株主が内国法人から支払を受ける配当等については、所得税・住民税の課税上、「上場株式等の配当等」には含まれず、「非上場株式等の配当等」のグループとして、原則通り、受取時に20.42%(所得税・復興特別所得税のみ)の税率で源泉徴収された上、確定申告において総合課税のみが適用され、税法上の優遇措置の対象外となっていました。

(3) 改正の経緯
 会計検査院は、令和2年度決算検査報告を作成し、令和3年11月5日にこれを内閣に送付し、この中で「申告不要配当特例等(注1)」について、「申告不要配当特例等は、上場株式等に係る個人株主への配当等のうち、事業参加的側面が強い個人株主が支払を受ける配当等を適用対象除外とした上で、貯蓄から投資へという政策課題を踏まえて課税の簡素化や投資リスクを軽減することなどを目的に制定されたものであり、議決権の過半数を保有して支配している法人を通じるなどして持株割合が実質的に3%以上となっている個人株主と大口の個人株主との間での課税の公正性が保たれていないとして、上場株式等に係る配当所得等の課税の特例の適用範囲について見直しを求めていました。

(注1)申告不要配当特例等とは、居住者が内国法人から支払を受ける上場株式等に係る配当等のうち、その支払に係る基準日等において、発行済株式等の総数等に対する株式等の保有割合が3%未満の者がその内国法人から支払を受ける配当等について講じられている①上場株式等に係る配当所得の分離課税の特例、②確定申告を要しない配当所得等の特例(少額配当の申告不要の特例(注2)などの部分は除きます。)及び③上場株式等の配当等に係る源泉徴収税率等の特例などのことをいいます。
(注2)少額配当の申告不要の特例とは、内国法人からの一回に支払いを受けるべき金額が、10万円に配当計算期間の月数を乗じてこれを12で除して計算した金額以下であるものは、確定申告において申告不要とできる制度になります。

(4) 改正後の内容
 上記(3)の会計検査院の指摘を踏まえて、令和4年税制改正により、内国法人から支払を受ける上場株式等の配当等で、①その配当等の支払に係る基準日においてその支払を受ける居住者等と②その者を判定の基礎となる株主として選定した場合に同族会社(法人税法第2条第10号に規定する同族会社をいいます。以下同様になります。)に該当する法人が保有する株式等を合算してその発行済株式等の総数等に占める割合が3%以上となるときにおけるその居住者等(以下「対象者」といいます。)が支払を受けるものが、総合課税の対象になりました。
 本改正の対象者の範囲は、「その者を判定の基礎となる株主として選定した場合に同族会社に該当する法人」という文言から、同族会社の株式を直接保有している者に限られると考えられます。
(同族会社の株式を保有していない場合、同族会社か否かの判定の基礎となる株主として選定できません。)
 なお、本改正にあわせて、「上場株式等の配当等に係る源泉徴収税率等の特例(措置法第9条の3)」の改正は行われていないため、上記の対象者が、措置法第9条の3に規定する大口株主に該当しない場合の所得税の源泉徴収税率は、本則の20%ではなく、引き続き15%になります。
 本改正は、居住者等が令和5年10月1日以後に支払いを受けるべき配当等について、適用されます。
事務所だより:
お気軽にお問い合わせください。
円谷健一税理士事務所
電話:090-8453-2331
受付時間:

9:00~20:00(土日祝も対応可)

お問合せフォーム