2024年6月の税務
6月10日
●5月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額・納期の特例を受けている者の住民税の特別徴収税額(前年12月〜当年5月分)の納付
6月17日
●所得税の予定納税額の通知
7月1日
●4月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●10月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の1月、7月、10月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の3月、4月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(2月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
●国外財産調書・財産債務調書の提出
○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第1期分)(6月、8月、10月及び1月中(均等割のみを課する場合にあっては6月中)において市町村の条例で定める日)
定額減税が開始されます
令和6年6月から始まる定額減税について、国税庁「定額減税特設サイト」では、制度紹介、Q&A、様式集が公開されています。合計所得金額1,805万円以下の居住者は、令和6年分所得税額から本人3万円、同一生計配偶者と扶養親族1人につき3万円が控除され、令和6年分個人住民税所得割額から本人1万円、同一生計配偶者と扶養親族1人につき1万円が控除されます。
◆給与に係る定額減税
給与支払者は、令和6年6月1日現在の在職者(基準日在職者)から扶養控除等申告書の提出を受けた場合(甲欄適用者)、6月1日以後、最初に支払う給与・賞与等の源泉徴収税額から月次減税額を順次控除します(月次減税事務)。年の中途で同一生計配偶者や扶養親族の異動などが生じた場合は、年末調整にて精算します(年調減税事務)。減税額は各人別控除事績簿を備えて管理し、源泉徴収票の摘要欄には、定額減税控除済額を記載します。扶養控除等申告書に記載していない合計所得金額900万円超の基準日在職者の同一生計配偶者や16歳未満の扶養親族には、「源泉徴収に係る定額減税のための申告書兼年末調整に係る定額減税のための申告書」等の提出を受けます。
◆公的年金等に係る定額減税
公的年金等の支払いを受ける者は、公的年金等の受給者の扶養親族等申告書を提出することにより、6月1日以後、最初に支払う年金の源泉徴収税額から定額減税額を順次控除します。年の中途で同一生計配偶者や扶養親族の異動などが生じた場合は、年末調整にて精算します。
◆事業所得・不動産所得・退職所得の場合
事業所得・不動産所得のある納税者は、予定納税額から定額減税の本人分が控除されます。さらに、予定納税額の減額申請の手続により、同一生計配偶者分、扶養親族分の減税額相当額を控除できます。予定納税のない納税者は、確定申告にて定額減税額の控除を受けます。退職所得のある納税者は、源泉徴収時に定額減税額の控除は行われず、確定申告にて控除を受けます。
◆住民税額からの控除方法
住民税所得割額からの控除は、給与所得で特別徴収の場合、令和6年7月分から令和7年5月分の11か月で均等額を控除。普通徴収の場合、第1期分(令和6年6月分)から順次控除。公的年金等は、令和6年10月分の特別徴収税額から順次控除。控除しきれない額は、調整給付金で支給されます。
国税庁からのお知らせ 令和7年1月から控えは印なしに
◆申告書等の控えに収受日付印を押さない
国税庁は令和6年1月4日に、令和7年1月以降は申告書等の控えに収受日付印の押捺を行わないこととする、と発表しました。対象となる「申告書等」とは、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他の書類の他、国税庁・国税局・税務署に提出される全ての文書とのことです。
令和7年1月からの書面申告等における申告書等の送付時には、申告書等の正本(提出用)のみを提出してください、とWeb上でお願いしています。また、必要に応じて自身で控えを作成、提出年月日の記録・管理をするようにも呼びかけています。
◆申告書等の提出事実を証明する方法
例えば個人が融資を受ける、奨学金の申請を行う、保育園の手続きする、等の際に確定申告書の控えを要求されることがあります。ただ、この控えについては「収受印があること」が控えたりうる要件であり、収受印がない控えについては、個人の収入等が証明できないため、各種手続きに利用できない可能性が大です。
オンラインサービスを利用せず、紙媒体で効力のある収入証明を手に入れる場合には、税務署に対して「保有個人情報の開示請求」を行うか、「納税証明書の交付請求」を行う必要があります。
個人情報の開示請求は手数料300円、納税証明書は税目ごと1年度1枚につき400円です。
◆オンラインなら無料
e-Taxを利用した申告であれば、申告等データの送信が完了した後に、税務署からの受信通知がメッセージボックスに格納されます。ここから申告書等のPDFファイルを無料でダウンロードすることができ、こちらには受付日時等が記載されますから、旧来の控えの役割を果たすものが欲しい人はe-Taxを活用しなさいね、という風に聞こえます。
国税庁は税務行政のデジタル・トランスフォーメーション(DX)を進めているとしていて、その一環の措置とのことなのですが、便利な機能が増えて利便性が向上する方が多い一方、インターネット等のサービスを上手く使えない方にとっては不便になることは確かです。また、不便ならまだしも「手続き等ができない人」が出てきてしまわないか、少し心配になります。
従業員の旅費交通費精算と適格請求書(=インボイス)の保存
◆旅費交通費にかかる3つのインボイス特例
適格請求書等保存方式の下では、請求書等の受領が困難な理由がある場合を除き、インボイスの保存が仕入税額控除の要件となっています。困難なものの中で、普段の経理実務で発生する旅費交通費に関するものに、下記の3つの特例があります。
(1)公共交通機関特例
3万円未満の公共交通機関(船舶、バスまたは鉄道)での旅客運送では、仕入側の会社は、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められます。適用には、帳簿に「公共交通機関特例」等との記載が必要です。
(2)入場券等回収特例
3万円以上の公共交通機関利用で簡易請求書の記載事項が記載された乗車券が回収される場合は、通常の記載事項に加え、帳簿に「入場券等回収特例」等と記載のほか、公共交通機関の住所等の記載も必要です。
(3)出張旅費特例
会社が従業員に出張旅費等を支給する場合には、「その旅行に通常必要であると認められる部分」の金額は、帳簿のみの保存で仕入税額控除OKです。適用するには、通常の記載事項に加え、帳簿に「出張旅費等特例」などと記載することが必要となります。
◆旅費規程に基づく立替経費精算書での精算
複雑にすると混乱しますので、これまで社内で使ってきた経費精算システムを踏襲し、新たに必要となった事項のみ追加する方が良いでしょう。仕入れの相手先名の横にインボイス番号を記載する欄を設け、近郊の公共交通機関利用の場合はそこに「公共交通機関特例」と記載するなどです。
課税仕入れの相手方を従業員とし、従業員が個人で取得した適格請求書まで辿れるようにしておけば、旅費交通費精算のインボイス保存の問題に対処できます。各社で処理フローを想定し、従業員に周知して、早いうちに慣れてもらいましょう。
◆会計システムのエラーメッセージへの対応
会計ソフトのインボイス制度への対応で、「課税仕入れとしていますが登録事業者ではありません」や「取引金額が1万円未満のため全額仕入控除できます(少額特例対象会社)」などのエラーメッセージでその都度作業が止まってしまうことがあります。それでなくともインボイス番号の確認作業で経理担当の作業量は大幅に増えています。
各社で環境は違いますが、自社のエラーメッセージ対応策を見つけ、無駄な時間をできるだけ回避するようにしましょう。