2026年7月の税務
7月10日
●6月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付(年2回納付の特例適用者は1月から6月までの徴収分を7月10日までに納付)
7月15日
●所得税の予定納税額の減額申請
7月31日
●所得税の予定納税額の納付(第1期分)
●5月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●11月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の2月、8月、11月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の4月、5月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(3月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
○固定資産税(都市計画税)の第2期分の納付(7月中において市町村の条例で定める日)
名義預金の相続課税
◆見落としやすい名義預金
遺産分割で見落としやすいのが名義預金です。親族名義で預金口座がつくられるので被相続人が生前、自分にプレゼントしてくれたものと思い込み、相続財産となる場合があることに気づかない。しかし、その場合でも相続財産として申告の要否を検討しなければなりません。
帰属者の判定要素
税務署が相続財産に該当するかチェックするポイントは、次のものとなります。
(1)預金の原資は、誰が出捐したか
(2)預金口座は誰が開設し預入れしたか
(3)預入者の意思はどのようなものであったか
(4)通帳と印鑑を保管し、預金の預入れ、払出しをしたのは誰か
被相続人が預金の原資を出捐し、親族名義の口座を開設し、通帳と印鑑を被相続人で保管し、預金の出し入れをしていれば、被相続人の名義財産とされる可能性が高まります。
反対に、被相続人が親族に贈与の意思を示し、親族も受け取る意思を表示していたことが書面等で明確に確認できる場合は、贈与税の課税対象となります。
国税庁の「誤りやすい事例⑥ 申告書第11 表の付表3関係」では、被相続人以外の名義財産(預貯金)について、名義にかかわらず、被相続人が取得資金を拠出していたことなどにより被相続人の財産と認められるものは相続税の課税対象となることが解説されています。
◆配偶者の名前で預金した場合
夫婦が婚姻中、給与所得や事業所得等で得た財産は、夫婦の一方が単独で有する財産(特有財産)として夫婦それぞれに帰属します。夫が自身で稼得した財産を妻名義で預金した場合、帰属者の判定要素に照らして名義財産となる可能性があります。
なお、贈与となることが明らかとなり、婚姻期間中に夫婦が拠出した資金を生活で消費するとき、贈与税は非課税となります。
◆子や孫に財産を残すための意思表示
被相続人が生前に子、孫の名義で預金口座をつくるのは、相続税を減らす動機もあるでしょうが、自分の意思で財産を渡したい願いもあるのではないでしょうか。親族名義の預金口座が見つかったときは、被相続人の生前の意思を尊重して遺産分割すれば協議が円滑に進むかもしれません。
厚生年金の標準報酬月額の上限の引き上げ
◆令和7年年金法改正
「厚生年金保険料の上限額はずっと変わらないのではないの?」と多くの方が思っていたかもしれません。しかし令和7年6月の法改正で標準報酬の上限は令和9年から段階的に引き上げられることが決まっています。2年後だし、あまり報道もされていないしということで気が付かなかったのかもしれません。
平成16年から段階的に引き上げられてきた厚生年金保険料率は、平成29年9月を最後に引き上げは終了して固定されていました。
◆年金法改正の背景
平成29年9月以降、厚生年金の標準報酬の上限(現在は65万円)が設けられていて賃金が上限を超えても保険料はそれ以上増えないことになっていました。しかし他にも決まりがあり、全国被保険者の標準報酬月額の平均の2倍が現行の上限を超える状態が続くと政令で新しい等級を追加することができるようになっています。
上限が設けられているのは年金給付額に大きな差が出ないようにするため、事業主の負担にも配慮するためとされていますが、高額所得者は上限以上の負担は増えないものの年金も増えません。どちらが良いのでしょうか。それより大きな理由は最近の賃金上昇が続いていて平均報酬の2倍が65万円を超える状態が継続しているためということです。これから標準報酬の上限を積極的に上げていく方針にしたようです。
◆段階的引き上げと企業への影響
今回の改正により標準報酬月額の上限が65万円から75万円に引き上げられます。
令和9年9月に68万円、令和10年9月に71万円、令和11年9月に75万円と段階的に上がります。賃金が月75万円以上の方の本人保険料負担は月9,100円(社会保険料控除前)に上昇し、その状態を10年続けた場合は月約5,100円(年金課税前)増額した年金が受け取れます。上限が引き上げられると収入に応じた保険料を徴収し、年金も増えることになります。また、賃金が65万円以下の方の保険料は変わらないのですが年金の給付水準は上がります。
高額所得者が対象のため影響を受けるのは一部の人ですが、企業側も負担するのでコストアップが見込まれます。
都市と地方の偏りを正す地方税体系の構築
◆広がる行政サービスの地域間格差
都市と地方の間で拡大する税収の偏在と財政力格差は、行政サービスの地域間格差を顕在化させています。東京都は潤沢な財政で所得水準にかかわらず、18歳以下の子に1人あたり月5,000円の補助金支給、私立高校の授業料無償化、第1子から保育料無償化など、他道府県の水準を超えるサービスが提供されています。
総務省「地方税制のあり方に関する検討会」は令和7年11月、次の報告をしました。
1.東京一極集中が格差の原因
①本社機能と人材・投資・税収の集中
東京都には資本金1億円超の法人の本社機能が集中し、本社支援産業も集積します。本社機能の強化は地方の人材を呼び寄せ、都市整備のための投資により地価は上昇、一極集中は加速して税収を増加させます。
②地方税の構造
財政需要を税収で賄えない地方公共団体は、国が標準的な財政需要を定めて不足額を地方交付税として支給します。地方税の税収が増加しても財源調整機能が働き、地方交付税はその分、減額されてしまいます。
一方、東京都は税収が潤沢にあり、財源超過額を自前の行政サービスで自由に使えます。財政需要に充当する1人当たり財源額も他道府県より低くて済んでいます。
2.偏在性の小さい地方税体系の構築
企業行動の最適化によって経済社会構造は変化し、今後、行政サービスの地域間格差は、ますます広がることが想定されます。一方、地方は都市に住む人の食料生産を担い、エネルギーや若い人材を供給しています。東京の一極集中と地方の衰退が同時進行しないよう地方活力の維持・向上、偏在性の小さい地方税体系の構築が必要です。
◆次年度税制改正の対応
総務省の検討会報告を踏まえ、令和8年度税制改正大綱では、偏在性の小さい地方税体系の構築に向け、新たに法人事業税の資本割を特別法人事業税・譲与税の対象とすること、所得割・収入割に対する特別法人事業税・譲与税の割合を高めることなどの検討を示しました。
また、固定資産税は東京都特別区に税収が著しく偏在している状況に鑑み、課税の仕組み、東京都と特別区の事務配分の特例について都区財政調整制度への影響を踏まえて必要な措置を検討するとしています。令和9年度以降の税制改正で結論を得ます。