2026年8月の税務
8月10日
●7月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
8月31日
●6月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●12月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の3月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の5月、6月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(4月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
●個人事業者の消費税・地方消費税の中間申告
○個人事業税の納付(第1期分)(8月中において都道府県の条例で定める日)
○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第2期分)(8月中において市町村の条例で定める日)
適用要件を再チェック! 短期前払費用の取扱い
◆会計上の「前払費用」とは?
今回は、決算で何かと話題となる「短期前払費用」を取り上げます。
会計(企業会計原則)では「前払費用」とは、次のように定義されています。
『一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、いまだ提供されていない役務に対し支払われた対価をいう。』
簡単に言うと、継続的役務(家賃、保険料、利息など)の先払い分のことです。
このようなものは、時間の経過とともに次期以降の費用となるものです。そのため、契約期間の経過に合わせて、次期以降の費用となる金額は、当期の損益計算から除去するとともに貸借対照表の資産の部に計上します(このような継続的な契約以外の契約等による「前払金」とは区別されます)。
◆税務上の「短期前払費用」とは?
ただし、税務では、1年以内の「短期前払費用」について、収益との厳密な期間対応による計算をすることなく、支払時点で損金算入を認める特例が設けられています。企業会計上の重要性の原則に基づく経理処理を税務上も認めるというものです。
この特例を適用するには、次のような要件を満たす必要があります。
(1)1年以内の役務提供であること
支払った日から1年以内に提供を受けるサービス(役務)である必要があります。
例えば、1年を超える分をまとめて支払った場合には、この特例は適用できません。
原則通り(月割計算等)となります。
(2)継続的な役務提供であること
一定の契約に基づき、一定期間にわたり継続的に同じ質・量のサービスを受けるものであることが条件となります(家賃、保険料、利息がその典型例となります)。
(3)支払が完了していること
決算期末までに、実際に代金の支払が完了している必要があります。
(4)継続適用すること
一度この特例を適用した後は、毎期継続して同じ処理を行う必要があります。利益が出た年だけ節税目的で1年分支払うといった処理は認められません。
(5)収益との直接的な対応がないこと
例えば、借入金を預金や有価証券で運用している場合の「支払利息」などは、運用の収益(預金の利息・株式の配当など)と厳密に対応させる必要があります。したがって、この特例の適用は認められません。
少額減価償却資産の取得価額拡充で上限40万円未満へ!
◆制度の目的と背景
中小企業者が事業に必要な少額の設備や備品を購入した際、その費用を購入年度に一括して経費計上できる「少額減価償却資産の特例」が令和8年度税制改正で拡充・延長され、令和8年4月1日以後の取得分から適用されます。本来、減価償却資産は耐用年数に応じて毎年少しずつ費用計上するのが原則です。しかし、それでは資産管理の事務処理が煩雑になります。本特例は中小企業の事務負担を軽減し、積極的な設備投資を後押しするために設けられたものです。約66万社が活用しており、令和5年度の適用総額は3,728億円に上ります。
◆今回の改正ポイント
改正前は取得価額「30万円未満」の資産が対象でしたが、今回の改正で「40万円未満」へと上限額が引き上げられました。これにより、これまで対象外だった30万円から40万円未満の設備・ソフトウェア等も一括損金算入が可能となります。適用上限は年間合計300万円で、この点は改正前と変わりません。適用期限は令和10年度末(令和11年3月31日)まで3年間延長されます。なお、貸付けの用に供した資産(主要な事業として行われるものを除く)は引き続き対象外となりますのでご注意ください。
◆対象企業と要件の確認
この特例を利用できるのは青色申告書を提出する「中小企業者等」に該当する法人です(個人も青色中小事業者であれば利用可)。資本金額または出資金額が1億円以下の法人が基本となりますが、大法人の子会社等や通算法人、保険業法に規定する相互会社、投資法人、特定目的会社、適用除外事業者(過去3年間の平均所得金額が15億円を超える事業者)は対象外です。従業員数は中小企業者で400名以下、出資金等が1億円超の組合等では300名以下が要件となります。自社が確実に対象に該当するかは、税理士に確認のうえで購入の検討をお願いします。
◆経営者がいま行うべき行動
単価30万円以上40万円未満の備品・ソフトウェア・工具等の購入を検討している場合、一括費用計上が可能となりますから、年間合計300万円枠の管理と購入タイミングを確認し、投資計画の見直しに着手してください。税務申告の際には適用漏れのないよう、顧問税理士との早めの打ち合わせをお勧めします。
厚生年金の標準報酬月額の上限の引き上げ
◆令和7年年金法改正
「厚生年金保険料の上限額はずっと変わらないのではないの?」と多くの方が思っていたかもしれません。しかし令和7年6月の法改正で標準報酬の上限は令和9年から段階的に引き上げられることが決まっています。2年後だし、あまり報道もされていないしということで気が付かなかったのかもしれません。
平成16年から段階的に引き上げられてきた厚生年金保険料率は、平成29年9月を最後に引き上げは終了して固定されていました。
◆年金法改正の背景
平成29年9月以降、厚生年金の標準報酬の上限(現在は65万円)が設けられていて賃金が上限を超えても保険料はそれ以上増えないことになっていました。しかし他にも決まりがあり、全国被保険者の標準報酬月額の平均の2倍が現行の上限を超える状態が続くと政令で新しい等級を追加することができるようになっています。
上限が設けられているのは年金給付額に大きな差が出ないようにするため、事業主の負担にも配慮するためとされていますが、高額所得者は上限以上の負担は増えないものの年金も増えません。どちらが良いのでしょうか。それより大きな理由は最近の賃金上昇が続いていて平均報酬の2倍が65万円を超える状態が継続しているためということです。これから標準報酬の上限を積極的に上げていく方針にしたようです。
◆段階的引き上げと企業への影響
今回の改正により標準報酬月額の上限が65万円から75万円に引き上げられます。
令和9年9月に68万円、令和10年9月に71万円、令和11年9月に75万円と段階的に上がります。賃金が月75万円以上の方の本人保険料負担は月9,100円(社会保険料控除前)に上昇し、その状態を10年続けた場合は月約5,100円(年金課税前)増額した年金が受け取れます。上限が引き上げられると収入に応じた保険料を徴収し、年金も増えることになります。また、賃金が65万円以下の方の保険料は変わらないのですが年金の給付水準は上がります。
高額所得者が対象のため影響を受けるのは一部の人ですが、企業側も負担するのでコストアップが見込まれます。