2026年11月の税務
11月10日
●10月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
11月16日
●所得税の予定納税額の減額申請
11月30日
●所得税の予定納税額の納付(第2期分)
●特別農業所得者の所得税の予定納税額の納付
●9月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●3月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の3月、6月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の8月、9月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(7月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
○個人事業税の納付(第2期分)(11月中において都道府県の条例で定める日)
おしどり贈与の選択
婚姻期間20年以上の夫婦間で居住用不動産を課税されずに贈与できるのが、おしどり贈与(贈与税の配偶者控除)ですが、制度を活用するときは事前の検討が必要です。
◆おしどり贈与を選択する場合
(1)配偶者の生活保障
配偶者と子に相続争いの生じるリスクに備えたいとき、何よりも配偶者が安心して居宅に住み続けたいときは、おしどり贈与で配偶者の生活拠点を確保できます。
また、おしどり贈与は特別受益とならないので遺産分割の際、配偶者は生前贈与を受けた居宅のほかに預金や株式などを法定相続分で取得し生活の原資を確保できます。
(2)税制上のメリット
おしどり贈与は、贈与税の課税価格から最大2,000万円まで控除(ほかに基礎控除110万円も適用されます)され、生前贈与加算の必要もありません。ただし、取得時に不動産取得税と不動産登記の登録免許税、取得後は固定資産税がかかります。
おしどり贈与は配偶者が居宅の贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住の用に供し、かつ、その後、引き続き居住の見込みであるときに適用されます。適用を受けた後、事情が変わり居宅を売却したときは、居住用財産の譲渡所得3,000万円控除のほか、所有期間が10年超であれば、軽減税率の特例(譲渡所得金額6,000万円まで、所得税10%、住民税4%)を適用できます。
◆おしどり贈与を選択しない場合
(1)相続人の争いが見込まれないとき
配偶者が子供夫婦と良好な関係ができているときは、おしどり贈与を選択せず、家族会議で夫婦の希望を子に伝えて遺産分割で配偶者に居宅を取得させることもできます。また、遺言書を作成して夫婦の意思を示しておくこともできます。
(2)税制上のメリット
おしどり贈与を選択せず、相続や遺贈で配偶者が居宅を取得する場合、居宅の宅地に小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)を適用でき、居住用宅地の課税価格の80%(330㎡まで)が相続税の課税価格から減額され、相続税を大幅に圧縮できます。
また、相続税の算出時には配偶者の税額軽減が適用されるので、課税価格1億6,000万円又は配偶者の法定相続分のいずれか大きい金額まで相続税は課税されません。
配偶者が居宅を売却する場合には、譲渡所得3,000万円控除の特例や所有期間10年超の軽減税率の特例も利用できます。
最低賃金全国平均時給1,121円
◆全国加重平均66円上げ過去最大
中央最低賃金審議会で賃金引き上げ額が全国加重平均は24年度実績から66円引き上げ時給1,121円で決まりました。現在の1,055円から上昇率6.2%と金額、率とも過去最大規模のアップです。引き上げは23年連続で、目安以上の引き上げがされて全ての都道府県で1,000円を超えています。
発効日は2025年10月ですが、今年は半分以上の府県は11月以降になります。
◆中小企業の経営には生産性の底上げが急務
中小企業者に対し日本商工会議所が2025年1月〜2月に行った調査では、最賃上げ対策としては「設備投資等人件費以外のコスト削減」(39.6%)「残業時間・シフトの削減」(31.3%)となっていました。引き上げに見合う経営体力が伴わなければ、高い賃金を提示されても重荷となり人材採用、雇用維持ができず地域経済がしぼむリスクもあります。
労働政策研究・研修機構が実施した調査では最も低いパート賃金が「最低賃金の10%以上上回る」と答えた企業は26.7%しかありません。社会保険料がかかり始める「106万円の壁」に達する人も増えていくでしょう。
最低賃金の近くで働くパートやアルバイトは多く、基準となる金額の引き上げで社会保険料がかかり始める人が増えてきます。社会保険料の支払いを回避して働き控えをする人も一定数います。最低賃金の引き上げが人手不足に拍車をかけることにもなりかねません。
◆準備期間は限られている
例えば、最低賃金で1日8時間、21日働くパートの場合、1,055円×8H×21日=177,240円だった月給が1,121円×8H×21日=188,328円となり、差額は月11,088円、年間で約13万円超の増加です。
ある飲食店の対応策例では、
・ピーク時間のみ勤務の「短時間勤務に」切り替え
・夕方以降の清掃を外注に切り替え
・接客業務のセルフ化、タブレットの活用
・売上げが少ないメニューの廃止 等
時給制社員の最賃改定後の賃金シミュレーション、人件費総額の影響試算、不採算業務の作業の洗い出しなどで作業の見直し等をしてみましょう。
代償分割による遺産分割
◆代償分割とは
相続後も親の不動産に住み続ける場合、複数の相続人が不動産を共有で相続することは、将来の建替えや売却の際、所有者全員の同意を得なければならないなど、所有関係を不安定なものにしてしまいます。このように現物分割が困難な財産の場合に、特定の相続人が現物の財産を取得し、代わりに他の相続人には、それぞれの持分に応じて債務を負担して遺産分割することができます。これを代償分割と呼びます。
◆代償財産の価額の計算方法
代償分割で交付する財産(代償財産)の価額は、財産を取得した相続人が他の相続人に対して支払う債務(代償債務)の額となります。例えば相続人が兄弟2人で兄が親の居宅を相続して弟に金銭を支払う場合、居宅と敷地の相続税評価額を4,000万円、支払額を2,000万円とすると、それぞれの取得財産の価額は次のように計算します。
兄の課税価格: 4,000-2,000=2,000万円
弟の課税価格: 2,000万円
また、居宅と敷地の評価額を時価とする場合、時価を5,000万円、支払う金銭を2,000万円とすると、それぞれが取得する財産の価額は次のように計算します。
兄の課税価格=C-A×C/B=2,400万円
弟の課税価格=A×C/B=1,600万円
A:代償債務の額 2,000万円
B:代償債務の額の決定の基となった財産の通常の取引価額(時価)5,000万円
C:代償債務の額の決定の基となった財産の相続税評価額 4,000万円
◆不動産で支払うと譲渡所得税が課税される
代償財産が相続人の所有不動産の場合、相続人は代償債務の支払いのため、自身の所有不動産を時価で譲渡したものとして、譲渡所得に課税されます。この場合、代償債務の負担額は、代償分割によって取得した相続財産の取得費に算入されません。
◆代償分割の活用
預貯金や株式、信託財産など金融資産を分割する場合、相続人の数が多いときは、分割に相続人間の同意がある場合でも、相続人全員が一堂に会して金融機関向けの申請書類に署名・押印する手続きは負担が重くなります。この場合も相続人代表者が代償分割を活用すれば手続きが楽になりそうです。金融機関と事前に相談しておくことをお勧めします。