●厳しい消費税還付 調査になることも
国税当局は現在、消費税調査にこれまで以上に力を入れています。悪質な不正還付やミスが絶えないためです。
平成20事務年度では、13万1千件の法人消費税調査が実施され、調査官になんらかの非違を指摘されたのはこのうち7万2千件。実に調査に入ったほぼ半数がミスをしていることになります。
特に、消費税の還付は、国側からすれば税金を持っていかれる制度です。税務署のチェックも厳しくなるので、還付申告の際は十分気をつけて下さい。
消費税の還付申告では、「仕入控除税額に関する明細書」を作成することになります。この明細書には、還付になった「主な理由」を書き込む欄があり、「固定資産の購入」か「仕入金額・経費の増加」または「その他」を選ぶことになりますが、「その他」の場合、空欄のまま出すのは絶対に避けたいところです。
なぜなら、必ずといっていいほど税務署側の入念なチェックを受けるためです。税務署に照会を求められたとき、理由があいまい・空欄ではスムーズに還付が受けられない可能性があります。
気になるのは、この還付申告による税務署側からの接触です。本格的な税務調査になってしまう場合と、簡単な書類チェックだけで済んでしまう場合があります。還付がすんなり受けられたからといって油断は禁物。還付後に税務調査になるケースも多々あります。
税務調査になるかどうかは、前回調査を受けてからの間隔と、還付の額によるものと考えられますが、還付の理由に関する請求書などはすぐに示せるようにしておきましょう。
還付額が大きいと、会社の資金繰りに充てたいと考える傾向がありますが、その場合は早めの申告を心がけたいものです。
<情報提供:エヌピー通信社>
●居住用なのに課税?
◆居住用は非課税
Aさんは、中規模のマンションを1棟持っておりました。中規模マンション1棟ですから、年間の収入は1,000万円を越えておりましたが、入居者はほとんどが居住用として利用しておりますから、その家賃収入については、消費税は非課税ということで、消費税の申告はしてまいりませんでした。
◆一括借上げは要注意
しかし、よる年波に管理も大変なので、不動産会社に一括で借り上げてもらうこととしました。その3年後、例年のように確定申告を済ませてホットしていたら、税務署から消費税の申告がなされていない旨の連絡が入ってきました。Aさんはびっくりして税務署にどうなっているのか談判に行きました。
◆税務署の見解はこうです。
一括借上げは、不動産会社です。不動産会社でもその転貸先が居住用に限られていれば良いのですが、Aさんのケースの場合は一括借上げの契約書にそのような文言がありません。
消費税の居住用の不動産収入の非課税の規定には、「契約において、人の居住の用に供することが明らかにされているものに限る」と明記されておりますからAさんの場合は非課税収入とはなりません。
◆消費税は忘れたころにやってくる。
しかしAさんは、「去年も一昨年もそんな話は無かったのに、何故今年になって急にそんな話が出てくるのかと食い下がりました。」
「消費税は基準期間というものがあります。それは2年前です。2年前の課税売上が1,000万円を超えた場合に課税事業者となります。あなたの場合は2年前に一括借上げで、課税売上が1,000万円を超えたので、今年から課税事業者なのです」ということでした。
Aさんは、泣く泣く消費税の申告に応じ、その足で不動産会社に行き一括借上げの契約書を以下のように直しました。
「転貸は原則として居住用に限る。居住用以外の用途で転貸する場合は、Aさんの同意を必要とする。」
(注意)
上記の記載内容は、参考記事を抜粋したものであり、弊事務所の事例ではございません。