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信田 薫 税理士事務所
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【情報S】改正減価償却制度とキャッシュフロー経営
第6回 赤字会社と減価償却
「減価償却なんて費用の話であって赤字会社には関係ない。ましてや任意計上だし・・・」と考えている会社経営者も多いかもしれません。なおかつ、赤字であれば収益税たる法人税等も発生しないわけですから、税効果としてのキャッシュ増加の恩恵を享受することもできません。とはいえ、減価償却の第1次的な目的は“適正な期間損益計算”にあるため、規則的・計画的な減価償却手続を経た財務諸表を作成し、管理会計や経営計画の策定の役立てることが望ましいことはいうまでもありません。
残念ながら、中小企業はもっぱら税務署などに提出する決算書を作成することだけが目的となっているという実態があるとともに、中小企業の会計処理を先導する法人税法では減価償却費の計上を任意としているため、中小企業は業績が悪化すると減価償却を停止することで利益をかさ上げした決算書を作成することができます。中小企業へ融資をする金融機関にとってはこのような決算書は融資の判断に困るものであって甚だ信用に欠ける決算書でしかありえませんし、何よりも会社の自己分析も困難となります。
そこで、平成17年8月に、中小企業の会計の質の向上を図るため「中小企業会計指針」なるものが定められました。この指針によれば、「有形固定資産の減価償却の方法は、定率法、定額法その他の方法に従い、毎期継続して適用し、みだりに変更してはならない。」とされ、任意の償却によることを否定しています。中小企業における会計処理についてこの指針が強制されるものではありませんが、この指針に基づく決算書は金融機関にとって融資の重要な判断材料になるため、信用を得やすくなるのは間違いありません。
指針の通り、減価償却を一定の方法に従って毎期継続して行うことを前提に赤字会社に対する平成19年度税制改正の影響を考えますと、ますます赤字がふくれ上がることとなります。特に、既存減価償却資産の5%未償却残高を5年間で均等償却していくこととなれば、今後5年間、製造業をはじめ高額資産が多い業種への影響はかなり大きいと思われます。一度、減価償却についてシミュレーションしてみることをお勧めします。
なお、青色申告法人の赤字は、青色欠損金として7年間の繰越控除が認められています。たまたま今事業年度が赤字であったが来期以降は大きく黒字になるというような場合には、近い将来の黒字と相殺可能な赤字を今事業年度に創出しておくことが節税につながります。
「減価償却なんて費用の話であって赤字会社には関係ない。ましてや任意計上だし・・・」と考えている会社経営者も多いかもしれません。なおかつ、赤字であれば収益税たる法人税等も発生しないわけですから、税効果としてのキャッシュ増加の恩恵を享受することもできません。とはいえ、減価償却の第1次的な目的は“適正な期間損益計算”にあるため、規則的・計画的な減価償却手続を経た財務諸表を作成し、管理会計や経営計画の策定の役立てることが望ましいことはいうまでもありません。
残念ながら、中小企業はもっぱら税務署などに提出する決算書を作成することだけが目的となっているという実態があるとともに、中小企業の会計処理を先導する法人税法では減価償却費の計上を任意としているため、中小企業は業績が悪化すると減価償却を停止することで利益をかさ上げした決算書を作成することができます。中小企業へ融資をする金融機関にとってはこのような決算書は融資の判断に困るものであって甚だ信用に欠ける決算書でしかありえませんし、何よりも会社の自己分析も困難となります。
そこで、平成17年8月に、中小企業の会計の質の向上を図るため「中小企業会計指針」なるものが定められました。この指針によれば、「有形固定資産の減価償却の方法は、定率法、定額法その他の方法に従い、毎期継続して適用し、みだりに変更してはならない。」とされ、任意の償却によることを否定しています。中小企業における会計処理についてこの指針が強制されるものではありませんが、この指針に基づく決算書は金融機関にとって融資の重要な判断材料になるため、信用を得やすくなるのは間違いありません。
指針の通り、減価償却を一定の方法に従って毎期継続して行うことを前提に赤字会社に対する平成19年度税制改正の影響を考えますと、ますます赤字がふくれ上がることとなります。特に、既存減価償却資産の5%未償却残高を5年間で均等償却していくこととなれば、今後5年間、製造業をはじめ高額資産が多い業種への影響はかなり大きいと思われます。一度、減価償却についてシミュレーションしてみることをお勧めします。
なお、青色申告法人の赤字は、青色欠損金として7年間の繰越控除が認められています。たまたま今事業年度が赤字であったが来期以降は大きく黒字になるというような場合には、近い将来の黒字と相殺可能な赤字を今事業年度に創出しておくことが節税につながります。
- 参考URL:バックナンバー(情報ステーション)
2007年8月10日更新
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