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税務情報

平成21年分 所得税の主な改正事項


  ◇住宅取得に関する改正   住宅取得に関する改正

1.住宅借入金等特別控除の改正

適用期間が5年延長されるとともに、以下の通りに改められました。
(1)居住者が、住宅借入金等を利用して住宅の取得等をし、平成21年1月1日から平成25年12月31日までの間に、その者の居住の用に供した場合の控除期間、住宅借入金等の年末残高の限度額及び控除率等が以下の通りとされました。

居住年 控除期間 住宅借入金等の
年末残高の限度額
控除率 最大控除可能額
平成21年 10年間 5,000万円 1.0% 500万円
平成22年 10年間 5,000万円 1.0% 500万円
平成23年 10年間 4,000万円 1.0% 400万円
平成24年 10年間 3,000万円 1.0% 300万円
平成25年 10年間 2,000万円 1.0% 200万円

(2)居住者が、認定長期優良住宅の新築等をし、平成21年6月4日から平成25年12月31日までの間に、その者の居住の用に供した場合の特例が創設され、その控除期間、住宅借入金等の年末残高の限度額及び控除率等が以下の通りとされました。

居住年 控除期間 住宅借入金等の
年末残高の限度額
控除率 最大控除可能額
平成21年 10年間 5,000万円 1.2% 600万円
平成22年 10年間 5,000万円 1.2% 600万円
平成23年 10年間 5,000万円 1.2% 600万円
平成24年 10年間 4,000万円 1.0% 400万円
平成25年 10年間 3,000万円 1.0% 300万円

2.認定長期優良住宅新築等特別税額控除の創設

居住者が、認定長期優良住宅の新築等をし、平成21年6月4日から平成23年12月31日までの間に、その家屋をその者の居住の用に供した場合、その認定長期優良住宅の新築等に係る標準的な性能強化費用相当額(1,000万円を限度)の10%に相当する金額をその年分の所得税額から控除されます。
また、その年分の所得税額から控除しきれない金額は、翌年分の所得税額から控除されます。
(注)認定長期優良住宅の新築等について、1.の住宅借入金等特別控除を適用する場合には、この控除は適用できません。

3.特定の増改築等に係る住宅借入金等特別控除の特例の改正

居住者が、省エネ工事をし、平成20年4月1日から平成25年12月31日までの間にその家屋をその者の居住の用に供した場合、その省エネ改修工事に充てた増改築等住宅借入金等の年末残高の1,000万円以下の部分を以下の控除率により計算した金額を5年間の各年にわたり、その年分の所得税額から控除されます。
(注)省エネ改修工事等に要した費用の額が30万円を超える増改築等に限ります。

    増改築等住宅
借入金等の年末
残高の限度額
控除率 控除期間 各年の控除限度額
①省エネ改修工事等に係る費用   1,000万円 1.0% 5年 12万円
  ②うち特定断熱改修工事に係る費用 200万円 2.0%
※増改築等住宅借入金等の年末残高の限度額は、①と②の合計で1,000万円となります。
 
【参考】対象となる工事
   省エネ改修工事
   ①全ての居室の窓全部の改修工事(必須)
   ②床の断熱工事
   ③天井の断熱工事
   ④壁の断熱工事
   ⑤一定の太陽光発電装置設置工事

  

4.住宅特定改修特別税額控除の創設

既存住宅について、特定の改修工事(一定のバリアフリー改修工事及び一定の省エネ改修工事)をした場合の所得税額の特別控除が、次の通り創設されました。
(1)特定居住者が、一定のバリアフリー改修工事又は一定の省エネ改修工事を平成21年4月1日から平成22年12月31日までの間に自己の居住用に行った場合、改修工事の額と「標準的な費用の額」のいずれか少ない方の金額(200万円を限度。ただし太陽光発電設備設置工事を含む省エネ改修工事の場合は300万円を限度。)の10%に相当する金額をその年分の所得税額から控除されます。
ただし、同一年中にバリアフリー改修工事及び省エネ改修工事を行った場合、その年分の所得税額から控除する金額は、両工事により計算した金額の合計額(20万円を限度。太陽光発電設備設置工事を含む省エネ工事の場合は30万円。)となります。

※特定居住者とは、
① 50歳以上の者
② 介護保険法に規定する要介護認定を受けている者
③ 介護保険法に規定する要支援認定を受けている者
④ 所得税法に規定する障害者に該当する者
⑤ ②から④のいずれかに該当する者又は年齢が65歳以上である親族と同居している者

【参考】対象となる工事
バリアフリー改修工事(特定居住者が行う以下の工事)

①廊下の拡幅 ②階段の勾配緩和 ③浴室改良 ④便所改良
⑤手すりの設置 ⑥屋内段差の解消 ⑦引戸の取替え工事 ⑧床表面の滑り止め

(2)特定居住者以外の居住者が、一定の省エネ改修工事を平成21年4月1日から平成22年12月31日までの間に自己の居住用に行った場合、その改修工事の額と「標準的な費用の額」のいずれか少ない方の金額(200万円を限度。 ただし太陽光発電設備設置工事を含む省エネ改修工事の場合は300万円を限度。)の10%に相当する金額をその年分の所得税額から控除されます。

(注)平成21年分で(1)又は(2)の控除を適用した場合は、原則として平成22年分において適用できません。

5.住宅耐震改修特別控除の改正

適用期限が5年延長されるとともに、控除額の計算方法が以下の通り改められました。

(1)控除の対象となる金額は、「住宅耐震改修に要した費用」とその住宅の耐震改修に係る「標準的な費用の額」※のいずれか少ないほうの金額とされました。
※「標準的な費用の額」とは、住宅耐震改修に係る工事の種類ごとに単位当たりの標準的な工事費用として定められた金額に、その住宅耐震改修に係る工事を行った床面積等を乗じて計算した金額をいいます。

(2)地方公共団体が作成する耐震改修に関する計画の要件に、耐震診断を対象とした事業であること及び耐震診断費用の為に補助金が交付されることが加えられたほか、補助金額の下限用件が撤廃され、適用対象区域が拡大されました。


  ◇土地等の譲渡所得に関する改正   住宅取得に関する改正

・特定の土地等の長期譲渡所得の特別控除の創設

個人が、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に取得(特別の関係がある者からの取得、相続等によるもの等一定のものを除く)をした国内にある土地等で、その年1月1日において所有期間が5年を超えるものの譲渡をした場合には、その年中のその譲渡に係る長期譲渡所得の金額から1,000万円(1,000万円に満たない場合には、その長期譲渡所得の金額)が控除されます。

・平成21年及び平成22年に土地等の先行取得をした場合の譲渡所得の課税の特例の創設

不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務を行う個人が、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に、国内にある土地等(棚卸資産等に該当するものを除く)の取得をし、その取得をした日に属する年の翌年3月15日までに、この特例を受ける旨の届出書を納税地の所轄税務署長に提出した場合において、その取得した日の属する年の12月31日後10年以内に、その者の所有する他の事業用土地等の譲渡をしたときは、その先行して取得をした事業用土地等の譲渡利益金額の80%に相当する金額をその事業用土地等の譲渡による譲渡所得の金額とすることができます。
(平成22年1月1日から平成22年12月31日までの間に取得されたもののみである場合は、60%に相当する金額)


  ◇金融・証券税制の改正   住宅取得に関する改正

1.上場株式等に係る譲渡所得等に対する課税の見直し

(1)上場株式等に係る譲渡所得等の軽減税率の特例の改正
平成21年1月1日から平成23年12月31日までの間に上場株式等の譲渡をした場合の上場株式等に係る譲渡所得等の金額に対する税率は、10%(所得税7%・住民税3%)となります。

(2)特定口座内保管上場株式等の譲渡による所得等に対する源泉徴収等の特例の改正
平成21年1月1日から平成23年12月31日までの間に上場株式等の譲渡又は上場株式等の信用取引等による差金決算を行った場合の、その譲渡収入金額又は差金等に基づき一定の計算により算定される源泉徴収選択口座内調整所得金額に対する源泉徴収税率及び還付の際の税率は、10%(所得税7%・住民税3%)となります。

2.上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除

確定申告書を提出する居住者等の平成21年分以後の各年分について、上場株式等に係る譲渡損失の金額と上場株式等の配当等に係る配当所得(申告分離課税を選択したものに限る)の金額との損益通算及び繰越控除(3年間)ができます。
※平成20年以前の各年に生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額で平成21年以後に繰り越されるものについても、平成21年以後の各年分の上場株式等に係る配当所得の金額から控除できます。

3.上場株式等の自己の株式の公開買付けの場合のみなし配当課税の特例について、適用期限が1年延長されました。


  ◇電子申告実施に関する改正   住宅取得に関する改正

(1)電子証明書を有する個人の電子情報処理組織による申告に係る所得税額の特別控除の適用期限が2年延長されました。(最高5,000円の特別控除)
なお、この税額控除を適用した者は、その後の適用年分においてこの税額控除の適用はできないこととされています。(1回限りの適用)

(2)税務手続の電子化促進措置
e-Taxを利用して確定申告書の提出を行う場合、以下の書類について税務署への提出又は提示を省略することができます。
 ・上場株式配当等の支払通知書
 ・オープン型証券投資信託の収益の分配の支払通知書
 ・配当等とみなされる金額の支払通知書
≪適用時期≫この改正は、平成21年1月5日以後に、e-Taxを使用して平成21年分以後の所得税の確定申告書の提出を行う場合について適用されます。


  ◇その他の主な改正事項   住宅取得に関する改正

・政治活動に関する寄付をした場合の寄付金控除の特例又は所得税額の特別控除について、その適用期限が5年延長されました。
・エネルギー需給構造改革推進設備を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除について、その適用期限が2年延長されました。
・事業基盤強化設備を取得した場合等の特別償却又は所得税額の特別控除について、その適用期限が2年延長されました。
・情報基盤強化設備等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除について、償却限度額及び特別税額控除額の計算の基礎となる情報基盤強化設備等の基準取得価額をその取得価額の100分の70相当額とすることとされました。
・優良賃貸住宅の割増償却における高齢者向け優良賃貸住宅に係る措置について、割増率の見直しが行われ、その適用期限が2年延長されました。

 
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あおば税理士法人市川支店 税理士石井文夫