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事務所だより:

公認会計士・税理士・M&Aシニアエキスパート 久次米会計事務所 事務所だより

発行日:平成37年04月
シニア・プライベートバンカー(日本証券アナリスト協会認定)

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目次
2025年4月の税務
資本的支出と修繕費の区分
補助金最大50億円 〜大規模成長投資補助金〜
減資による外形標準課税逃れへの対応

2025年4月の税務

4月10日
●3月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

4月15日
●給与支払報告に係る給与所得者異動届出

4月30日
●公共法人等の道府県民税及び市町村民税均等割の申告
●2月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●8月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の5月、8月、11月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の1月、2月決算法人を除く法人の1月ごとの中間申告(12月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>

○軽自動車税(種別割)の納付(4月中において市町村の条例で定める日)
○固定資産税(都市計画税)の第1期分の納付(4月中において市町村の条例で定める日)
○固定資産課税台帳の縦覧期間(4月1日から20日又は最初の固定資産税の納期限のいずれか遅い日以後の日までの期間)
○固定資産課税台帳への登録価格の審査の申出(市町村が固定資産の価格を登録したことを公示した日から納税通知書の交付を受けた日後3月を経過する日までの期間等)

資本的支出と修繕費の区分

 適正な税務申告には、固定資産の修繕や改良に要する費用の区分が重要です。実務では、「資本的支出」と「修繕費」の明確な区分が難しいケースが多く、特に機能回復を目的としつつ高機能化や耐久性向上が伴う場合は、判断が困難となります。

◆資本的支出と修繕費の定義と区分基準
 「資本的支出」は固定資産の機能のアップグレードや耐久性を増加させる支出で、取得価額に加算し減価償却を通じて費用化されます。
 「修繕費」は固定資産の維持管理や原状回復のための費用で、発生した事業年度の損金算入が可能です。

◆判断が難しい事例:蛍光灯のLED化
 LED化による節電効果や耐久性向上から、一見「資本的支出」と考えられるかもしれません。しかし、実務では「照明設備」の消耗品の交換とみなし、全体の価値向上とはせず、「修繕費」として処理することが適切です。

◆修繕費として認められる特例
 以下の条件を満たす支出は、修繕費として処理することが認められています。
(1)定期的な修理: おおむね3年以内の周期で行われる修理や改良
(2)少額の支出: 一回の修理や改良の金額が20万円未満の場合
(3)判断が困難な場合: 資本的支出か修繕費か明確でない場合で、その金額が60万円未満、または資産の前年度末取得価額の約10%以下の場合

◆判例にみる資本的支出と修繕費の判断
 賃貸マンションの台所・浴室設備全面取替工事が争点となった国税不服審判所の平成26年4月21日の裁決(平成21、22年分の所得税)では、納税者は居住機能回復の修繕と主張するも、既存設備撤去と新設備設置は修繕を超え、資産価値を高め耐久性を増す資本的支出と判断されました。
 この裁決は、工事目的が機能回復でも、内容が実質的に資産価値向上なら資本的支出となることを示しています。

補助金最大50億円 〜大規模成長投資補助金〜

◆企業成長を後押しする補助金制度
 中小企業の経営者の皆様、事業の成長や生産性向上を目指しながら、従業員の賃上げも進めたいとお考えではありませんか? そんな皆様を力強くサポートするのが、経済産業省が提供する「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金」です。この制度を活用すれば、設備投資や事業拡大にかかる負担を軽減しながら、持続的な賃上げの両方を実現することが可能です。

◆補助金の目的とメリット
 この補助金の目的は、地域の雇用を支える中堅・中小企業が直面する人手不足などの課題に対応し、成長を促すための大規模な投資を支援することにあります。具体的には、最新設備の導入による生産性向上、拠点の新設・増設による事業拡大、従業員の賃上げによるモチベーション向上など、多岐にわたる取り組みに活用できます。補助金を活用することで、企業の競争力強化と持続的な成長を実現できる点が大きなメリットです。

◆補助金の概要と支援内容
 本補助金の上限額は50億円、補助率は1/3以内となっており、投資額が10億円以上のプロジェクトが対象です。また、補助事業終了後3年間で、対象事業に関わる従業員1人当たりの給与支給総額の年平均上昇率が、事業実施場所の都道府県における直近5年間の最低賃金の年平均上昇率以上であることが求められます。

◆申請手続きと注意点
 申請は全て電子申請で行われ、「GビズIDプライムアカウント」が必要となります。このアカウントの発行には時間がかかる場合があるため、補助金の申請を検討される方は早めに取得を進めることをおすすめします。また、申請に際しては、事業計画の詳細を明確にし、成長戦略と賃上げ計画を具体的に示すことが重要です。

◆企業の未来への投資を
 事業の拡大や生産性向上を目指す中堅中小企業にとってこの補助金は大きなチャンスです。最新設備の導入や拠点の拡大、従業員の賃上げを通じて、企業の更なる成長を実現しませんか。この制度を活用し、企業の未来に向けた一歩を踏み出しましょう。

減資による外形標準課税逃れへの対応

 外形標準課税から逃れるため、資本金を1億円以下に減資し、あるいは組織再編時に子法人の資本金を1億円以下に設定する法人への対応として、令和6年度税制改正では外形標準課税の適用対象法人を見直す措置が取られています。

◆資本金と資本剰余金の合計額が判定基準に
 令和7年4月1日以後に開始する事業年度において、事業年度末の資本金1億円超の法人を外形標準課税の対象法人とする従来の判定基準は維持しつつ、「当分の間」、資本金1億円以下であっても、前事業年度が外形標準課税の対象法人であり、払込資本の額(資本金と資本剰余金の合計額)が10億円を超える法人についても外形標準課税の対象とされることとなりました。
 また、駆け込みで減資を行う法人への対応措置として最初事業年度(令和7年4月1日以後、最初に開始する事業年度)には経過措置が適用されます。公布日(令和6年3月30日)の前事業年度から最初事業年度の前事業年度までのいずれかで外形標準課税の対象法人であったものは、課税される事業年度の「前事業年度」に外形標準課税の対象でなかったとしても、最初事業年度に資本金1億円以下で払込資本の額が10億円を超えるものは外形標準課税の対象とされます。たとえば3月決算法人が公布日後の令和7年3月期に駆け込みで資本金を1億円以下に減資した場合、令和7年3月期は外形標準課税の対象外ですが、最初事業年度の令和8年3月期に払込資本の額が10億円を超えるものは外形標準課税の対象法人とされます。
 ただし、公布日前に行われた減資については、「駆け込み減資」として扱わず、一定の場合、経過措置の適用はありません。

◆100%子会社にも課税逃れ措置を実施
 令和8年4月1日以後に開始する事業年度において払込資本の額が50億円を超える法人(またはグループ内の複数の法人)に株式を100%保有される子法人で払込資本の額(公布日以後に配当等により減少した額を加算した後の金額)が2億円を超えるものも外形標準課税の対象となります。
 なお、経過措置として令和8年4月1日から令和9年3月31日までに開始する事業年度は、外形標準課税の対象外であるとみなした場合の事業税額を超える部分の3分の2が軽減され、令和9年4月1日から令和10年3月31日までに開始する事業年度は、3分の1が軽減されます。
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