2026年10月の税務
10月13日
●9月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
10月15日
●特別農業所得者への予定納税基準額等の通知
11月2日
●8月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●2月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の2月、5月、11月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の7月、8月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(6月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第3期分)(10月中において市町村の条例で定める日)
遺留分侵害に対する課税
円滑な財産承継は親の願いですが、遺留分を考慮する必要があります。
◆遺留分とは
民法は相続人の生活保障、公平な財産分配を目的として、財産が特定の者に集中して遺贈・贈与されることのないよう相続人に財産の一定割合を遺留分として取得する権利を与えています。相続人が被相続人の父母のみの場合、遺留分の算定の基礎となる財産の価額の3分の1、それ以外の場合は2分の1に法定相続分または代襲相続人の相続分を乗じた額が各相続人の遺留分の額となります。なお、兄弟姉妹に遺留分を取得する権利はありません。
◆遺留分侵害のある遺言の効力
遺留分を侵害する遺言がされても遺言の効力は失われません。受遺者は被相続人の遺言に従って財産を取得し、遺留分を侵害された相続人は、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を受遺者に請求できます。
公正証書遺言では公証人は遺言の内容によって遺留分侵害が起きるリスクを説明してくれます。遺言者は立ち止まって遺言内容を再考することができます。また、法的効力はありませんが、遺言書に付言事項として遺言者の思いを遺すこともできます。
◆課税への影響
遺留分侵害額請求により財産を移転させると課税に影響がでます。相続税の申告書を提出後、遺留分侵害額請求によって金銭の交付が行われた場合、金銭を取得した相続人が新たに相続税の申告を要するときは期限後申告書を提出することができ、既に申告していた相続税額が不足する時は修正申告書を提出できます。また、金銭を支払った受遺者・受贈者は、相続税額が過大となるため、遺留分侵害額請求による支払額が確定したことを知った日から4か月以内に更正の請求を行うことができます。
なお、受遺者・受贈者が侵害額請求債務の履行を金銭ではなく、不動産や株式などの財産で行った場合、その財産の譲渡所得には所得税が課税されます。
◆遺言があっても遺産分割協議は可能
遺言書とは別に相続人全員が合意すれば遺言と異なる遺産分割を行うこともできます。この場合、受贈者は遺贈を放棄し、各相続人は遺産分割協議に従って取得したものとして扱われ、財産の額に応じて通常どおりに相続税の申告を行うことになります。また遺留分の放棄によって贈与税が課税されることはありません。
おしどり贈与の選択
婚姻期間20年以上の夫婦間で居住用不動産を課税されずに贈与できるのが、おしどり贈与(贈与税の配偶者控除)ですが、制度を活用するときは事前の検討が必要です。
◆おしどり贈与を選択する場合
(1)配偶者の生活保障
配偶者と子に相続争いの生じるリスクに備えたいとき、何よりも配偶者が安心して居宅に住み続けたいときは、おしどり贈与で配偶者の生活拠点を確保できます。
また、おしどり贈与は特別受益とならないので遺産分割の際、配偶者は生前贈与を受けた居宅のほかに預金や株式などを法定相続分で取得し生活の原資を確保できます。
(2)税制上のメリット
おしどり贈与は、贈与税の課税価格から最大2,000万円まで控除(ほかに基礎控除110万円も適用されます)され、生前贈与加算の必要もありません。ただし、取得時に不動産取得税と不動産登記の登録免許税、取得後は固定資産税がかかります。
おしどり贈与は配偶者が居宅の贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住の用に供し、かつ、その後、引き続き居住の見込みであるときに適用されます。適用を受けた後、事情が変わり居宅を売却したときは、居住用財産の譲渡所得3,000万円控除のほか、所有期間が10年超であれば、軽減税率の特例(譲渡所得金額6,000万円まで、所得税10%、住民税4%)を適用できます。
◆おしどり贈与を選択しない場合
(1)相続人の争いが見込まれないとき
配偶者が子供夫婦と良好な関係ができているときは、おしどり贈与を選択せず、家族会議で夫婦の希望を子に伝えて遺産分割で配偶者に居宅を取得させることもできます。また、遺言書を作成して夫婦の意思を示しておくこともできます。
(2)税制上のメリット
おしどり贈与を選択せず、相続や遺贈で配偶者が居宅を取得する場合、居宅の宅地に小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)を適用でき、居住用宅地の課税価格の80%(330㎡まで)が相続税の課税価格から減額され、相続税を大幅に圧縮できます。
また、相続税の算出時には配偶者の税額軽減が適用されるので、課税価格1億6,000万円又は配偶者の法定相続分のいずれか大きい金額まで相続税は課税されません。
配偶者が居宅を売却する場合には、譲渡所得3,000万円控除の特例や所有期間10年超の軽減税率の特例も利用できます。
「勘と経験」から抜け出すデータ経営への第一歩
◆経営判断の根拠をデータで示す
中小企業の経営者から「新しいエリアへの出店を考えているが、どの地域に顧客がいるかわからない」「競合が増えてきたが、自社の商圏に何人の見込み客がいるのか把握できていない」といったご相談を受けることが増えています。感覚や経験に基づく経営判断は大切ですが、金融機関や補助金審査において説得力のある計画を示すためには、客観的なデータの裏づけが不可欠な時代になっています。
◆無料で使える国の分析ツールがある
こうした課題の解決策として、ぜひ活用いただきたいのが「RESAS(リーサス)」です。RESASは経済産業省と内閣官房が2015年から提供している地域経済分析システムで、登録不要・完全無料で利用が可能です。地域の人口構成・産業構造といった官民のビッグデータを、視覚的に確認できるツールです。2026年6月に大幅なアップデートが行われ、①市区町村単位の人数・滞在時間・消費額を把握できる「クレジットカード消費地分析・消費額分析」、②地域の経済環境を12ページのレポートで自動出力できる「地域経済総合分析」、③観光地分析カテゴリの拡充といった新機能が追加されました。
◆12ページのレポートが一発で出力できる
今回のアップデートで特に注目したいのは「地域経済総合分析」です。都道府県と市区町村を選ぶだけで、基幹産業の状況・生活関連産業の動向・小規模事業者の状況・将来人口・民間消費の流出入・観光客の動向など、12ページにわたるレポートを自動生成できます。自社の地域がどのような経済環境に置かれているかを把握できるため、新規事業の検討や事業計画の策定において強力な武器になります。補助金申請では「なぜこの地域でこの事業を展開するか」というマーケット根拠の提示に直結します。
◆一度アクセスしてみてください
RESASはhttps://resas.go.jpからアクセスできます。スマートフォンにも対応しており、登録は要らず費用はかかりません。最初は「地域経済総合分析」メニューで自社の地域を選択し、12ページのレポートを出力してみることをお勧めします。普段は感覚でとらえていた地域の経済環境が、データとして目に見える形になります。経営計画の見直しや金融機関への説明資料として活用できますので、一度お試しください。
首都機能をバックアップする副首都の姿とは〜 その1
7月、副首都法が成立しました。こちらは、もう1つの首都、副首都に関する法律です。現在、日本は東京圏への政治・経済の一極集中がなされ、首都直下地震などの大災害が発生すると政治・行政・経済の中枢機能がマヒするといわれています。こうした災害時の、迅速なバックアップ機能として副首都を定めようというのが法律の主な目的です。
加え、現在、東京には人口や経済が集中しています。集中する地域に対して、過密化の是正も副首都法の目的の1つになっています。副首都は多極分散型の経済圏としての役割をも担っています。
副首都法の正式名称は「国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律」で、通称として副首都法と呼ばれています。7月24日に国会で可決・成立し7月31日に公布されました。内閣に総理大臣を本部長とする推進本部が設置され、今秋にも指定要件が定められて施行される見通しです。
副首都法の制定により注目されるのはどの都市が副首都として指定されるかです。現在副首都はどこにするか決まっていません。大阪が最有力候補とされています。もともと大阪は大阪都構想を掲げており、大阪市を廃止して複数の特別区に再編する大都市制度改革などを進めようとしています。その一環として副首都の指定を目指しています。
ほかにも、愛知県と名古屋市では同日に副首都の指定を目指すと発表しています。また、札幌市長は副首都の選定について北海道と推進組織を立ち上げ、目指すとの表明もしています。福岡をはじめとした他の地域でも、指定に意欲を示すところが現れています。今後、副首都の実現に向けて目が離せません。
首都機能をバックアップする副首都の姿とは〜 その2
副首都法が参院本会議で可決、成立しました。これにより副首都が指定され、首都圏に大災害が発生した時のバックアップ、さらには経済圏の分散が実現しようとしています。かねてから首都機能のバックアップ論はありました。かつては東京からそう遠くない地域に代替機能を用意するのが良いとされていました。ただ、今回の副首都法では首都のバックアップ機能が求められ、東京と同時に被災しないことが前提となっています。その中、大阪や名古屋、福岡、札幌などが指定に意欲を示しています。
ただ、副首都とはどのような都市なのか。副首都法が成立したものの、その姿ははっきりしないのが現状です。副首都が備えるべき機能や規模といった具体像は政府が今後、政令や基本方針などで定めることになっています。
具体像を考えるに、副首都は東京の行政機能を一部移すだけでは、十分なバックアップとはいえません。国会や中央省庁の業務、企業の本社機能、金融や情報通信など、東京に集中している重要な機能を、どこまで別の都市に分散させるのかが重要になります。また、災害時に東京と同時に機能を失わないためには、交通網や通信網、電力などのインフラも含めて、平時から備えておく必要があります。
一方で、副首都を1つの都市に集中させれば、そこに新たな一極集中を生む可能性もあります。大阪を中心としながら、福岡や札幌など複数の都市がそれぞれの強みを生かして機能を分担するという考え方もあります。副首都構想は、東京に次ぐ「第二の首都」をつくるというだけではなく、日本全体の都市や経済のあり方を見直す機会になるのかもしれません。今後、政府がどのような具体像を示すのかが注目されます。
2026年版中小企業白書を読み解く 付加価値は戦略で決まる
◆差別化を意識する企業ほど付加価値が高い
2026年版中小企業白書が付加価値を高める経営戦略について興味深いデータを示しています。「差別化を重視している」事業者は「重視していない」事業者と比べて付加価値額の伸びが高く、さらに差別化と外部環境(顧客ニーズ・市場動向等)の両方を意識している事業者は、どちらも意識していない事業者と最も大きな差がついています。
付加価値を高められるかどうかは、経営者が「どう差別化するか」を真剣に考えているかどうかと、深く関係していることが分かりました。
◆価格で差別化しようとしていないか
では、どのような差別化が有効なのでしょうか。白書によると、製造業・非製造業ともに差別化で最も重視されているのは「品質の高さ」であり、次いで「顧客対応の柔軟性」「独自の技術・ノウハウ」と続きます。注目すべきは「価格競争力」が上位に入っていないことです。
価格を下げる方向での差別化は、付加価値そのものを削る行為にほかなりません。「安くする」のではなく「品質を上げる・顧客対応を丁寧にする・独自技術を磨く」という方向こそが、中長期的な稼ぐ力に直結するということを、このデータは明確に示しています。
◆経営計画を策定する企業は約4割
一方、経営計画については、「策定している」事業者は約4割にとどまり、過半数は策定していないことが明らかになりました。策定している事業者は付加価値の伸びが高い傾向にありますが、それ以上に重要なのが「浸透度」です。経営計画が現場担当者まで届いている事業者は、役員止まり・経営者のみという事業者と比べて、付加価値の伸びが明確に高いことが確認されています。
◆計画は現場に届いてはじめて機能する
経営計画は「作ること」がゴールではありません。経営層が直接説明し、現場に資料を配布し、進捗を定期的に確認・見直すPDCAを回して初めて機能します。まず自社の差別化の軸を一言で表現できるかどうか、確認してみてください。言えなければ、そこが今期取り組むべき最初の経営課題です。差別化の言語化と、計画の全社浸透。この2つが、稼ぐ力の土台になります。
2026年版経済財政白書の概要 その1
内閣府は「令和8年度年次経済財政報告(経済財政白書)」を2026年7月24日に公表しました。
同白書の構成に沿ってその概要をみると、第1章では、「景気の現状・課題」というテーマで、2026年半ばまでのマクロ経済の動向等について概観しています。第1節では、「原油価格上昇の影響と物価・賃金の動向」として、国際的な原油・資源価格上昇の影響を物価・賃金の動向を中心に分析しています。第2節では、「我が国の実体経済の動向」として、企業の生産・設備投資行動や家計の消費行動など需要項目ごとに日本経済の現状を確認しています。
第2章では、「経済の構造変化と家計への影響」というテーマで分析を行っています。第1節では「賃金・物価・金利が変動する経済が家計に与える影響」として、どのような家計が金利上昇の影響を受けやすいかを考察しています。第2節では「労働需要の変化と求職・求人市場」として、生成AIを始めとした新技術を踏まえた労働需要の動向などを分析しています。第3節では、「時間と労働供給」として、時間という観点から労働市場における論点を分析しています。
第3章では、「物価環境の変化と成長資本の蓄積」というテーマで分析を行っています。第1節では、「現れ始めた企業行動の変化」として、ここ数年の企業行動の変化について考察しています。第2節では、「我が国企業のバランスシート」として、我が国企業のバランスシートの様子を観察し、企業部門で生産に必要な資本ストックを蓄積していく上での課題を分析しています。第3節では、「賃金と物価の緩やかな上昇と設備投資の拡大」として、企業の経済に対する認識と設備投資動向について詳細に分析を行っています。
2026年版経済財政白書の概要 その2
では、2026年版経済財政白書全体を通じてどのような点が明らかになったのでしょうか。ここでは同白書の「おわりに」の内容に沿って主要な論点についてみていきましょう。
1つ目は、「原油価格の上昇は国内物価や一部の生産に影響、影響の広がりは抑制されている」という点です。中東情勢による原油価格上昇は、国内物価押し上げ、石油・石炭製品や化学工業生産にも影響した一方、原油備蓄の放出や代替調達などの政策対応により、現時点で日本経済全体への影響は限定的であるとしています。今後は、人手不足や潜在成長率の低さといった構造的な課題にも対応しながら、持続的な成長へつなげていくことが重要であるとしています。
2つ目は、「AIなどの新技術や柔軟な働き方に対応した労働市場の整備が重要」という点です。生成AIの普及により、定型的な事務作業などの労働需要が減少する一方、生産工程等現業職への需要が増加する場合には、労働移動が円滑に行われることが必要不可欠であるとしています。また、労働時間や勤務地を柔軟に選べる働き方は、女性や高齢者の労働参加を促し、労働市場の競争を高めるとしています。
3つ目は、「価格のダイナミズム復活を企業行動活性化と経済成長加速に結び付けられるか」という点です。物価上昇と予想物価上昇率の高まりにより、企業が価格転嫁しやすい環境が生まれ、景況感や設備投資を促す効果が確認されています。一方、企業の慎重な投資姿勢や過剰な現預金保有は依然として課題となっており、価格のダイナミズムを持続的な成長へ結び付けるには、官民が力を合わせつつ積極的な投資戦略を実行していくことが求められるとしています。
日本病院会 消費税〝損税〟解消を重点要望
日本病院会はこのほど2027年度の「税制改正要望書」を取りまとめ厚生労働省に提出しました。要望事項は国税6項目、地方税2項目、地域医療の拠点としての役割と税制に関する要望1項目。
このうち優先的な上位3項目として、国税では①社会保険診療報酬等に係る消費税の非課税を見直し課税取引に改めること②医療機関の設備投資を支援するための税制を整備すること――を挙げ、地方税では①社会保険診療報酬に係る事業税非課税措置を存続すること――を挙げて重点的に要望しています。
国税の要望6項目は①社会保険診療報酬等に係る消費税の非課税を見直し、課税取引に改めること②医療機関の設備投資を支援するための税制を整備すること③持分のある医療法人の事業承継を税制面で支援する制度を整備拡充すること④医療法人の出資評価で類似業種比準方式を採用する場合の参照株価は「医療福祉」と「その他の産業」のいずれか低い方とすること⑤公的運営が担保された医療法人に対する寄附税制を整備すること⑥医療費控除の制度を拡充すること。地方税の要望2項目は①医療機関における社会保険診療報酬に係る事業税非課税措置を存続すること②病院運営に直接的又は間接的に必要な固定資産について、固定資産税及び都市計画税並びに不動産取得税、登録免許税の非課税措置を整備すること。地域医療の拠点としての役割と税制に関する要望1項目は①新興感染症の流行や災害の発生時にも、病院が地域医療の重要な拠点としての役割を十分に果たせるよう、優遇措置を講じること――となっています。
2026年版中小企業白書を読み解く 中小の業況と経常利益の実態
◆業況はコロナ後の最高値から足踏みへ
中小企業庁が発表した2026年版中小企業白書によると、中小企業の業況判断DIは2023年第2四半期に1994年以降の最高水準を記録した後、低下に転じ、現在も足踏みの傾向が続いています。新型コロナウイルス感染症の影響から一時的に回復したものの、その勢いは長続きせず、製造業・建設業・サービス業いずれも2023年以降は伸び悩みの状況が続いています。経営環境の厳しさは依然として続いていると言わざるを得ません。
◆売上は増えても利益の格差は広がっている
売上高は増加傾向にあるものの、経常利益の面では大企業との格差が拡大しています。財務省の法人企業統計によると、中小企業の1四半期当たりの平均経常利益は大企業の約3分の1にとどまっており、その差は広がる一方です。
売上が伸びているのに手元に残る利益が増えにくいという状況の背景には、ウクライナや中東情勢の不安定さによる原材料費や人件費などコスト増加分を販売価格に十分転嫁しきれていないことや、大企業と比較した労働生産性の伸び悩みがあると考えられます。
◆業種別の差に経営改善のヒントがある
業種ごとの経常利益の推移を見ると、製造業や建設業が相対的に高水準を維持しているのに対し、宿泊業や飲食サービス業は依然として低迷が続いています。自社の属する業種が業界全体と比べてどのような位置にあるのかを客観的に把握することは、今後の経営の方向性を考える上で非常に重要な手がかりになります。同業他社の平均数値と自社の収益構造を比較することを、ぜひ一度試みてください。
◆今こそ「稼ぐ力」を点検する好機
今回の調査では、中規模企業の最大の経営課題は「人材確保」、小規模事業者では「受注・販売の拡大」であることが明らかになっています。業況の足踏みが続く中でも、付加価値を高め「稼ぐ力」を磨くことが、大企業との利益格差を縮める上で不可欠です。まずは自社の付加価値額と一人当たりの労働生産性を正確に把握し、どこに改善の余地があるかを点検することから始めてみてください。その数字の中に次に打つべき手が必ず見えてきます。
国税庁長官に青木孝徳氏
政府はこのほど、審議官級以上の幹部官僚人事を閣議決定しました。国税庁長官には青木孝徳主税局長を充てています。財務省の新川浩嗣事務次官は退任。後任の事務次官には宇波弘貴主計局長を起用しました。三村淳財務官は続投し在任3年目となります。発令は8月7日付。
幹部級人事は例年7月上旬に発令されますが、今年は通常国会の冒頭で衆院が解散となり、総選挙を経て約1カ月遅れで開かれた特別国会も会期が延長されたため、国会の閉会を待ってからの異動となりました。
昨年の財務省人事では、新川浩嗣事務次官、三村淳財務官、宇波弘貴主計局長、青木孝徳主税局長がそろって留任。少数与党だった当時の政権は、財務省中枢幹部の人事を維持して予算編成・税制改正に臨みました。今回の人事では新川氏が勇退、三村氏が続投、宇波氏と青木氏は順当にポストを上げました。
国税庁長官に就任する青木孝徳(あおき・たかのり)氏は愛知県出身の59歳。東大経卒、1989年大蔵省入省。大阪国税局桜井税務署長、内閣官房内閣参事官、主計局主計官、主計局法規課長、主計局総務課長、内閣官房内閣審議官、主計局次長、大臣官房審議官、大臣官房長、主税局長。26年8月7日付で国税庁長官に就任。