2026年11月の税務
11月10日
●10月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
11月16日
●所得税の予定納税額の減額申請
11月30日
●所得税の予定納税額の納付(第2期分)
●特別農業所得者の所得税の予定納税額の納付
●9月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●3月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の3月、6月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の8月、9月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(7月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
○個人事業税の納付(第2期分)(11月中において都道府県の条例で定める日)
令和8年度税制改正 住宅ローン控除の変更点
◆基本は変わらないが微妙に変化
住宅ローン控除は令和8年度税制改正により、適用期間が5年間延長され、現行では令和12年居住開始まで設定されています。最大額は子育て世帯の長期優良住宅等で5,000万円、控除率0.7%、控除期間13年と変動はないものの、細かい部分に修正が加えられていますのでチェックしてみましょう。
◆中古(既存)住宅への手当て
令和7年までの住宅ローン控除は、中古住宅を購入した場合の控除対象借入限度額が長期優良住宅等・ZEH水準省エネ住宅・省エネ住宅すべて3,000万円、控除期間は10年と、新築や買取再販住宅との差異が大きかったのですが、令和8年からは中古住宅を購入した場合、
長期優良住宅等の場合 3,500万円13年(新築等の場合4,500万円13年)
ZEH水準省エネ住宅 3,500万円13年(新築等の場合も3,500万円13年)
省エネ基準住宅 2,000万円13年(新築等の場合も2,000万円13年)
と、環境性能を満たしていれば新築と遜色ない水準で控除が受けられるようになりました。さらに控除対象借入限度額が上昇する子育て世帯等への上乗せについては、中古住宅でも受けられるようになりました。
また、合計所得金額1,000万円以下の場合のみ受けられる床面積40平方メートル以上(通常50平方メートル)の要件の特例についても、中古物件でも受けられるようになりました。ただし先述した子育て世帯等への借入限度額の上乗せとの選択適用となっていますのでご注意ください。
◆災害レッドゾーンの新築住宅は適用外に
入居日が令和10年以降の場合、災害危険区域・土砂災害特別警戒区域・地すべり防止区域・急傾斜地崩壊危険区域・浸水被害防止区域の新築住宅は住宅ローン控除の対象外となります。ただし、建替え・中古住宅購入・リフォームの場合は対象となります。
◆より住宅の環境性能が求められる
令和7年に省エネ基準適合住宅に居住を開始した場合は、新築は借入限度額が3,000万円となっていましたが、令和8年からは2,000万円が限度となり、令和10年からは支援対象外となります。より住宅の環境性能に制度が厳しくなる印象です。
2026年版中小企業白書を読み解く 金利上昇と資金調達の今
◆金利は高止まり、借入負担が増している
日本銀行が利上げ方向へと政策を転換する中、中小企業の資金調達環境は大きく変わりつつあります。2026年版中小企業白書によると、中小企業の借入金利水準判断DIは足下では若干低下しているものの、依然として高い水準が続いており、多くの企業が金利上昇の重荷を肌で感じていることが分かります。長らく続いたゼロ金利・低金利時代が終わりを告げ、借入コストを意識した財務管理が改めて強く求められる局面に入っています。変動金利で借入を行っている企業は、返済額の増加を具体的に試算した上で、手を打つタイミングを逃さないことが今まさに急務と言えます。
◆円安と物価上昇がコストを直撃する
さらに深刻なのが、円安と物価上昇の長期化です。2025年度も歴史的な円安水準は継続しており、円ベースで見た輸入物価指数は高い水準が続いています。国内企業物価指数と消費者物価指数も引き続き上昇傾向にあります。原材料・エネルギー・食品などを仕入れる中小企業にとってコスト増加圧力は一段と強まっており、価格転嫁が十分に進まない企業ほど収益が削られ続けるという厳しい現実があります。自社のコスト構造がどう変化しているか、専門家に相談してもいいかもしれません。
◆借入金増加と現預金横ばいが示すリスク
財務省「法人企業統計調査年報」によると、中小企業の借入金等は直近では増加に転じており、現預金残高は横ばいで推移しています。借入金が増加傾向にある中、金利負担の増加が重なることで資金繰りへの影響が顕在化しやすい状況が続いています。こうした時こそ手元流動性の水準を定期的に確認し、いざというときのために早めに手を打てる態勢を整えておくことが重要な意思決定と言えるでしょう。
◆資金繰りの「見える化」が最初の一手
こうした局面だからこそ、自社の資金繰り状況を「見える化」することが最初の一手です。借入金が月商の何か月分にあたるか、返済に何年かかるか、この2つの数字を把握するだけで、金融機関との交渉も資金調達の判断も大きく変わります。金利優遇のある政策金融の活用も選択肢に入れながら、手を打つなら早いほど選択肢は広がります。
今年の最低賃金の動向
◆最低賃金の目安は1,176円
厚生労働省の中央最低賃金審議会で2026年度の最低賃金の目安を全国加重平均で1,176円にすることが決定されました。昨年の全国平均である1,121円から55円の引上げで伸び率は4.9%でした。具体的な引上げの目安はAランク54円、BとCランクは56円でした。25年度は6.0%でしたが6年ぶりに伸びが縮まりました。今後、各地方審議会では目安を上回る場合もあります。
最低賃金はコロナ以降大幅な引上げが続いてきました。物価上昇が続いているためで、岸田内閣は「30年代半ばまでに全国平均1,500円に」、石破内閣では「20年代に」と前倒し方針を掲げ高市内閣では「30年代前半の早い時期に」と修正しています。
◆会社が準備すること
賃金台帳から現在の時給が最低賃金に近い従業員を洗い出し、また、月給者でも1か月平均所定労働時間で割り、時間額を算出します。その中には固定残業代、通勤手当家族手当、賞与などは入れません。
次に最低賃金の対象者だけを引き上げると社員とパートタイマーの賃金差が縮小し、勤続年数や職務内容に応じた賃金バランスが崩れて、不満、離職につながらないとも限りません。単なる最低賃金引上げだけに留まらず、全体のバランスに配慮する必要があります。
◆最低賃金改定は正社員に波及してゆく
日本経済は物価の伸びを上回る賃上げの定着と人手不足への対対応という課題に直面していて、最低賃金の引上げによる正社員の賃上げは今後も続くとみられます。しかし最低賃金と同程度で働く労働者は増えており、改正された後、下回る割合は小規模事業所で増えており、30人未満事業所では25年に27.7%ということです。25年度も「最低賃金を下回る従業員がいたため賃金を上げた」中小企業は45.1%でした。
最低賃金が労働者全体に与える影響は広がっています。最賃の時給が改定されると翌年度の社員の処遇改善にも波及していくからです。最賃が上がることで労働意欲を高める効果もあり就業者数が増えることも考えられます。ただ企業の負担を考えると必要な価格転嫁や生産性の向上を進めなければ運営が立ちいかなくなる可能性があります。
2026年版中小企業白書を読み解く 人手不足の正体を知る
◆業種を超えて深刻な人手不足
中小事業者の現場において、採用が思うように進まないと感じることはないでしょうか。2026年版中小企業白書によると、中小企業・小規模事業者の景況調査では、従業員の「不足」感が「過剰」感を大幅に上回る状態が続いており、中でも中規模企業の不足感が特に強くなっています。建設業・運輸業・情報通信業などで不足感が際立っており、人手不足は特定業種だけの問題ではなく、わが国の幅広い産業に共通する深刻な経営課題となっています。
◆求められる職種と需給の実態
白書が示す不足している職種を見ると、「専門的・技術的職業従事者」と「サービス職業従事者」の割合が最も高く、生産工程や販売、輸送・機械運転の分野でも顕著な不足が確認されています。これは単純に「人が足りない」という問題ではなく、特定の知識・スキルを持った人材が市場で慢性的に不足しているという構造的なミスマッチでもあります。自社が求める職種について、市場全体での需給実態を把握することが、採用戦略を立て直す第一歩となります。
◆景気回復では解決しない構造問題
人手不足がなぜ解消しないのか、その根本原因は景気動向ではなく、人口動態そのものにあります。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計によると、生産年齢人口は今後も一貫して減少する見込みです。白書の試算では、中小企業の雇用者数は2040年には2018年比で約8%から最大約16%低下する可能性があるとされています。景気が回復しても働き手の絶対数は増えない―これが「解消しない人手不足」の正体であり、白書が「現状維持は最大のリスク」と強調した背景です。
◆採用だけでは越えられない壁
こうした構造的な変化のもとでは、採用活動をさらに強化するだけでは限界があります。白書が指摘するように、省力化投資やAI活用によって「人手が少なくても回る仕組み」を構築することが、中長期的な経営の安定に直結します。また、中小企業への入職者の約7割は転職者です。新卒採用に偏るのではなく、転職者が重視する「仕事内容」「労働条件」「能力をいかせる環境」を整えることで採用力は大きく変わります。人手不足を「採用問題」と捉えるか「経営構造の問題」と捉えるか―その視点の違いが、これからの明暗を分けます。
平均地価 5年連続で上昇
国土交通省はこのほど、2026年の「基準地価」を公表しました。全国の平均地価は前年比1.5%プラスで、バブル崩壊後の92年以降最高だった前年と同じ上昇幅でした。21年から6年連続の上昇。基準地価は今年7月1日時点での全国の土地の値段を都道府県が調査したもの。土地取引や固定資産税評価の目安になり、1月1日時点の地価を調べて国交省が発表する「公示地価」を補完するものともいわれています。
全国の平均地価の伸び率1.5%はバブル崩壊後の91年の3.1%以来の高い水準。全国の調査地点のうち上昇した地点の割合は49.9%で、前年の49.3%から増えました。横ばい地点は15.7%、下落地点は34.4%でした。三大都市圏の全用途平均は4.4%の上昇です。東京圏の5.4%が牽引したかたちとなっています。
用途別に見ると、住宅地は前年比1.0%で、商業地は2.9%の伸びを見せました。ともに5年連続の上昇となります。
商業地は東京圏が8.9%、大阪圏が6.8%と大きく上昇したほか、札幌・仙台・広島・福岡の「地方四市」でも6.0%のプラスとなりました。地方圏でも上昇が目立ち、主要都市を除いた地方圏の商業地は、バブル期以来32年ぶりに上昇に転じた23年から引き続き上昇を維持しています。
国交省では「全国の地価は景気が緩やかに回復しているなか、地域や用途により差があるものの、三大都市圏では上昇幅が拡大し、地方圏でも上昇傾向が継続するなど、全体として上昇基調が続いている」と分析しています。
国税の滞納 発生割合1.1%
国税庁はこのほど、2025年度の租税滞納状況を発表しました。新規発生滞納額は前年度比0.1%増の9935億円で、10億円増加しました。税収が過去最高を更新するなかで微増に抑えましたが、1兆円の大台にさらに迫る水準となりました。滞納発生割合は全体の1.1%で同0.1ポイント減少。国税の約99%が期限内に納付されています。整理済額は同3.3%増の9802億円で、315億円増加しました。滞納残高は同1.4%増の9847億円で6年連続の増加となりました。
25年度の徴収決定済額(申告などにより課税されたものの額)は同10.6%増の89兆7949億円で、金額としては8兆6405億円増加しました。
25年度の新規発生滞納額9935億円は、89年度以降最も少なかった13年度の5477億円と比べ12年間で約1.8倍に増えているものの、ピークだった92年度の1兆8903億円と比べると約5割にまで減少しました。
24年度から繰り越した滞納残高は9714億円、25年度中の整理済額は9802億円で、年度末時点での滞納残高は9847億円でした。滞納残高は98年度の2兆8149億円をピークに減少を続け、19年度には7554億円にまで減少。しかし、翌20年度には22年ぶりに増加へと転じ、25年度まで6年連続で増え続けています。
税目別の滞納残高は、所得税が前年度比2.9%増の3948億円、法人税が同4.7%増の1380億円、相続税が同1.5%増の506億円と軒並み増加傾向を示す一方、消費税は同1.6%減の3893億円となりました。ほかの税目では整理済額が新規発生滞納額を下回り、滞納残高を積み増す結果となりましたが、消費税の徴収・納付は順調に進み、滞納残高を減らしました。
2026年版中小企業白書を読み解く 金利上昇と資金調達の今
◆金利は高止まり、借入負担が増している
日本銀行が利上げ方向へと政策を転換する中、中小企業の資金調達環境は大きく変わりつつあります。2026年版中小企業白書によると、中小企業の借入金利水準判断DIは足下では若干低下しているものの、依然として高い水準が続いており、多くの企業が金利上昇の重荷を肌で感じていることが分かります。長らく続いたゼロ金利・低金利時代が終わりを告げ、借入コストを意識した財務管理が改めて強く求められる局面に入っています。変動金利で借入を行っている企業は、返済額の増加を具体的に試算した上で、手を打つタイミングを逃さないことが今まさに急務と言えます。
◆円安と物価上昇がコストを直撃する
さらに深刻なのが、円安と物価上昇の長期化です。2025年度も歴史的な円安水準は継続しており、円ベースで見た輸入物価指数は高い水準が続いています。国内企業物価指数と消費者物価指数も引き続き上昇傾向にあります。原材料・エネルギー・食品などを仕入れる中小企業にとってコスト増加圧力は一段と強まっており、価格転嫁が十分に進まない企業ほど収益が削られ続けるという厳しい現実があります。自社のコスト構造がどう変化しているか、専門家に相談してもいいかもしれません。
◆借入金増加と現預金横ばいが示すリスク
財務省「法人企業統計調査年報」によると、中小企業の借入金等は直近では増加に転じており、現預金残高は横ばいで推移しています。借入金が増加傾向にある中、金利負担の増加が重なることで資金繰りへの影響が顕在化しやすい状況が続いています。こうした時こそ手元流動性の水準を定期的に確認し、いざというときのために早めに手を打てる態勢を整えておくことが重要な意思決定と言えるでしょう。
◆資金繰りの「見える化」が最初の一手
こうした局面だからこそ、自社の資金繰り状況を「見える化」することが最初の一手です。借入金が月商の何か月分にあたるか、返済に何年かかるか、この2つの数字を把握するだけで、金融機関との交渉も資金調達の判断も大きく変わります。金利優遇のある政策金融の活用も選択肢に入れながら、手を打つなら早いほど選択肢は広がります。
非常時に備える食料品や備品の税務上の取り扱い
◆企業が備蓄する非常食の経費計上時期は?
2026年8月13日に線状降水帯が千葉県を中心に襲い、帰宅困難者となった人々に成田国際空港会社(NAA)や県庁ほかが避難場所と非常食等を提供しました。民間企業でも帰宅できず会社で過ごす選択をした人たちもいたことでしょう。
各自治体も帰宅困難者対策条例で、企業に対して従業員の3日分の備蓄を努力義務として課しています。
企業が備蓄する非常食等は、実際の災害発生時の経費であり、それまでは「貯蔵品」として資産計上すべきなのでしょうか?
◆非常用食料品の取り扱い
先に答えを言うと、国税庁の質疑応答事例でも、「備蓄時に事業供用があったものとして、その時の損金の額(消耗品費)に算入して差し支えありません」としています。
理由として、非常時に備えるものは繰り返し使用するものではなく消耗品としての特性をもつものであること、災害時用の非常食は備蓄することをもって事業の用に供したと認められること、などとしています。
通常の消耗品は、期末に未使用分が残っている場合、一度「貯蔵品」などの資産として計上し直すのが原則です。しかし、災害用の非常食や保存水は「備蓄すること自体が本来の目的」であるため、例外として購入した事業年度に全額を経費(損金)として処理できます。すなわち、非常用食料品等は、実際に被災して消費した時ではなく、社内に配備した時点で経費になります。
◆高額備品や特定社員のみへの配布の場合
次のような場合、取り扱いが変わります。
(1)高額な非常防災備品・設備の取得
1個で10万円を超えるような避難設備(事業継続計画対策の非常用発電機や大規模な防災倉庫等)を購入した場合は、税法規定に則り資産計上し、減価償却(数年にわたって費用化)が必要となります。
(2)特定社員のみに配布する場合
特定の社員だけに非常食を配布する場合、その社員への「給与(賞与)」とみなされる可能性が高くなります。企業の防災対策ではなく、個人への経済的利益の供与とみなされるためです。
給与となれば源泉税の問題も発生し、役員賞与となれば損金となりません。仕入税額控除の対象外となるリスクもあります。