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司法取引、1年で利用2件



 他者が関わる犯罪について供述する引き換えに罪を軽減できる「司法取引」制度が、6月でスタートから1年の日を迎えました。その間に取引が行われたのは2件でした。制度の対象となる犯罪には贈収賄や組織犯罪に加えて企業の脱税も含まれますが、これまでに脱税絡みでの司法取引は行われていません。

 司法取引とは、自身や他者の犯した罪について認めたり詳細を供述したりすることを条件として、罪を軽くする仕組みのこと。米国などでは古くから組織犯罪の解明に役立てられてきた同制度ですが、日本ではこれまで導入されてきませんでした。米国では、自身の罪を認める代わりに罪を軽くするタイプの司法取引も導入されていますが、こちらは日本版では取り入れられず、他者の犯罪についての情報提供を材料とする取り引きのみにとどめて、昨年6月に導入されました。

 司法取引制度では、容疑者や被告が共犯者らの犯罪について供述すれば、検察官が起訴を見送ったり、求刑を軽くしたりします。例としては、会社ぐるみで脱税を行っていた時に、社員が自身の罪軽減と引き換えに経営者の関与を供述するというケースなどが考えられます。また法人も司法取引の当事者となれるため、取引先の犯罪行為に協力していた事業者が、取引先について供述することで自身が起訴を免れるといったケースもあり得ます。

 なお、同制度の適用第1号は、元役員が事業を受注する見返りに現地公務員に現金を渡した疑いについて、会社が元役員の不正競争防止法違反について協力する見返りに、法人としての立件を免れたものです。適用第2号は、会社が関与した犯罪について、個人が司法取引に応じたパターンでした。

<情報提供:エヌピー通信社>
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熊谷 守 税理士事務所