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【時事解説】内部留保の使い方の難しさ その2



 事業で獲得した税額控除後の利益は株主に帰属する利益です。株主とすれば、そこで配当として受け取ることもできたものを、あえて個人として受け取ることはせず、会社に残したに過ぎません。会社は最終的に株主のものですから、その時点で個人として現金で受け取るより、会社に残すことで会社が成長し、株主財産が増加すれば、その方が有利だと判断したからにほかなりません。利益剰余金は株主とすれば、自分の財産を配当という形で受け取るのではなく、会社に置いてあるだけであり、株主の財産であることには違いがないのです。ですから、原則的に利益剰余金の使い道は配当や自社株買いといった株主に還元すること以外には想定されていません。

 ただ、株主還元以外に利益剰余金を減らす方法があります。それは将来の損失です。事業活動の結果、最終損失が出れば、これまで積み上げた利益剰余金が減ります。ですから、内部留保(利益剰余金)は、決してムダな積み立てではなく「まさかの時の備え」として有用だとされており、内部留保の大きな会社ほど倒産する危険性の少ない、安全性の高い会社だとされるのです。

 将来損失で内部留保を減らすことができるとすれば、従業員の給与支払いや(設備投資を行い)減価償却費を増やし、損失を出せば結果的に内部留保を賃金増加や設備投資に使えることになります。しかし、事業不振でやむをえず赤字になるのならともかく、内部留保を賃金増加や設備投資に使うために意図的に赤字にすることは、経営者として取り得る選択肢ではありません。

 このように一般的理解としての内部留保である現金預金を減らすことは容易ですが、会計的解釈の内部留保である利益剰余金を減らすことは極めて難しいのです。そうしたことを踏まえ、通常時から内部留保と配当等の社外流出のバランスを考えながら経営することが求められるのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)
2026年4月10日更新
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