相続税申告書を作成するまでに、遺産分割が決定していないことがあります。申告に至るまでの過程で、遺産分割のケース毎に仮相続税申告書を作成し、税額を試算していくことが大事と思っております。配偶者控除や相似相続控除で税額がない場合もありますし、二次相続を想定して、他の法定相続人に財産を配分したとしても、税額が生じないケースもあります。
最終版を提出するまでに数回シュミレーションをしますが、一家の資産形成はどうあるべきかを考えるからこそ、この過程が実に重要と感じております。保有資産が多い場合は、生前からシュミレーションをすることもございます。
預金、生命保険、有価証券を保有されている方の場合、過去の通帳等を拝見させていただきます。これは遡ることがどうしても必要でありますし、預金が個人年金として振り替わり、毎年亡くなる前年金として毎年受領、残額が未支給年金として請求しなければならないことが判明したり、定期預金が福祉預金としていつのまにか変わっていたり、法定相続人が知らないことが現れることもあります。小規模企業共済の未支給請求が残っていて、申請をお手伝いさせていただくこともございます。
私の場合、不動産関係は直接足を運び、拝見させていただいております。事前に、相続税申告書提出書類の一部である地積図等を取り寄せ、不動産を拝見することで、資産評価が明確になります。固定資産課税明細書にはあるけれども登記簿謄本にない未登記物件も、実際に拝見することで、課税庁側への説明付記事項を作成します。
実際に不動産を拝見しますと、その土地や建物の存在意味を知ることにつながります。登記簿謄本にあった土地が分筆された後の残地であったり、団地住宅地であれば、団地ができたときにどのような測量をして土地を誰が登記したのか、あそこの土地はなぜ相続の前に売却したのか等、相続税に携わると、それなりの視点で保有資産の歴史と過去を振り返りますので、資産評価と添付書類の作成を丁寧に仕上げることが可能となります。
相続に携わることは、その家の歴史に触れる瞬間を多々感じます。お寺はその家の歴史を、税理士はその家の事業の歴史を見ると母から聞いたことがありますが、特に相続はその家の歴史も触れることになります。亡くなられた方、そしてそのご家庭のご先祖様のことを思って、作成を続けていきたいと思っております。 2025/12/28
以上 税理士 原田潤子