中小企業庁は、国税庁の「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」に意見書を提出しました。有識者会議で「評価方式を抜本的に変更する見直し案の検討」がなされていることについて、「政府の政策の方向性に逆行するものであるといわざるを得ない」とする意見を表明。「事業者をはじめとした関係者の理解の得られる見直しとなること」を要望しています。
中企庁は意見書で、①評価額の変動による事業承継への影響について、業種や経営状況等に応じた個別具体的なケース別、類型別およびマクロでの分析・試算を示し、拙速ではなく丁寧に検証・議論すべき②国の政策的方向性に逆行するような見直しとならないこと――を要望しています。
国税庁が有識者会議に提出した資料の「評価水準の分析」について、「今回の見直しは税収増加を目的としたものではないと説明されているが、このような大規模な評価方式の見直しを行うのであれば、事業者への影響の大きさに鑑み、拙速に結論を出すことは避けるべきである。有識者会議で示された国税庁提出の資料における評価水準の分析は、企業の規模別の中央値の指標を示しているのみのごく限定的なものであり、企業への影響の程度はこれだけではまったく不十分である」と指摘しました。
さらに、今回の見直し案は純資産額に直近5年程度の超過収益を上乗せして株式評価額とするものですが、こうした評価方法への変更が仮になされた場合には、①地域の中堅企業を含め、資産規模の大きい企業、収益性の高い企業、国内外に子会社を保有する企業は、評価額(納税負担)が大幅に増大し、納税資金を捻出するため、株式や事業資産を第三者に売却せざるを得なくなる、あるいは設備投資等の成長投資に充てるべき資金調達枠を納税資金の確保に充てる可能性がある。さらには廃業に追い込まれる等、事業承継に支障を来すおそれがある②企業の収益拡大が承継時の負担増に直結するため、企業経営者が収益拡大に向けた成長投資を抑制するおそれがある――と指摘しました。
<情報提供:エヌピー通信社>