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【時事解説】口座維持手数料が与えるインパクト その2



 「貯蓄から投資へ」は長い間、政府・金融庁のスローガンでしたが、余り効果を上げてきたとはいえません。これまで、貯蓄が減少しなかったのは、貯蓄は投資とは違い、「減ることはない」という安心感があるからでした。今年の100円は銀行預金である限り来年も最低限100円は維持できていました。ところが、口座維持手数料がかかるとすると、今年の100円は来年には必ず99円になってしまいます。一方、株式などの投資に振り向ければ今年の100円は来年には98円になるかもしれませんが、うまくすれば102円、103円になる可能性もあります。さて、日本の預金者はそれでも、間違いなく来年99円になる預金を選択するでしょうか。実際にどうなるかは何とも言えませんが、さすがに、資金が投資に向かうかもしれません。

 我が国の金利水準は世界的に最低水準ですが、他の国を見渡せばまだ金利が高い国はあります。これまで海外に預金が逃げなかったのは、国内の銀行預金においておけば少なくても“元本は割り込まない”という安心感があるからでした。つまり、外国に資金を移すことに伴う為替リスクやカントリーリスクを嫌っていたのです。しかし、口座維持手数料がかかり、確実に預金が減少するとなれば、リスクを取っても海外に預金が逃避するかもしれません。いわゆるキャピタルフライトです。キャピタルフライトが本格化すれば、我が国の巨額の政府債務は預金者の豊富な貯蓄が裏付けとなっていますから、金融だけでなく財政にも深刻な影響を与えることになります。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)
2021年9月10日更新
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