国税庁はこのほど、「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」の初会合を開きました。この有識者会議は、会計検査院から指摘を受けたことを踏まえて設置されたもの。取引相場のない株式の相続税評価について、相続税法の時価主義のもとで適正な評価制度のあり方を検討するとしています。抜本的に見直されることになれば、現行の評価ルールを定めた1964年以来の大幅な改正。有識者会議では2027年度税制改正大綱に反映させることを目指して、議論を進めていくものとみられます。
被相続人の財産は「時価」で評価することが相続税法で定められています。しかし、非上場株は取引相場がないため、国税庁では「財産評価基本通達」というルールを設けて評価額を算定しています。ただ、配当や決算期を調整したり、故意に「赤字化」したりするなどの手法で意図的に評価額を下げ、税負担を過度に軽減しているとみられるケースがあります。
24年11月の会計検査院の検査報告では、①各評価方式の間で評価額に乖離が生じていること②類似業種比準価額を適用する割合が高い規模の大きな会社ほど株式の評価額が相対的に低く算定されること③配当還元方式の還元率が近年の金利の水準と比べて相対的に高い率となっているおそれがあること――などが示され、評価制度のあり方について「異なる規模の会社間での公平性や社会経済の変化を考慮し、より適切なものとなるよう検討を行っていくことが肝要」と指摘されていました。会計検査院は、評価方式によって評価額に4倍の差が出るケースもあると指摘。「評価の公平性が必ずしも確保されているとはいえない」として、国税庁に見直しを求めていました。
有識者会議では、非上場株の評価を適正にすることを念頭に議論される見通し。ただ、大規模非上場企業の株式評価額が上がる方向で議論が進めば、一部で相続税の負担が増す可能性もあります。