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償却資産の取得価額は「通常取引される一単位」で判定

たとえば、会社が8万円の机を購入した場合、「消耗品費」や「事務用品費」など、費目の違いはあれ、一時の経費として処理するはずです。これは、法人税法施行令(133条)、所得税法施行令(138条)で「取得価額が10万円未満」のものは即時損金算入ができると規定されているからです。

 それでは、それが10万円の机だったらどうでしょうか?。この場合は以下のどちらかの処理を選択できます。
■少額減価償却資産の損金不算入の特例
中小企業に限り30万円未満までの資産を300万円まで即時損金算入可能。
■一括償却資産の損金算入
20万円未満の資産を事業年度ごとに一括して3年間で均等償却

 意外と誤解されがちなのですが、会社が購入する物品等のうち、販売目的のもの(棚卸資産)や土地や書画・骨董、生き物など減価償却がなじまないものを除けば、大半が減価償却資産の対象になります。たとえば300円のホッチキスでも減価償却しようと思えばできるのです。
 しかし、それでは事務処理が大変だということで、取得価額によって減価償却の対象にしなくても良いもの、特別な償却方法が選択できるものなどが定められています。

 問題は、その取得価額の判定方法です。これについては、法人税法基本通達(7-1-11)、所得税法基本通達(49-39)において、「通常1単位として取引されるその単位」、例として「機械及び装置については1台又は1基ごとに、工具、器具及び備品については1個、1組又は1そろいごとに」判定することなどが記載されています。

 このうち難しいのが「1組又は1そろい」の概念です。たとえば、応接セットやパソコンとソフトウエアのセット販売などは、「1組又は1そろい」といっても良いでしょう。しかし、世の中には「1個といえば1個だし、セットといえばセット」というものが数多くあります。「1個2万円の店舗用ワイングラスを1ダース買った」「ショールームの模様替えに伴い照明用ライトを1個1万円で20個購入した」「一棟分の工事用足場資材をまとめて購入した」場合などは、どのように処理したら良いのでしょうか?

 これらのケースについて、一応、経験則的な答えはあります。ただ、原則的には「1組又は1そろい」であるかどうかの判定が難しいものは、「1組又は1そろい」として処理をし、減価償却をした方が確実です。いずれにしても、判断が難しく、また税務署との「見解の相違」が発生する可能性のある事項ですので、慎重に対応する必要があります。
2007年10月9日更新
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西尾 重義 税理士事務所