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平成19年分 所得税の改正事項

平成19年分 所得税の改正事項

1 地震保険料控除創設に伴う変更

2 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例の創設等

3 住宅借入金等特別控除可能額の記載に伴う変更

4 減価償却制度改正に伴う変更

5 電子申告関連の改正

 

1 地震保険料控除創設に伴う変更

地震保険への加入を促進するため、地震保険料控除が創設され、その為、火災保険を主に対象とする従来の長期損害保険料控除は廃止となります。
所得税における地震保険料控除の額は、上限を5万円とする支払った保険料の金額になります。
ただし、長期損害保険契約で地震保険料控除の対象とならない場合は、平成19年度以後も従来どおりの適用を受けることができます。
控除額の上限は1万5千円とし、全体で5万円が限度になります。


①支払った保険料が地震保険料だけの場合 支払った保険料が50,000円以下の場合 支払った保険料の全額
支払った保険料が50,001円以上の場合 一律に50,000円
②支払った保険料が旧長期損害保険料だけの場合(※) 支払った保険料が10,000円以下の場合 支払った保険料の全額
支払った保険料が10,001円から20,000円までの場合 支払った保険料の金額の合計額
5,000円
支払った保険料が20,001円以上の場合 一律に15,000円
③支払った保険料が地震保険料と旧長期損害保険料との両方である場合 地震保険料と旧長期損害保険料についてそれぞれ上記①及び②により求めた金額の合計額が50,000円以下の場合 その合計額の全額
上記により計算した金額が50,001円以上の場合 一律に50,000円
※平成18年12月31日までに締結した長期損害保険契約等に係る損害保険料(旧長期損害保険料)を支払った場合、上記②及び③の区分に応じて計算した金額となります。
2 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例
   の創設等

①居住者が、住宅の取得等をして平成19年又は平成20年にその者の居住の用に供した場合の住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除(以下「住宅借入金等特別控除」という)の控除額に係る特例が創設されました。(措法41③④)。

この特例は、特例創設前の住宅借入金等特別控除との選択適用とされ、控除期間、住宅借入金等の年末残高の限度額、各年の控除率については次のとおりです(選択摘要となる特例創設前の制度は[]書き)。
居住年 控除期間 住宅借入金等の年末残高 各年の控除率
平成19年 15年間
[10年間]
2,500万円以下の部分  ●1年目から10年目まで 0.6%
 ●11年目から15年目まで 0.4%
平成20年 2,000万円以下の部分
●1年目から 6年目まで   1%
●7年目から10年目まで 0.5%

 

②住宅借入金等特別控除の適用対象となる増改築等の範囲に一定のバリアフリー改修工事が加えられました(措法26⑲五、平成19年国土交通省告示第407号)。


※1 「一定のバリアフリー改修工事」とは、次に該当する工事をいいます。

①廊下の拡幅 ②階段の勾配の緩和 ③浴室改良 ④便所改良
⑤手すりの設置 ⑥屋内段差の解消 ⑦引戸への取替え工事 ⑧床表面の滑り止め化

 

※2 この控除の適用に当たっては、住宅の品質確保の促進等に関する法律に規定する登録住宅性能評価機関、建築基準法に規定する指定確認検査機関又は建築士法に基づく建築士事務所に所属する建築士が発行する証明書が必要です。

《適用期間》
この改正は、増改築等をした家屋を平成19年4月1日から平成20年12月31日までの間に自己の居住の用に供した場合について摘要されます(平成19年改正措令附則21)。

 

③特定の増改築等に係る住宅借入金等特別控除の控除額の特例の創設(措法41の3の2)

 一定の居住者が、その者の居住の用に供する家屋について、一定のバリアフリー改修工事(その工事費用(補助金等をもって充てる部分を除きます。以下「特定増改築等の費用の額」といいます。)の合計額が30万円を超えるものに限ります。)を含む増改築等をおこなった場合において、その家屋を平成19年4月1日から平成20年12月31日までの間にその者の居住の用に供したときは、その増改築等に充てるために借り入れた住宅借入金等の年末残高の1,000万円以下の部分の一定割合を所得税の額から控除(以下「特定増改築等住宅借入金等特別控除」といいます。)することとされました。

 

この特例の控除期間は5年間、控除率については次のとおりです。
なお、一定の要件を満たす場合には、住宅借入金等特別控除との選択により適用することができます。

 

イ 特定増改築等の費用の額に相当する住宅借入金等の年末残高の合計額(200万円を限度)・・・2%
ロ イ以外の住宅借入金等の年末残高の合計額(イとロの合計で1,000万円を限度)      ・・・1%

 

1  「一定の居住者」とは次のいずれかに該当する居住者です。

①年齢が50歳以上の者 ②介護保険法の要介護認定又は要支援認定を受けている者 ③障害者である者 ④左記②若しくは③に該当する者又は65歳以上の者である親族と同居を常況とする者
50歳

2  「一定のバリアフリー改修工事」とは前記2②と同様です。

3  この控除の適用に当たっては、住宅の品質確保の促進等に関する法律に規定する登録住宅性能評価機関、建築基準法に規定する指定確認検査機関又は建築士法に基づく建築士事務所に所属する建築士が発行する証明書が必要です。

3 住宅借入金等特別控除可能額の記載に伴う変更

 住宅借入金控除は、所得税から控除することになっていますが、平成19年分から所得税率が引き下げられたことにより、住宅借入金控除が所得税額から控除しきれなくなることが考えられます。
  そこで、控除しきれない住宅借入金控除があった場合、住民税から控除される措置が講じられるようになりました。

●対象となる方

 平成11年から平成18年末までに入居し、平成19年分以降の所得税において住宅ローン控除の適用がある方で、次の(1)(2)いずれかに該当する方
 (1) 税源移譲により所得税額が減少する結果、住宅ローン控除可能額が所得税額を上回り、控除しきれなくなった方
 (2) 税源移譲前から住宅ローン控除可能額が所得税額を上回り、控除しきれない分があったが、税源移譲によりその控除しきれない分が大きくなった方

●控除額(計算方法)

(以下の(1)と(2)のどちらか小さい金額)-(税源移譲後の税率で算出した住宅ローン控除前の所得税額)
※(0円を下回る場合は0とします。)

 (1)所得税の住宅ローン控除可能額
 (2)税源移譲前の税率で算出した住宅ローン控除前の所得税額 [注1]

[注1] 課税総所得金額、課税退職所得金額及び課税山林所得金額に税源移譲のための改正前の税率を適用した場合の所得税額(住宅ローン控除の適用がないものとした場合の所得税額)

●申告(提出先と期日)

確定申告書を提出する納税義務者
 確定申告時に「市町村民税・道府県民税 住宅借入金等特別税額控除申告書(確定申告書を提出する納税義務者用)」を、税務署又はその年の1月1日現在に居住する市町村へ提出ください。

●適用期間

この控除は、平成20年度分から平成28年度分までの個人住民税において適用されます。
対象となる方は、この期間、毎年この申告書を提出する必要があります。

市町村民税・道府県民税
住宅借入金等特別税額控除申告書【確定申告をする方用】

4 減価償却制度改正に伴う変更
一.新制度の適用年度

 平成十九年四月一日以降取得の固定資産から適用されます。したがって、三月三十一日までに取得した資産については従来どおりです。

二.償却限度額の廃止

 今までの制度では、原則として残存価格は取得価格の五%までとなっていましたが、今後は一円まで償却費として処理することになります。
 ①現在、すでに五%の残存価格になっている資産については、その未償却額を、今後五年間で均等償却します。
 ②四月一日以前取得資産は、これまで通りの償却方法で計算しますが、今後、五%の償却可能限度額に達した場合、その翌年から、五年間の均等償却することになります。

三.新定率法の採用

①新定率法
 新しい定率法は、定額法による金額の250%が償却費とされます。
②償却保証額
 しかし、定率法では、毎年償却費の額が減少していきますから、最後まで償却するには、法定耐用年数を越えた年数が必要となります。新定率法では、計算された償却費が定額法で償却した金額を下回る年度から、定額法に切り替えて償却します。具体的には、その時点の残存価格をその時点の残存耐用年数で割って償却額を計算します。これを償却補償額と言います。この結果、法定耐用年数内に全額の償却が終了することになります。ただし、資産がある限り、一円を帳簿上に残すことが必要となります。

四.新定額法

 新定額法は減価償却資産の取得価格に、その償却費の額が毎年同一となるように当該資産の耐用年数に応じた、「定額法の償却率」を乗じて計算した金額を各年分の償却費の額として償却し、不動産所得等の金額の計算上必要経費に算入します。

5 電子申告関連の改正
(1) 電子証明書を有する納税者の所得税額の特別控除の創設

電子証明書を持っている納税者が平成19年、20年において確定申告をe-TAXを使用しておこなう場合は所得税の額から5千円を控除することとされました。

(2) 電子申告における第三者作成書類の添付省略

確定申告をe-TAXを使用しておこなう場合において第三者作成書類についてはその記載内容を入力して送信することで、後で書類を提出しなくても良いとされました。しかし税務署から提示を求められる事がありますので、3年間は保管しておく必要があります。


<対象書類>

①医療費の領収書関連
②社会保険料の金額を証明する書類
③生命保険料の金額及び個人年金の金額を証明する書類
④小規模企業共済等掛金の金額を証明する書類
⑤地震保険料の金額を証明する書類
⑥給与所得、退職所得及び公的年金の源泉徴収票
⑦特定口座年間取引報告書

【適用開始時期】 平成20年1月4日以降にe-TAXを使用して確定申告を提出する場合に適用
(3) 源泉徴収票等の対象範囲が拡大

企業が社員に代わり源泉徴収した場合の書類の適用範囲が拡大しました。
 ①オープン型投資信託収益の分配の支払調書
 ②佩用とみなす金額に関する支払通知書
 ③退職所得等又は公的年金等の源泉徴収票
 ④退職手当等又は公的年金等の支払明細書

【適用開始時期】 平成20年1月1日以後に交付するこれらの書類について適用
(4) 源泉徴収関係書類の電子提出

給与等、退職手当等又は公的年金等(以下、「給与等」とします)の支払を受ける居住者は、税務署長の承認を受けている給与等の支払をするものに対し次に揚げる書類について、書面による提出に代えてその書類に記載すべき事項を電磁的方法により提供する事ができることとされました。
 ①給与所得者の扶養控除等申告書
 ②従たる給与についての扶養控除等申告書
 ③給与所得者の配偶者特別控除申告書
 ④給与所得者の保険料控除申告書
 ⑤退職所得者の受給に関する申告書
 ⑥公的年金等の受給者の扶養親族等申告書

【適用時期】 給与等の支払をする者が所轄の税務署長に対して承認を受けるための申請書を平成19年7月1日以後に提出し、受給者がその税務署長の承認を受けている給与等の支払をする者に対し同日以後に上記の申告書を提出する場合について適用されます。
(5) 電子署名の省略

e-TAXにより申請等をおこなう際に送信する電子署名及びその電子署名に係る電子証明証について、その電子署名が次に揚げるもの係るものである場合には、その電子署名及び電子証明証の送信を要しないこととされました。
 ①源泉所得税の徴収高計算書の送信をおこなう者
 ②税理士等が依頼を受けて税務書類を作成し、依頼者に代わってe-TAXにより申請等をおこなう場合のその依頼者
なお、平成20年1月4日から税務署等の端末を使用してe-TAXにより申請等をおこなう者について、電子署名の省略に係る措置が適用されることとされています。

【適用時期】 平成19年1月4日以後にe-TAXにより申請等を行う場合について適用されています。
(6) 電子申請等証明制度の創設

税務署長等は、e-TAXを使用して税務署長等に対する申請等がおこなわれた場合において、その申請等がおこなわれた旨の証明書の交付を請求する者があるときは、これを交付しなければならないこととされました。

【適用時期】 平成20年1月4日以後におこなう請求について適用されます。
2017年11月1日更新
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佐々木政輝税理士事務所