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【時事解説】中小企業の成長に向けた設備投資



 物価上昇や人手不足が進む中、中小企業においては、リスクを恐れず事業構造・組織構造を組み替える取組を行い、「稼ぐ力」を高めていくことが重要となります。「稼ぐ力」を高めるためには付加価値額を増加させることが有効であり、付加価値額を増加させる取組の一つに成長に向けた設備投資が挙げられます。

 「中小企業白書2026年版」では、成長に向けた設備投資の取組状況についてアンケート調査を行っています。
 まず、成長に向けた設備投資の取組状況別に、付加価値額の変化率(中央値)についてみると、「取り組んだ」と回答した事業者は、「取り組んでいない」と回答した事業者と比べて、付加価値額の変化率(中央値)が高くなっています。
 また、成長に向けた設備投資に取り組んだ事業者に対して、足下の設備稼働率別に、付加価値額の変化率(中央値)について確認したところ、設備稼働率が高い事業者は、設備稼働率が低い事業者と比べて、付加価値額の変化率(中央値)が高くなっています。

 次に、成長に向けた設備投資に取り組んだ事業者に対して、設備投資前に行った取組について確認したところ、収支計画策定状況については、「詳細に策定した」、「簡易的に策定した」と回答した事業者の合計が約8割を占めています。また、業務プロセス見直し状況について、「取り組んだ」と回答した事業者は約7割を占めています。
 さらに成長に向けた設備投資前の収支計画策定状況や業務プロセス見直し状況別に足下の設備稼働率を確認したところ、「取り組んだ」と回答した事業者は、「取り組んでいない」と回答した事業者と比較して、設備稼働率が高い傾向にあります。

 では、中小企業において成長に向けた設備投資は具体的にどのように行われているのでしょうか。そこで「中小企業白書2026年版」において、思い切った大型設備投資を実施し、企業規模の拡大や、付加価値の向上を実現している企業の事例として紹介された有限会社いろは堂(本社:長野県長野市)の取組みについてみていきましょう。

 長野県長野市の有限会社いろは堂は、長野県の郷土食「おやき」を製造・販売する企業です。おやきの認知度向上は事業成長のチャンスであったものの、同社は生産能力に課題を抱えていました。そこで同社は、生産能力の拡大を目指して新工場の設立を決断しました。

 当時専務取締役だった現社長が投資計画を主導し、計画当時の年商の約2倍となる大規模な設備投資を実施し、新工場を2022 年に開業しました。新工場には最新の生産設備を導入することで生産能力は1.5 倍に増強されました。さらに、製造担当者と一丸となって業務フローや動線を見直すことで業務の効率化も実現しました。また、製造以外にもカフェやショップ、工場見学、おやき作り体験など様々なコンテンツをそろえ、幅広い世代に向けた「おやき文化の発信拠点」としての機能を持たせました。

 新工場の開業により、売上高は同社計画を上回る実績で推移しています。想定を超える原材料価格高騰の影響を受けながらも、付加価値率を向上させ、かつ従業員の賃上げにも取り組んでいます。また、既存のおやきのイメージを覆す施設が反響を呼びおやき自体の知名度も上昇し、他社から商品開発等の引き合いが急増しました。

 このように成長に向けた設備投資の取組によってプレゼンスが向上し、販路拡大の実現につながっているのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)
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