2025年11月の税務
11月10日
●10月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
11月17日
●所得税の予定納税額の減額申請
12月1日
●所得税の予定納税額の納付(第2期分)
●特別農業所得者の所得税の予定納税額の納付
●9月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●3月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の3月、6月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の8月、9月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(7月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
○個人事業税の納付(第2期分)(11月中において都道府県の条例で定める日)
最低賃金全国平均時給1,121円
◆全国加重平均66円上げ過去最大
中央最低賃金審議会で賃金引き上げ額が全国加重平均は24年度実績から66円引き上げ時給1,121円で決まりました。現在の1,055円から上昇率6.2%と金額、率とも過去最大規模のアップです。引き上げは23年連続で、目安以上の引き上げがされて全ての都道府県で1,000円を超えています。
発効日は2025年10月ですが、今年は半分以上の府県は11月以降になります。
◆中小企業の経営には生産性の底上げが急務
中小企業者に対し日本商工会議所が2025年1月〜2月に行った調査では、最賃上げ対策としては「設備投資等人件費以外のコスト削減」(39.6%)「残業時間・シフトの削減」(31.3%)となっていました。引き上げに見合う経営体力が伴わなければ、高い賃金を提示されても重荷となり人材採用、雇用維持ができず地域経済がしぼむリスクもあります。
労働政策研究・研修機構が実施した調査では最も低いパート賃金が「最低賃金の10%以上上回る」と答えた企業は26.7%しかありません。社会保険料がかかり始める「106万円の壁」に達する人も増えていくでしょう。
最低賃金の近くで働くパートやアルバイトは多く、基準となる金額の引き上げで社会保険料がかかり始める人が増えてきます。社会保険料の支払いを回避して働き控えをする人も一定数います。最低賃金の引き上げが人手不足に拍車をかけることにもなりかねません。
◆準備期間は限られている
例えば、最低賃金で1日8時間、21日働くパートの場合、1,055円×8H×21日=177,240円だった月給が1,121円×8H×21日=188,328円となり、差額は月11,088円、年間で約13万円超の増加です。
ある飲食店の対応策例では、
・ピーク時間のみ勤務の「短時間勤務に」切り替え
・夕方以降の清掃を外注に切り替え
・接客業務のセルフ化、タブレットの活用
・売上げが少ないメニューの廃止 等
時給制社員の最賃改定後の賃金シミュレーション、人件費総額の影響試算、不採算業務の作業の洗い出しなどで作業の見直し等をしてみましょう。
還付金の還付と未納税額の充当(国税通則法第56-57条)
◆還付金等は遅滞なく金銭で還付される
国税通則法は、国税についての基本的な事項及び共通的な事項を定めた法律です。その中で、還付金又は国税に係る過誤納金(「還付金等」)がある場合には、税務署等は、遅滞なく、金銭で還付しなければならないとされています。
国税庁のe-Tax(国税電子申告・納税システム)サイトによると、還付金の処理状況が確認可能となるのは、概ね以下のとおりのようです。電子申告推奨ですね。
・e-Taxで還付申告を行ってから、2週間程度経過した日
・書面で還付申告を行ってから、1か月程度経過した日
・還付申請を提出してから、2か月程度経過した日
◆会計検査院の決算検査で指摘の中の一項目
会計検査院は国の予算の使い方を調べる役所ですが、毎年の決算検査報告の中で、税金の無駄遣いや改善が必要だと指摘する項目もあります。その中の一つに、「還付金等に係る支払事務において、未納の国税に充てなければならない還付金等を還付していたもの」というのがありました。
これは国税通則法の「充当」に関する規定を指しており、滞納があったにもかかわらず、「充当」を順守せずに還付金を全額還付してしまったことへの改善の指摘でした。
◆未納税金があれば充当しなければならない
国税通則法に、「その還付を受けるべき者につき納付すべきこととなっている国税があるときは、還付に代えて、還付金等をその国税に充当しなければならない」という規定があります。会計検査院の指摘はこの条文を基にしています。
この充当は、滞納税額がある場合はもちろん、法定納期限が到来し未納税額が発生している場合も適用される強制規定です。なお、充当されるべき国税は、「充当適状」、すなわち、「納付すべき税額が確定し、法定納期限が到来する等」となっていなければなりません。
電子申告を推奨している国税側は、「e-Taxで送信された還付申告は通常3週間程度で還付」を目指しています。それもあってか、還付の事務手続きをしている途中で充当適状となってしまったにもかかわらず、手続上、その確認を失念したり、できなかったりして、結果的に充当せずに還付してしまうこともあるのかもしれません。