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【時事解説】後継経営者による次世代の組織づくり その2



 では、実際の事業承継の局面において、後継経営者による次世代の組織づくりはどのように行われているのでしょうか。そこで中小企業庁編「中小企業白書2023年版」において、事業承継を契機に実施した組織づくりの取組等により、社員が自主的に考え行動する企業となった事例として紹介された、木村石鹸工業株式会社(大阪府八尾市)の取組についてみていきましょう。

 木村石鹸工業株式会社は、家庭用洗浄剤や化粧品のOEM生産等を手掛ける企業で、近年は自社ブランド商品の企画・製造・販売にも力を入れています。4代目の現社長は、入社当初に全社員と面談を行う中で、社員同士の情報共有やコミュニケーションの不足、失敗を恐れて新商品の開発や社員自ら提案を行うことに躊躇する組織風土に問題意識を持ち、社員の意識改革に着手しました。

 まず、各部署から若手を中心に1名ずつ選出された社員がチームとなり、同社が抱える課題の発掘から解決策の提案・実行までを担う取組を実施しました。また、新たな人事制度として「自己申告型給与制度」を導入し、社員自身が希望する向こう1年分の給与額を申告するとともに、今後行う予定の業務内容を提案してもらうことで最終的な金額を決定する仕組みとしました。さらに経営の透明性を高めるために、月次の損益計算書や貸借対照表を社員に公開し、全社員が自社の状況を把握できるような環境を整えました。

 これらの一連の取組により、社員の自主性は大きく向上する中で、自社ブランド事業の売上割合が上昇し、同社の収益性向上に貢献しています。

 このように、事業承継を契機とした社員の自主性を促す一連の取組が企業成長へとつながっているのです。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)
2024年3月5日更新
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