発行日:2025年04月25日
2025年5月の税務
5月12日
●4月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
5月15日
●特別農業所得者の承認申請
6月2日
●個人の道府県民税及び市町村民税の特別徴収税額の通知
●3月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●9月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の2月、3月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(1月決算法人は2ヶ月分、個人事業者は3ヶ月分)<消費税・地方消費税>
●確定申告税額の延納届出に係る延納税額の納付
○自動車税(種別割)の納付(5月中において都道府県の条例で定める日)
○鉱区税の納付(5月中において都道府県の条例で定める日)
資金繰りが苦しくなる前に〜早期経営改善計画〜
◆早期経営改善計画とは
企業の経営環境が厳しさを増す中、売上げの低迷や資金繰りの悪化に直面する前に手を打つことが求められています。そのための有効な手段が「早期経営改善計画」です。この制度は、国が認定する専門家のサポートを受けながら、自社のビジネスモデルや資金繰り計画を整理し、持続的な経営改善を図ることを目的としています。金融機関との対話を円滑に進め、経営の健全化を促すための重要なステップとなります。
◆制度を活用するメリット
早期経営改善計画の大きな魅力は、専門家の支援を受けながら計画を策定できる点です。通常、こうしたコンサルティングには費用がかかりますが、本制度を利用すれば、その費用の2/3(上限15万円)が補助されるため、負担を抑えながら取り組むことが可能です。さらに、経営状況を整理し、資金繰りの見直しを行うことで、金融機関との信頼関係を強化することもできます。
◆実際の活用方法
まず、認定支援機関と相談し、自社の経営課題を整理します。その上で、ビジネスモデルの現状を可視化し、具体的なアクションプランと資金繰り計画を策定。計画策定後も専門家が伴走支援を行い、計画の進捗状況を確認しながら必要な調整を行います。こうした継続的なフォローアップにより、策定した計画が実効性のあるものとなり、経営改善につながるのです。
◆成功事例の紹介
例えば、ある運送業のA社では、この制度を活用し、取引先ごとの利益率を分析しました。その結果、利益率の高い取引先を明確にし、重点的に対応することで収益の向上を図ることができました。また、資金繰り計画を作成したことで、経営状況を数値で把握しやすくなり、金融機関との交渉もスムーズに進むようになりました。更に、後継者が財務管理の手法を学ぶ機会にもなり、経営の安定化に大きく貢献しました。
◆最新の動向と今後の展望
2024年11月に閣議決定された「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」により、本制度の取扱期間が2028年1月まで延長されました。自社の経営を立て直し、持続的な成長を実現するため、この機会に早期経営改善計画の策定を検討してみてはいかがでしょうか。
中小企業のリース会計と法人税
◆リースとは所有せずに使用する契約
リースは他人から特定の資産を一定期間、リース料を支払って使用する契約をいいます。契約期間にわたり支払を分散させることができます。
ファイナンス・リースは中途解約できない代わりにリース資産を使用して経済的利益を受けることができ、リース期間終了までリース料を支払うもの、オペレーティング・リースはファイナンス・リース以外のリースをいいます。
◆上場会社等のリース会計は売買処理に統一
上場会社等のリース取引に適用される会計基準は、ファイナンス・リースはリース資産を売買があったものとして資産として計上します(売買処理)。オペレーティング・リースはこれまで賃貸借として扱っていましたが、新リース会計基準の適用により資産計上(売買処理)となりました。
◆中小企業のリース会計は賃貸借処理のまま
中小企業のリース会計は、中小企業向けの会計ルール(中小企業会計指針、中小企業会計要領)によることができ、ファイナンス・リース、オペレーティング・リースともに賃貸借処理が適用できます。新リース会計基準は強制適用されず、従来どおり賃貸借処理が継続できます。
◆上場会社等の法人税の扱い
上場会社等がファイナンス・リースを受けた場合の法人税の扱いは、少額リース、短期リースを除き、売買処理が適用されます。このうち所有権移転外リースについては資産計上額をリース期間にわたり月数按分で減価償却します。一方、オペレーティング・リースを受けた場合は賃貸借処理が適用されます。会計では元本部分と利息部分を分けて処理するので法人税の処理と一致しなくなり、申告調整が必要となります。
◆中小企業の法人税は賃貸借処理のまま
中小企業のファイナンス・リースに係る法人税の扱いは賃貸借処理が適用され、賃借料として損金経理した場合はリース資産の償却費とみなして損金に算入されます。
また、オペレーティング・リースに係る法人税は、新リース会計基準の導入後も賃貸借処理が継続されます。令和7年度税制改正大綱では、オペレーティング・リースで法人が支払うリース料について「債務の確定した部分の金額は、その確定した日の属する事業年度に損金算入する」と記載されており、この文言から従来の賃貸借処理のままとなると解されます。