社会保障国民会議の有識者会議メンバーで、日本総合研究所シニアフェローの翁百合氏はこのほど、日本記者クラブで会見しました。給付付き税額控除の制度設計について「生活保護の対象ではない低中所得者への支援が重要」だと指摘しています。
翁氏は、世帯年収ごとに税金や社会保険料の負担率を分析した〝翁カーブ〟と呼ばれる曲線を描いたグラフを提示。日本は欧米よりも「平均年収以下の子育て世帯」の負担率が高いことを示し、「なだらかで累進度をある程度持った負担率のカーブを実現するべきではないか。特に日本の場合、生活保護受給基準をやや上回る低所得層を中心に支援の検討が必要ではないかと思っている」と述べました。日本では収入が少なくても社会保険料の負担割合が軽くならない仕組みになっていることが〝翁カーブ〟を描く要因であると指摘し、「生活保護の対象ではない年収325万円から430万円程度の世帯の負担が特に重くなっている」と分析しています。
さらに、「日本の低所得の子育て世帯に対する支援は国際的に見ても十分ではない」としたうえで、給付付き税額控除の制度設計にあたり、こうした世帯への支援が重要だと強調。制度を導入する際には、就労意欲を阻害しないような仕組みにする必要があるとしています。執行面では「個人または世帯の所得把握が鍵。マイナンバー制度を活用して公金口座と結び付けるなど迅速に給付できる仕組みを検討することも大事だ」と語りました。
翁氏は2024年から政府税制調査会の会長に就いていて、今年4月1日には公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の経営委員長に就任しています。