最高裁第3小法廷(沖野真已裁判長)はこのほど、金融機関からの借入金債務を相続後、免除されたことに伴う経済的利益に対して所得税を課すことができるかどうかが争われた訴訟の判決で、課税処分を取り消した二審・東京高裁判決を破棄し、審理を差し戻しました。二審判決は、相続による取得分を非課税とする所得税法に違反するとしましたが、最高裁は「免除の効力による経済的利益を相続で取得したとはいえない」と判断。審理した裁判官4人の多数意見です。
二審判決などによると、16億円の借入金債務があった夫が2014年に死亡。妻と子らが債務を相続しました。しかし、夫は生前、金融機関との間で、約6億円を分割で指定期限までに支払えば、債務の残額を免除するとの和解を、金融機関との間で成立させていました。
返済を続けてきた夫の死亡によって債務を引き継いだ妻らは16年、和解に基づく支払い分を完済したため、約束通り残額については債務免除されました。しかし、確定申告の際に東京国税局管内杉並税務署長から「債務免除に伴う経済的利益が一時所得に当たる」として課税処分を受けました。
妻らは国を相手に、処分の取り消しを求めて提訴。東京高裁は24年、免除に伴う利益は「潜在的には相続で取得したものとみることができる」と判断。相続での取得分に所得税は課税できないとする所得税法に違反するとして、処分の取り消しを認める二審判決を出していました。