国税庁は、非嫡出子の法定相続分を嫡出子の2分の1とする民法900条の4号ただし書の規定を違憲とした最高裁大法廷の決定に伴う相続税の取扱いを公表した。
この違憲判断では、「本決定までに開始された相続について、確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものでない」旨が示されたため、決定のあった翌日の9月5日以後に行われた相続税の申告(期限後申告、修正申告を含む)又は処分から(平成13年7月以後の相続に限る)、最高裁決定に基づき、非嫡出子と嫡出子の相続分は同等なものとして、相続税の総額を計算することになる。
9月4日以前に申告したものについては、法律関係が9月4日以前に確定したものと考えられるため、最高裁決定に基づく相続分で計算すると、相続税額が減額する場合であっても、最高裁決定を理由に更正の請求はできない。
★申告、処分が9月5日以後か否かで取扱いが異なることに
非嫡出子の相続分の規定を違憲とした9月4日の最高裁決定では、「本決定までに開始された相続について、確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものでない」旨が示された。
国税庁は、この最高裁決定に対する相続税の取扱いのQ&A問1において、相続税は、申告または処分により税額が確定するため、申告または処分により「確定的なものとなった法律関係」になると考えられるとしている。
そのため、相続開始日や申告期限などにかかわらず、申告や処分で税額が確定したのが9月5日以後か否かで、相続税の総額計算における非嫡出子の相続分を現行民法か、最高裁決定に基づくものとするのか取扱いが異なることとなる。
税務通信 №3280