発行日:2013年11月14日
平成25年11月の税務
11/11
●10月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
11/15
●所得税の予定納税額の減額申請
12/2
●9月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●所得税の予定納税額の納付(第2期分)
●3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●3月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の3月、6月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の8月、9月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(7月決算法人は2ヶ月分) <消費税・地方消費税>
●特別農業所得者の所得税の予定納税額の納付
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○個人事業税の納付(第2期分)
法定納期限と納期限
◆延滞税に関する原則規定
国税通則法の延滞税に関する条文には、
①期限内申告書を提出しながら納付国税をその法定納期限までに完納しないとき
②法定申告期限後に未納税金があるとの修正申告書を提出したとき
などその他の場合に、法定納期限からその国税完納日までの期間に応じ、その未納の税額に年14.6%の延滞税を課す、と規定されています。
◆二つの延滞税軽減規定
ただし、納期限までの期間又は納期限の翌日から2ヶ月間については、延滞税率を7.3%とする、との規定があります。
さらに、法定申告期限から1年超後の提出となる修正申告の場合は、その法定申告期限から1年を経過する日の翌日から当該修正申告書が提出日までの期間を除いたところを延滞税の計算対象期間とする、との規定もあります。
◆こんな事例ではどうなる
申告期限後5年目のところで税務調査があり、増差税額のある修正申告を提出し、1ヶ月後に納税を済ませたとすると、延滞税の計算対象期間は修正申告書提出までの期間が1年超なのでその部分は1年に圧縮されます。
修正申告書提出の場合の納期限はその提出日なので、納期限後1ヶ月の増差税額納付は別途延滞税の計算対象期間となります。
◆どの税率がどの期間に課せられるのか
国税通則法では、法定納期限以後は14.6%、ただし、納期限以後2ヶ月間は7.3%となっているので、先の例では、延滞税の計算対象期間の最初の2ヶ月と最後の1ヶ月は7.3%で、残りの10ヶ月は14.6%となるのでしょうか。そんなふうに読んでしまいそうですが、「納期限までの期間」は7.3%という規定があるので、本例の場合は全部の期間が7.3%になります。
◆法定納期限と納期限の使い分け
国税通則法や国税徴収法は「法定納期限」について、その各第二条で定義規定を置いているのですが、「納期限」については特に定義していません。しかし、両者は異なるものとして使い分けられています。
◆措置法に税率の特例がある
なお、上記の7.3%については租税特別措置法に「公定歩合+4%」(現在は4.3%)とする特例規定があります。また、来年からは14.6%部分も含めた大幅な改正が施行されることになっています。
欠損金税制改正の狙い
◆欠損金控除制限の新たな動き
法人税率の引き下げが政府与党で検討されるにあたり、繰越欠損金についての控除制限がその財源として議論されているようです。10月7日の日経新聞でこの事が報じられましたが、表立って議論しないことにしているらしく、「隠れた論点」と報じられていました。
◆現行制度になる際の周辺事情
平成23年の12月改正として、欠損金の繰越期間7年から9年に延長され、控除可能額は80%(大法人グループ内法人及び資本金1億円超法人に限る)に制限されることになり、これが現行制度になっています。
70兆円余の公的資金導入で不良債権処理をしていたすべての大手銀行において、欠損解消により10年ぶりに法人税の納付が再開となるタイミングにちょうど合っていました。
◆大企業向け税率引下げの財源
平成23年12月改正は、経済産業省から、大企業法人税率5%引き下げの財源として打ち出されたものです。当初案では、制限幅が50%で、中小法人除外など予定されていませんでした。
中小法人は中小企業税率での課税が大部分で、72.3%が赤字法人とされるその大部分が中小法人という実態に照らすと、税率引下げの恩恵の大部分は大法人にある、と言えるところです。逆に、繰越欠損金の大部分は中小法人のところにあります。
大法人の恩恵税制の導入のための財源を中小法人の繰越欠損金に求めたものの、前回は果たせなかったのです。
◆再び中小法人の繰越欠損金を狙う
国税庁の公表する「法人企業の実態(会社標本調査)」によると、繰越欠損金は76.4兆円で、単年度黒字43.6兆円の1.7倍あり、繰越欠損金控除額9.7兆円、課税対象所得33.9兆円ですが、企業規模別欠損金発生割合・繰越残高割合は公表していません。
自由競争社会といいながら、中小法人と大法人の取引は非対等取引で、そのための大法人による収奪の結果、中小法人の多くが欠損企業になっているのです。
国税庁も日経新聞も、中小法人欠損金と大法人欠損金とを区別せず、欠損控除割合の程度問題にすり替えています。
外形法人課税の対象にならない資本金1億円以下法人に適用の繰越欠損金控除への制限が自治体の課題だと、先の日経新聞の記事にあるので、狙いは明らかです。