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税務/会計トピックス

確定申告における必要経費について

どこまでが経費として認められるか?
個人事業では、経費になる範囲が法律で決められています。

ポイントは、「売上に関係していないものは経費にならない」ということです。

例えば、商品の仕入代金はどうでしょう?
これは売上に直接関係していますから、経費になります。当たり前ですね。

では、新商品の構想をねるための取材旅行はどうでしょう?
その旅行は、本当に売上をあげるためのものですか?
きちんと税務署に説明できますか?

ですから、経費になるかどうか迷ったら、
「売上を上げるために本当に必要だったか?」
ということを考えてみてください。

事業によって、色々な経費が出てくると思います。
その中でも、よく出てくる項目をまとめてみました。

1-1.開業前に購入した備品・消耗品・事務用品について
開業前に購入した備品等の購入費用は、事業を開始した年の経費にすることができます。
経費にいれることができるものは、使用可能期間が1年未満のもの、購入金額が1点で10万円未満のものです(これを少額減価償却資産といいます)。
少額減価償却資産は、年間で300万円までとなり、それ以上はすぐに経費にすることはできません。

1-2.開業費について
個人事業を開業する前には、色々な費用が必要です。
その際、開業準備のために払った人件費や事業資金の利息等は、開業費として処理することになります。
開業費は、原則として60ヶ月で均等に経費に落とすことになりますが、支払った年や、数年後とった具合に、自由に経費にすることもできます。
ですから、開業してから数年後、黒字が出始めたときに、少しずつ経費にするのが良いでしょう。

資産の購入費用や、前払費用は、開業費から除くとされていますので、ご注意ください。

1-3.従業員の社会保険料を支払った場合
社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)には、事業主負担分と、従業員負担分とに分けられます。
事業主負担分は、福利厚生費として必要経費にすることができます。
従業員負担分を、事業主が負担した場合には、従業員への給与とされ、給与として必要経費に算入することができますが、給与となった場合、源泉税の問題がありますので、ご注意ください。
また、その額が1人につき月額300円以下であり、かつ全従業員に対して支払われているものである場合は給与としなくてもよく、福利厚生費として必要経費に算入することができます。

1-4.得意先を演劇等に招待した場合
仕入れ先、売上先等をを接待することや、旅行や演劇への招待、贈答等は、事業円滑のために必要となります。
そのようなものは接待交際費とされ、接待交際費については必要経費に算入することができます。
ただし、その支出が事業を行うために必要であると直接必要で ある認められるものであり、得意先等のためであることが領収書等から明確にわかる支出に限って、必要経費に算入することができます。

1-5.事業用の資産にかけた損害保険料について
個人事業主が支払った保険料は、満期時に返戻金として返ってくる部分(積み立て保険料)と、掛け捨ての保険料の部分(危険保険料)と、付加保険料という3つの部分からなっています。
積み立て部分に関しては、満期時に(あるいは契約終了時)に返ってくるものですので、支払った際には必要経費にすることはできず、資産となります。
そし て、保険満期時あるいは契約終了時に払戻金を受け取った際には、収入を得るために要した費用、として収入から控除することができます。
掛け捨ての部分は戻っ てくることはありませんから、支払った際に必要経費に算入することができます。
店舗と自宅を兼用している場合には、その建物の総床面積のうちの業務用部分が占める割合を、支払った保険料に乗じて算出された額が業務用資産に対応する保険料となります。
支払った保険料×業務用が占める床面積/建物の総床面積=業務用資産に対応する保険料
先ほど説明したように資産に計上する部分と経費に算入する部分にわけなくてはいけません。
業務用の資産に対応する保険料のうち積み立て部分が資産となり、掛け捨ての保険料の部分は経費に算入することができます。

1-6.借りている建物に係わる損害保険料について
個人事業主が、事業のために使用する建物等を借りている場合、その建物に係る長期の損害保険契約の保険料については以下のようになります。
損害保険の保険料のうち、掛け捨て部分は、期間の経過に応じて必要経費に算入することができます。
損害保険の保険料のうち、満期返戻金のある長期(3年以 上のものに限られています)のものは、保険契約者が家主であるのか、借りている事業主であるのかで必要経費に算入できる部分が異なります。
いつの必要経費にすれば良いか?
確定申告では、どこまでが経費になるか、だけではなく、いつの経費になるかも重要です。

その年の経費にできるかは、年末までに、「債務が確定しているか」で判断されます。
いわゆる、債務確定主義と呼ばれるものです。

年末までに債務が成立していること(支払義務が確定していること)
年末までに具体的なサービス等の提供を受けていること
年末までに具体的な金額を計算できること
例えば、12月30日にネットショップで事業用のパソコンを発注したとします。
この場合、年末までにパソコンは到着しませんから、経費にはなりません。

ですが、12月30日に店頭に行って直接購入しますと、上記の3つの要件を満たしますので、経費になります。
ですから、今年の経費になるかどうか迷ったら、この3つの要件を考えながら、経費に入れるか入れないかを判断することになります。
間違いやすいものをまとめました。

2-1.短期前払費用(1年以内の経費をまとめて払った場合)について
経費で、1年分をまとめて支払うことがあります。
この場合、条件が揃えば、1年分まとめて払った年の経費にすることができます。

例えば、1年分の家賃をまとめて支払うことがあるかと思います。
この場合、契約書で年払いとなっていれば、1年分を経費にすることができます。
ただし、次の点に注意してください。

1年分をまとめて経費にする処理を継続すること
1年分まとめて払うことを続けること
きちんと年内に支払っていること
支払った日から1年以内にサービスの提供を受けること
支払った費用が1年以内分であること(1年半分ではだめです)
ただし、新聞を定期購読している場合の購読料は、物を購入しているため(サービスの提供を受けているわけではないため)該当しません。

単なる経費の前倒しで、経費になる金額の総額が増えるわけではありませんが、今年、大きな売上があがるといった場合は、検討してみても良いかもしれません。

2-2.売上の返金はいつの経費になるのか
売上金額を売上先に返金する場合、必要経費にします。
では、昨年の売上を今年返還した場合、いつの必要経費に算入すれば良いのでしょうか。
この場合、返金した年(損失が生じた年)、つまり今年の必要経費に算入します。

2-3.返品を受けた場合について
販売した商品が返品されてきた場合、返品額を売上から控除します。
原則は、返品の発送をしたという通知を受けた年分の売上高から控除しますが、同じ処理を継続的に行うという条件で、返品された商品を受け取った年分の売上から引くこともできます。

2-4.商品引換券を渡した場合はいつの経費になるのか
小売業で、「1,000円購入したら10円分の商品引換券を渡す」といったことをしているお店は、よくあるかと思います。
この場合、商品引換券の金額は、いつ、どのように経費に入れたら良いのでしょうか。
原則は、商品と引き替えた年に必要経費に算入します。なぜなら、商品引換券をお客さんに渡しただけでは、まだ引換が行われるかは不確定な状態だからです。
ですが、商品引換券が販売価格等に応じて点数等で表示されており(例えば100円につき1点等)、1枚でも金品と引き替えられる場合は、交付した時点で必要経費に算入することができます。
なお、経費にする場合は、確定申告書に一定事項の記載が必要になります。

2-5.使っていない消耗品や事務用品の購入費用はいつ経費にできるか
商品の販売業をしている場合、年末に残っている商品は棚卸しをします。
では、使っていない事務用品費等、消耗品についても棚卸しをしなくてはいけないのでしょうか。
原則は、消耗品や事務用品も棚卸資産に含まれるため年度末に棚卸し作業をしなくてはいけません。
ですが、事務用品といった細かなものまで棚卸しをしていては、非常に手間がかかってしまいます。
そのため、個人が事務用消耗品、作業用消耗品、包装材料等の購入の際に支払ったもので、金額が少額なもの、購入した年の必要経費に算入することができます。
(ただし、毎年この処理を継続しなくてはいけません)
なお、この処理が認められる消耗品は、毎年一定の数を購入購入す るもので、経常的に消費するものに限られています。
2-6.分割で支払った損害賠償金はいつ必要経費に算入できるのか
仕事中の事故で、相手に賠償金を払わなくてはいけなくなた場合、資金繰り等の関係で分割払いにすることがあると思います。
その場合、支払った時の経費にしていいのか、それとも賠償金の金額が確定した時点で算入していいのか、算入する時期について注意が必要です。
法律では、仕事で生じた費用で必要経費に算入できるものは、「債務の確定しているものに限る」と定めています。
では債務が確定しているものとはどんなものでしょうか。
それは上記でご説明した債務確定主義に該当するものです。
ですから、当面の医療費として賠償金の一部を払った場合は、原則として支払った年の経費になり、残りは示談等が成立した年の経費になります。

2-7.敷金・保証金のうち返金されないもの
建物を借りる際、保証金(敷金)を支払います。
保証金のうち、返金されるものは経費となりません、
返金されないものは経費となりますが、繰延資産とされ、数年間にわたって経費におとします。

2-8.信用保証協会に支払った保証料について
事業資金を借りる際、信用保証協会に保証料を支払うことがあります。
この保証料は必要経費に算入することができるのでしょうか。
保証料は、その保証期間にわたって効果が及ぶものと考えられます。
そのため、前払い費用や繰延資産として計上するため、支払った年に全額必要経費にすることはできません。
基本的には、保証料として支払った金額を、その保証期間に応じて償却し、その償却費を各年分の必要経費算入します。
たとえば、保証料が50万であったとして、保証期間が5年であった場合は、1年目は
50万×12ヶ月/60ヶ月=10万円が経費に算入でき、2年目以降も同じように計算します。

2-9.中小企業退職金共済制度の掛金について
従業員退職の際に事業主の退職金負担を軽減するために、中小企業退職金共済制度に加入し、掛金を支払うことがあります。
この場合、掛金は必要経費に算入することができるのでしょうか。
個人事業者が中小企業退職金共済制度への掛金を支払っている場合、支払をした額を支払った年の必要経費に算入することができます。
支払期限が到来していて、未払いの部分は経費には算入されません。

2-10.生計を一にする親族に支払った報酬について
「生計を一にする」とは、簡単に言えば、生活費のお財布が一緒、ということです。

同居している場合で食費や水道光熱費等を分けて生活していることはあまりありませんので、同居をしている場合は、「生計を一にする」と判断することができます。
しかし、別居している場合であっても生活費の送金が常に行われている場合等は「生計を一にしている」といえます。

二世帯住宅に同居している場合であっても、財布を別にしていれば「生計を一にしている」とはいえませんし、単身赴任で別居している場合であっても、生活費を毎月送金していれば、「生計を一にしている」と言えます。

生計を一にしている親族へのお給料は、原則として経費になりません。身内に支払う家賃等を必要経費にしたい場合は、青色専従者にする、生計を別にしている、といった条件を満たせば可能です。家賃だけでなく、給与の支払い等も同様です。

ただし、必要経費に算入はできますが、生計を別にすることで配偶者控除、扶養控除等の適用を受けることができなくなります。
どちらがより節税効果が大きいのか総合的に判断することが必要です。
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