お客様の発展を総合的に支援します。

ニュース

【時事解説】不祥事を防止するために必要なトップの資質 その2



 そこには根強い“前例踏襲、課題先送り”体質があったのだと思います。こうした検査不正問題は、現社長になる相当前から続いていました。そこで、歴代の新任社長は次のように考えたのではないかと推測します。

 「確かに検査不正は問題だが、もう何十年も続いていて発覚していないのだから、大丈夫だろう。もしこれを解決しようとすれば、社内外に相当の軋轢が生じる。これまでの先輩も放っておいて問題なかったのだから、何も今、自分が手を付ける必要はない。自分の任期中に表面化することはないだろうから、自分も放っておこう。先送りしているうちに誰かが解決してくれるだろう。」
 無論、本件は三菱電機の企業体質が主因ですが、日本企業に共通する“前例踏襲、課題先送り”体質も大きな要因として働いたと思うのです。そう考えると、一般企業が学ぶべき教訓も見えてきます。

 経営トップに求められるべき資質は、優柔不断な先輩を見習い、守ることではなく、次代を担う後輩たちに負の遺産を残さないように、どんな障害があろうとも、悪しき前例を取り除く勇気なのだと思います。ただ現実的に考えると、社内秩序を忠実に守り、先輩の覚えがめでたい人たちが昇進し、自分に刃を向けるような人間を遠ざけるのが普通でしょうから、そうした勇気を持った人が経営トップに座ることは難しいのではないか、という気もしてしまうのですが。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)
お気軽にお問い合わせください。
後藤洋司税理士事務所