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【時事解説】株価は経済の体温計ではなくなった その2



 このように、今回は「熱狂」と「借入金」を欠いているので、多少の調整はあるにしても、前回のような暴落は起こらないような気がします。だからといって、この株価上昇を機に日本が再び上昇気流に乗るというのも、それもまた違うのではないかと思います。人口減少や少子高齢化、肥大化した財政・金融など、この国の成長を妨げる根本的諸課題について解決の糸口さえ見いだせていないどころか、悪化しているように見えるからです。ここで明らかになったのは、株価と庶民生活の乖離だと思います。

 かつて、「株価は経済の体温計」だといわれていました。経済の体温計であれば、株価が上昇していれば、経済は温まり、国民生活は豊かになっているはずです。しかし、国民生活に密着する経済統計を見ると、GDP成長率の低迷、実質賃金の低下というように、株価上昇に相反する発表が相次いでいます。これでは株価が上昇しても、国内消費が盛り上がらないのも無理はありません。

 今の状況は、株価は一般の庶民生活とは懸け離れたところで動いているように感じます。「株価は富裕層の体温計」ではあるでしょうが、「国民の体温計」にはなっていないのです。「経済の体温計」だからこそ、時の政権は株価上昇策に腐心したのですが、株価が単に「富裕層の体温計」に過ぎないとしたら、株価対策ではなく、国民生活が豊かになる経済対策が求められると思います。(了)

(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)
2025年9月3日更新
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