7月から税理士会の支援事業の一環として泉大津支部管轄の中学校に、租税教育の派遣講師として授業を行って参りました。
7月1日:高石中学校
7月3日:小津中学校
7月11日:槇尾中学校
授業は租税教育副読本「税って何かな?」(日税連作成)とDVD放映「アナザーワールド」(国税庁作成)を利用しました。
授業の構成と『伝える』ポイントは以下のとおりです。
1.授業の概要
税の意義、役割を学習し、平等や公平について簡単な例を用いて理解した上で、税を通して社会の仕組みを知ってもらう。
2.到達目標
○ 税の使われ方を知ってもらい、税が身近にあることを理解してもらう。
○ 平等と公平の違いを理解してもらい、税の種類が多い理由を知ってもらう。
○ 税の仕組みを決定するのは国民であるということを伝え、積極的に社会に参画する主権者意識を醸成し、税について関心を持つきっかけにしてもらう。
3.学習内容
〇 はじめに:税理士の仕事の紹介
・将来一人でも多くの生徒が税理士を目指してくれればと思います。
〇 導入:『税金を払いたくないと思うか?』生徒に質問
〇 アナザーワールドのDVD放映
・税の必要性について知ってもらう
・税がない場合の問題点を意識してもらう
〇 税金の意義
・税金のイメージを聞き、使われ方を知り、安心、安全で健康に生きていくために必要であることを理解してもらう。
〇 税金の役割
・税がない場合の問題点を通じて身近なものに使われている税を知ってもらう。
〇 問題点の提起:生徒に問いかけることにより問題点をピックアップしてもらう、回答者には、1億円を体験してもらう。
・税収不足
・財政赤字
・公債残高高水準
・少子高齢化社会
・もし火事にあったとき消火活動が有料であったら
・公共整備がなかったら(道路が穴ぼこだらけになって人も車も通れなくなったとき)
・公立学校がなかったら(義務教育がなかったら)
・ごみ処理(みなさんの出したごみを片づける人がいなかったら)
・治安維持(強盗の取り締まりが有料であったら)
・高齢者年金がない
◎ これらにかかる費用は税金でまかなわれていることを感じてもらう。
〇 税金の集め方
・税金の集め方は立場の異なる場合を想定し、立場の異なるごとのそれぞれの税金の種類について、より公平という考え方に基づき負担を求める方法を適用していることを理解してもらう。
・税の集め方を考える中で、平等と公平の違いを理解してもらう。
⇒『応能負担の原則』『水平的公平』『垂直的公平』の考え方
・最終的に公平な税制を目指すために税の種類が多い理由を知ってもらう。
1.同額・・・・消費税
2.Aだけ・・・固定資産税
3.30%・・・法人税
4.累進・・・・所得税
〇 社会と税金
・税金を決めるのは税法であり、その税法を決めているのは国民であることを意識してもらう。
⇒『租税法律主義』の考えを理解してもらう。
・民主主義における合意としての税法
⇒ 公正な手続きによるもの、税金を決める税法は国民によって選ばれた代表である国会議員により国会で多数決によって決められている。したがって、税金は国民が決めたルールであることを理解してもらう。
・選挙権を持つ国の主権者であり、積極的に社会に関わっていく主権者意識を持ってもらう。
⇒『国民主権』私たちが主人公である旨を理解してもらう。
〇 財政と税金
・資金を集める、公共サービスの充実のため
・格差を縮める、個人の努力だけで解決できないあらゆる格差を社会問題としてとらえ、思いやり、助け合いの考えによる社会保障により、国民みんなが健康で文化的な生活を営むことができるようにする。(憲法に定める『生存権』)
・国の歳入、歳出と赤字国債の増加についての現状を理解してもらい、本来どうあるべきかを考える力をつけてもらう。
・将来生徒が大人になったときの少子高齢化時代に、税金の集め方だけではなく、税金の使い道について、必要なもの、無駄なものがないか、みんなで決めてみんなのためになる税の集め方、使い方について理解してもらう。
◎ まとめ
・税金について納税のことばかりでなく、税金の使い道にも関心を持つこと
・税金をより公平に集めて、限られた大切な財源を有効に使うために何をすべきか考えること
◎ あとがき
・みなさんがこれからどういう社会に暮らしたいかなどを考えるきっかけにしてもらえることを願います。
・最後に、各中学校の生徒のみなさん、積極的に授業に参加し、発言し、最後まで授業を聞いて頂き、本当に楽しい50分間をありがとうございました。
また、各校の校長先生、教頭先生、担当の先生方には非常にお世話になりました。ありがとうございました。