発行日:2026年09月03日
2026年9月の税務
9月10日
●8月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
9月30日
●7月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●1月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の1月、4月、10月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の6月、7月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(5月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
自社株の承継に使える「特例措置」の期限が迫っています
◆後継者への贈与税・相続税が実質ゼロに
オーナー経営者が亡くなったり、後継者に株式を贈与したりする際、検討しなければならないのは、会社の業績が好調で株価が高い場合、後継者に課される相続税・贈与税が数千万円から億円単位になることです。会社は黒字でも、後継者個人にその現金がなければ税金が払えず、最悪の場合は株式を手放さざるを得ないケースも出てきます。「黒字なのに承継で会社が揺らぐ」という事態を防ぐために設けられたのが「法人版事業承継税制(特例措置)」です。
◆特例措置のメリットと期限
特例措置を活用すると、贈与税・相続税の全額(100%)が納税猶予され、承継後も代表者であり続け、対象株式を保有し続けるといった継続要件を満たす限り、最終的に免除されます。後継者は最大3名まで対応可能です。雇用確保要件については、従来の一般措置では承継後5年間の平均で雇用の8割を維持できなければ猶予が取り消されていましたが、特例措置では8割を下回った場合でも、その理由を都道府県に報告することで猶予が継続される仕組みになっています。また令和7年度税制改正により、後継者の役員就任要件が「承継前3年以上の役員就任」から「贈与直前の就任でよい」へと緩和され、直前に後継者が決まったケースでも利用しやすくなりました。期限は2段階で、特例承継計画の提出が令和9年9月30日、贈与・相続の実行が令和9年12月31日です。
◆デメリットと注意点も知っておく
一方で、特例措置にはデメリットもあります。承継後5年間は毎年の報告義務があり、経営・株式保有などの要件を外れた場合は猶予税額と利子税が一括で徴収されます(雇用維持要件については特例による救済措置あり)。また後継者が株式を売却した時点で猶予が取り消されるため、承継後の経営の自由度が制約される面もあります。
◆M&Aとの比較も視野に
後継者がいない場合や株価が高い局面では、M&A(第三者への売却)も有力な選択肢です。M&Aであれば、オーナーは売却益を手にした上で引退でき、税負担も譲渡所得課税(約20%)に限定されます。特例措置は「会社を身内で守り続ける」前提の制度であり、どちらが最適かは後継者の有無・株価水準・将来の経営像によって異なります。まず株価の試算と選択肢の比較から始めることをお勧めします。
税制・社会保険の適用 それぞれの「年収の壁」
◆今年の税制改正で所得税年収の壁が見直し
これまで「年収を抑えて扶養の範囲で働きたい」という場合、昨年までは所得税の壁は年収160万円でしたが令和8年には178万円に引き上げられます。扶養家族が働く時間が増えても課税されるラインが上がりました。
◆年収の壁は住民税や社会保険もあり
収入が大体年収100万〜110万円を超えると住民税が掛かります。こちらは所得税に比べると課税ラインが低く、課税基準は自治体ごとに違うので確認が必要です。
社会保険の加入基準となる「106万円の壁」は現在51人以上の被保険者がいる事業所で適用され「所定内賃金が月平均8.8万円以上」「週所定労働時間20時間以上」「学生でない」方が対象になります。ただし令和8年10月からは「年収106万円」の壁は撤廃される予定です。
◆影響大きい「年収130万円の壁」
これは50人以下の全事業所も対象です。配偶者の社会保険の扶養家族で加入している場合、基準を超えると扶養から外れ自分で社会保険に加入します。扶養家族が勤めている事業所の社会保険に入るか、国民健康保険・国民年金に加入します。社会保険は保険料負担が大きいため手取りが減るということがあります。厚労省は助成金等でその分をカバーするような制度もつくっていますが、対象者に使えるかは申請をしてみないとわかりません。
また、社会保険の事業所規模の拡大で今までは扶養家族であっても、扶養家族が勤める事業者が拡大対象事業所になれば扶養からは外れるケースも出てきます。
税制が大幅に所得税の壁を引き上げでやや楽になったかと思っても、社会保険の壁が存在すると手取りを気にする短時間労働者の働き方はそれほど大きな変化は見られないでしょう。
◆高齢者就業には一定の変化が
一方、働き方の変化でいうと扶養家族ではありませんが、企業に勤める高齢者で厚生年金保険の適用者は在職老齢年金の年金停止ラインが月65万円と大幅に上がったので、年金カットを意識せず就業がしやすくなったといえるでしょう。