AIの進化により、ルール化された作業(ルーチンワーク)がAIに代替されつつあります。加えて、生成AIの出現で基本的なプログラミングなど、専門職の一部もAIが担えるようになりました。米国の調査では、2029年までに、AIに業務が置き換わることで単純なコールセンター対応やプログラミングなどの約100万職が減少するという結果もあります。
その中、株式市場では「SaaS(サース/サーズ)の死」という言葉が急速に広まっています。これはAIの進化で次に影響を受ける分野がSaaSだという警戒です。SaaSとは、Software as a Serviceの略で、ソフトウエアをインターネット経由で利用する仕組みを指します。SaaSの特徴はPCのブラウザやスマホのアプリを利用する点、月額課金などが挙げられ、旧来のパッケージソフトと比べて、インストールが不要で、常に新しいバージョンを使用できるユーザーメリットがあります。SaaSの代表例としては、営業・顧客管理ソフトで知られるセールスフォースや会計ソフトのマネーフォワードのほか、アドビ、米ハブスポット、米ワークデイなどが挙げられます。
SaaSの死といわれる所以は、AIによって、今後、企業はシステムの開発や改修を内製化できるようになり、外部のSaaS企業を利用する需要がなくなるといった予想があります。具体的には、現状、営業や経理といったさまざまな分野で人間がSaaSを操作して業務を進めていますが、将来的にはAIエージェントが人間の代わりに幅広いタスクを進めていく。結果、SaaSは不要になるといわれています。
2026年1月、SaaS企業の株価が急落する「アンソロピック・ショック」が発生しました。きっかけは、AIサービスのアンソロピック社がAIエージェント「Claude Cowork(クロード・コーワーク)」を公開したことがあります。このAIがソフトウエア企業のサービスに取って代わる。つまり「SaaSの死」となると懸念が広まりました。今後、SaaSは生き残りをかけどのように変化するのか、注視したいところです。
株式市場では「SaaS(サース/サーズ)の死」という言葉が急速に広まっています。SaaSとは、ソフトウエアをインターネット経由で利用する仕組みを指します。SaaS企業には、営業・顧客管理ソフトで知られるセールスフォースや会計ソフトのマネーフォワードのほか、アドビ、米ハブスポット、米ワークデイなどが挙げられます。
SaaSの死とはAIによりSaaSは不要になる、SaaS企業の消滅を意味する言葉です。もともと、2024年12月、マイクロソフトのサティア・ナデラCEOが「AIエージェントの時代には、業務アプリ・SaaSという概念は全て崩壊する」と発言し警戒の声は挙がっていました。これが、AIエージェント「クロード・コーワーク」が公開されたことで現実味を帯びアンソロピック・ショックに繋がったといえます。
ただ、企業が実際にAIエージェントでソフトウエアを内製化するには、業務上の正確性に加え、セキュリティ・ガバナンスなどの統制をしなければならない事項が重くのしかかり、負荷は少なくありません。そこで、当面はAIが組み込まれたSaaSを活用する選択肢が現実的といえます。
実際、大手SaaS企業では、自社のサービスにAI機能を組み込んだ新たなSaaSを開発し始めています。ある営業・顧客管理ソフト大手では、「人間とAIの協働によって実現する新たなカスタマーサクセスの形」と銘打ち、自社のSaaSにAI対応を組み込み、新サービスとして展開しています。ほかにも、マーケティングやワークスペースアプリなどの企業でも同様のAIサービスを提供している企業も現れました。
SaaSの死はSaaSの消滅を意味するのか、あるいはSaaSの進化をもたらす機会となるのか。ユーザーとしては、AIによって高度化しながら併存していくSaaS企業の再生・新たな展開を見守りたいところです。(了)
(記事提供者:(株)日本ビジネスプラン)